またこの記事を含め、ライフサイエンス研究用製品メーカーのウェブサイトのあるべき姿について書いた記事を特集ページにまとめました。あわせてご覧ください。
あなたは抗体を探すとき、抗体検索サイトに行きますか?それともGoogleでダイレクトに検索しますか?
日本国内の抗体検索サイトについては以前のブログで紹介しましたが、今回は抗体検索サイトを利用せずに、ダイレクトにGoogleで検索する方法について話したいと思います。
ここでいうGoogleで検索する方法というのは、つまり “CD4 抗体”もしくは”CD4 antibody”のキーワードでGoogleすることを指します。
面白いことに、コスモバイオのウェブサイトなどをを利用して抗体を検索するのと、Googleで直接検索するのとでは、全く異なるのです。例えば “CD4 抗体”でGoogle検索すると、Beckman CoulterのサイトやMiltenyi Biotechのサイトは出てくるのですが、コスモバイオのサイトはやっと3ページ目に、あまり関係がないと思われる「Tregマーカー 細胞表面にある4型葉酸受容体抗体:コスモ・バイオ」というページが出てくるだけです。コスモバイオが取り扱っているCD4 抗体のページは出てこないのです。
どうしてそうなってしまうのかという技術的な問題については、後で機会があれば詳細に解説したいと思います。今日はとりあえず、Googleで直接検索する人がどれぐらいいるのかを分析したいと思います。利用するのはAdwordsのキーワードツールです(Adwordsアカウントがないと、フルバージョンは使えません)。
いくつかの抗原で、”[抗原名] 抗体”もしくは”[抗原名] antibody”のGoogleでの検索回数を表にまとめました。数字は月間の平均検索回数です。
抗原名 | “抗体”と組み合わせ | “antibody”と組み合わせ |
---|---|---|
annexin | 不明 | 390 |
Calcineurin | 不明 | 91 |
Raf | 不明 | 12 |
Ras | 36 | 480 |
Caspase | 不明 | 58 |
myc | 170 | 91 |
CD20 | 170 | 不明 |
CCR3 | 不明 | 73 |
CD133 | 91 | 390 |
各抗原について、非常に乱暴ですが、平均で月間100回の検索が行われると想定しましょう。また抗原の種類は、割と知られているものだけでも数百はあるでしょう。仮に500種類あるとします。そうすると、直接Googleで抗体の検索を行うのは、月間50,000回あると計算されます。平日だけを考えますと、毎日2,000回の検索が行われている、非常におおざっぱに言えると思います。
そもそも「抗体」というキーワードだけだと165,000回の検索が行われていますし、antibodyだと27,100回の検索が行われています。「抗体」で検索しているのは、研究者以外の人が多いと思われますので、僕らの目的からすると、antibodyの27,100回の方が意味があると考えています。ちなみに「コスモバイオ」は6,600回、Googleで検索されています。
‘antibody’は27,100回検索されていますが、この数を先に推定したGoogleでの直接的な抗体検索回数、月間50,000回と比べますとかなり近い数字です。そこで、論理的にはかなり乱暴ですが、インターネットで抗体を探している人はかなり高い割合で、Googleでの直接検索を行っていると言えると思います。
そう考えると、Googleで直接検索を行うユーザは多いので、彼らを対象とした対策が必要になります。しかし、極一部のメーカーを除いて、これをしっかりやっている会社はかなりの少数派のように見受けられます。
残念な話です。