エコノミスト誌に在宅勤務(テレワーク)の利点と問題点について書いた英文記事がありましたので、要点を紹介します。
- アメリカの全会社員の1/4は、昨年のうち少なくとも1週間を在宅勤務しました。そして過半数の企業で何らかの形の在宅勤務が許容されています。ヨーロッパはこれよりさらに進んでいます。
- アメリカの3,300万人は在宅勤務可能な職に就いています。この人たちが在宅勤務をすれば、石油の輸入は1/4減らせ、二酸化炭素の排出は年間6,700万トン減らせます。通勤時間で言えば、25日間の有給休暇相当を在宅勤務によって得ることができます。
- オフィススペースなどは社員一人当たり年間$10,000に上ると見積もられますが、在宅勤務によりこれを半分に減らせます。
- 在宅勤務を許容することにより、より能力が高い社員をより安い給料で雇うことができます。
- American ExpressやBritish Telecomなどの経験によると、オフィスで働く社員よりも在宅勤務の社員の方が30-40%ほど多くの仕事ができたそうです。
- 孤独感を感じること、および仕事・家庭生活のバランスが崩れることが在宅勤務のマイナス面としてクローズアップされています。
- 電子メール、留守番電話、電話会議とチャットが多く利用されていますが、これではぎりぎりなんとか間に合っているにすぎません。「存在感」を電子的に実現する必要があります。
- 幸いに、ビデオ会議システムなどが安価に使えるようになってきているので、これも広く使える状態になってきています。(ここのあたりで、なんだかうさんくさいスポンサー記事に聞こえてきますが)
さて僕の感想ですが、アメリカでこれだけ利点があるんだったら、東京はなおさらだよねって思いました。根拠はざっとこんな感じです。
- オフィススペースは東京の方が高い
- 東京でつとめている社員は1時間を超える通勤時間で疲れきってしまうので、在宅勤務に変更することによる生産性のプラスは大きいはず(2時間半の通勤時間は、就業時間(8時間)のなんと28%です!!)
- 東京は他の都道府県よりも社員の給料が総じて高い
日本では朝日新聞にこんな記事が載っていますが、とても面白いのが人事院のテレワーク研究会の報告書の要点。「上司が部下と直接顔を合わせないことに、幹部職員らが抵抗感を抱いていることが障害となっていることも想定される」、「幹部の意識改革が必要」。
それは幹部の意識の問題なのか、幹部が新しい通信技術の活用法を理解できていないのか。僕は断然後者だと思いますね。平成19年度年次経済財政報告「−生産性上昇に向けた挑戦−」にもありますが、日本は経営幹部のITレベルが低すぎる。
日本の企業幹部のITリテラシーのなさが、ここでも日本の未来の足かせになっている、と僕は感じました。
確かに日本企業の上層部は頭が硬いでしょうね。日本人には一等地のオフィスにバリッと背広を着て通うのをステータスと思っている人も多いのでしょうから、エリートの男性ほど在宅勤務を嫌がるのかもしれないですね(若い人も含めて)
子供のいる女性にとっては在宅勤務はありがたいシステムです。エコとつながっているなんて考えもしませんでした。
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きゃろらいんさん、コメントありがとうございます。
確かに在宅勤務は子供のいる女性にとってはありがたく、出生率を高める効果は抜群にありそうですよね。国ももっと本腰を入れてがんばってほしいものです。
テレワークを進めようとしている総務省のホームページ(http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/telework/index.htm)にも、少子高齢者対策および環境負荷軽減策としての有効性を主張しています。
どこのどういう会社に勤めていることがステータスではなく、男性であっても、子供と時間を持つことができている、もしくは地域の活動に参加できているということこそがステータスになる時代が近いうちにくることを望んでいます。
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