何か新しい情報を顧客に伝えたいとき、バイオ研究用製品のマーケティングでは、未だにチラシと郵便物が主流です。
雑誌広告やインターネット広告というやり方もありますし、例えばNatureのメールアドレスなどを利用した電子メールによる告知というやり方も行われていますが、主流という訳ではありません。これらはどちらかというと時と場合によって使われるもので、主流は未だにチラシと郵送物です。
メーカーとして体感する効果が違うのです。チラシとか郵便物の場合は、それを見たと言ってくれる顧客からの問い合わせが入ってきます。今まで認知度が低い製品であれば、売り上げも確実に伸びます。それに対して、雑誌広告を見たという顧客が問い合わせてきた記憶というのはほとんどありません。インターネット広告に至っては皆無です。ですからチラシと郵送物を使うのです。
チラシを配布するときのコストというのは、単独でそれだけを配布するのであれば40-50万円あたりでしょうか。だいたい2万部から3万部を刷りますが、カラーで印刷であれば30万円程度、そして郵送代も馬鹿にならないのでだいたい上述の金額になります。印刷物の場合は印刷会社と校正を重ねないといけないので、だいたい1月のリードタイムが必要になります。結構馬鹿にならない金額ですが、雑誌広告も1月で掲載料が20-30万円とられます。効果を考えるとチラシの方がずいぶんとよく見えます。
ただチラシを誰が配布するかという問題があります。ある程度確立したメーカーであれば、代理店との付き合いがある程度固まっているので、代理店にチラシを配ればだいたい配ってくれます(とメーカーは信じています)。代理店は日本中の研究室に網を張っているので、だいたいの研究者にチラシが配られてくれているかなとメーカーは期待しています。現実はもう少しややこしくて、代理店だって特定のメーカーに肩を入れることがありますので、場合によっては自分が作ったチラシは積極的に配ってくれないかもしれません。
郵便物はダイレクトに顧客に届きます。大きいメーカーはだいたい季刊誌というのがあって、これは代理店から配布するかダイレクトに郵送します。この季刊誌は通常フルカラーで、やはり2万から3万部を刷ります。印刷のお金とこれを郵送するお金をあわせると、一回つくって配布するのに200万円から300万円はかかっていると思います。でも結構学術的なことも書いてあって、顧客が喜ぶ内容なので、メーカー側は効果は大きいと信じています。ブランドイメージの維持にも重要と位置づけられています。ちなみに製品カタログもだいたい3万部を用意していることが多いと思いますが、フルカラーの会社が多いこと、さらに週百ページになることがあるので、これは1回出すのに2000-3000万円かかっています。
もう一つ参考として、分子生物学会などのランチョンセミナー。あれは会場のむちゃくちゃ高い弁当を買わされるということもあって、全体で200万円弱になると思います。自分で会場を借りてセミナーをするとずいぶんとこれよりは安くなります。最近はやってくれるメーカーが少なくなってきているようで、学会企画側が苦労しているとか。
さて本題に戻ります。
チラシと季刊誌にかなり多くのお金が使われていることを紹介しました。でも、そんなにお金をかけた時代遅れのことをしないと顧客である研究者に情報が伝わらないのでしょうか。しかも先ほどもお話ししたように、チラシというのだ代理店経由での配布であり、代理店の思惑が入ってしまいます。もっとストレートなやり方は無いのでしょうか。
他の業界であれば、新聞の折り込み広告、リクルートのようなところが作っている雑誌、価格.com。。。
正直、メーカーでマーケティングを担当していたものとして言えば、いい媒体が無いんですよね。誰か作ってほしいーーー、って思って、いま、自分でそういうのを作ろうとしています。
学際企画ですかね?外資系のシャッフルが始まりつついますね!此処しかないという人は必死にしがみついてるみたいですが・・・
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