企業の成果主義:ダイソンのCEOのコメント

普通の掃除機の数倍の価格でもどんどん売れてしまうダイソン社のサイクロン型掃除機。

そのダイソンのCEOとのインタビュー記事がNBOnlineに紹介されていました。その中で僕の考えにぴったり一致するところがありました。

 報酬についてしつこく聞いていたところ、マコートCEOは好業績と高報酬の話をしてから、次のように続けた。

 「CEOの私が最も落胆するのは、社員の誰かが給与や処遇、認知について不平を言った時。そうならないよう、私を含む経営陣は社員とコミュニケーションを深めることにコミットしている。我々は徹底してオープン。ダイソンで今何が起きているか、これから何をしようとしているか、あらゆることを社員に伝えるよう努力している」

企業の成果主義がどうして失敗するかについて、僕自身の経験談をブログに書きましたが、考え方はとても近いように感じました。

成果主義がうまくいかない根本的な原因は、経営者がビジョンや目標をしっかり示せないことにある。僕はブログでそのように書きました。ビジョンや目標、さらにそれを実現するプロセスがしっかりと共有されていないと、社員は自分の評価の基準を知ることができません。評価基準が曖昧だと、低い評価をもらったときに納得できなくなり、不平を感じることになります。そして大きくモチベーションを下げることにつながると。

人間というのは、低い評価を簡単を受け入れることができません。自分が悪いと思う前に、必ず環境や周りのせいにしようとします。そして環境や周りのせいにしていくうちに、自分の力だけではもうどうにもならないと感じるようになり、そしてやる気を失っていくのです。

ですから、低い評価がモチベーションを下げる方向に働くのではなく、発奮する方向に働くようにするのは容易なことではありません。社員が納得できるような会社のビジョン、そしてしっかりした評価基準が共有されていないと、成果主義は単にモチベーションを下げるだけになってしまいます。これは水が高いところから低いところに流れるのと同じぐらい,必然的なことです。人間はこういう風にできている動物なのです。必ずこうなってしまうのです。

これに対してダイソンのCEOは、会社で何が起きているか、これから何を使用としているか、あらゆることを社員に伝えることが重要だとしています。そしてそれが十分にできないと、社員が給与や処遇、認知について不平を感じることにつながると考えているようです。

まさにその通りだと僕は思います。

最後にダイソンのCEOの言葉をもう少し掘り下げたいと思います。どうして多くの経営者はあらゆることを社員に伝えるどころか、わざと隠したりするのでしょうか?コミュニケーションは不必要だと思っているからでしょうか?

僕が見てきた経験から考えると、それはコミュニケーションの必要を感じていないからではありません。そうではなく、議論に負けるのが怖いのです。自分に本当の自信が無いから、社員の中にいる論客を恐れているのです。そこで情報を隠して、自分の優位性を保つのです。別に悪意をもってやっている訳ではありません。動物なら誰もがもっている、単なる自己防衛本能です。

これについては長くなってしまうので、またきっかけがありましたらブログで話します。

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