Milliporeが2008年1-3月の業績を発表しましたので簡単に紹介します。
売上は7%の増加で$395.2 million(411億円)。ただしドル安の影響が8%ありましたので、各国の通貨ベースでは1%の減少。Bioscience部門が6%の増加であったのに対して、Bioprocess部門が7%の減少でした(各国通貨ベースの数字で)。
営業利益は$57.6 million(対売上比14.5%)で、これは対前年($39.6 million)比で46%の増加。粗利率は52.5%で、前年の51.0%より若干改善。R&Dは対売上比で6.3%で、前年の7.4%より大幅に減少しています。営業マーケティング等の費用も対売上比31.7%で、前年の33.0%より減少しています。ただし金額ではR&Dは9%の減少で、営業マーケティング等は2.1%の増加になっています。R&Dを大幅に減らして利益を改善している感じがあります。
経営陣のコメントとして、Bioprocess部門での売り上げ減少は少数のアメリカのバイオテクノロジー企業の影響によるもので、その他のバイオテク企業は二桁成長しているとのこと。ということで、なかなか強気なコメントです。こういう理屈は小さいエリアを担当している営業担当者の言い訳としてはよく聞きますが、圧倒的な市場シェアを持っていて、なおかつ大きな世界市場を語っている経営陣がいうととてもおかしく聞こえます。本来なら経営陣としては、この動きを全体的なトレンドとして理解する勇気と力量が必要です。おそらくビジネス経験が貧弱だけど何かの間違いでトップになってしまった人が、営業部門の言い訳をそのままテープレコーダーのように繰り返しているのでしょう。言い訳を言い訳と見抜くだけの経験がなくて、なんとか自分の身を守ろうというパターンですね。僕もそういう人を見てきているので、ピンと来ます。
地域ごとに見ますとアメリカ大陸で10%の売り上げ減少($146.3 million)、ヨーロッパで17%の売上増加($171.3 million)、アジアパシフィックで25%の売り上げ増加($78.6 million)となっています。これはすべてドル建てで、ドル安の影響を受けた数字です。
ミリポアは水というどこでも必ず使う製品が主力の会社で、しかも圧倒的なシェアを持っていますので、市場の活気を正確に表すバロメータとなる会社の一つだと思います。
6%という各国通貨ベースでのBioscience部門の成長も、私が知っている世界の市場全体の伸びとほとんど一致しています。ミリポアが日本の数字を個別に出していないのは残念ですが。