マイクロソフトは新OSのVistaの売上が芳しくないのを受けて、$300 million (300億円)をかけた広告キャンペーンを展開しました。
しかし、そのキャンペーンはひどく失敗しました。
- CEOのSteve Balmer氏が登場する“I’m a PC”キャンペーン
- Bill GatesとJerry Seinfeld (コメディアンのSeinfeldが登場する、意味不明のSeinfeldテレビ広告。
- Vistaのブランド名を隠し、代わりに”Mojave”という名前のOSにすることで、XPユーザに切り替えてもらおうというMojave Experiment
なんでこんなアホなことばかりするのかなと思われる失態です。
Apple社はこれにつけ込む形で、“Bean Counter”という新しいテレビ広告(別リンク)を出しました。
PC君:“Advertising, advertising, advertising, …. Fix Vista” x 2
PC君:“I’m just doing a little budgeting, you know, with all the Vista problems that have been frustrating PC users, I have to take drastic action”
Mac君:“By investing in advertising?”
PC君:“Yes advertising.” (右手側の大きな札束の山を指しながら…)
PC君:“I’m also putting in something to resolve Vista’s problems”(左手側のわずか数個の札束を指しながら…)
Mac君:“Do you think that that amount of money is going to help fix Vista?”
PC君:“I guess you are right. I’ll just put it all in advertising.”

Vistaの問題点を解決するための研究開発に投資しないで、広告宣伝にばかり巨額のお金をかけ、なんとかしのごうとしているマイクロソフトの姿勢を揶揄しています。
裏を返すと、マイクロソフトと違って自分たちAppleは、良い製品を作るための研究開発を優先させていますよというメッセージです。
昨日のブログにも書きましたが、Apple社は自分たちの成功の原動力は良い製品を作るというモノ作りにあると自負しています。
さてバイオ業界の話をしますと、残念ながらマイクロソフト的な傾向が強いように感じます。外資系企業が多いので日本国内での製品開発はもともとあまり行われませんが、少なくとも2003年頃までは各社は日本語でのサポートの充実に力を注いでいました。研究用の製品は使い方が単純ではないものも多いので、サポートの充実は製品の価値を高める「モノ作り」につながります。
それが近年ではサポート人員を減らして営業職を増やす行動が顕著です。
研究者にとっては、製品を手に取ってからが勝負です。製品が優れているか、サポートが充実しているかによって、研究が順調に進んだり失敗したりすることもあります。一部の優れた営業職はサポートまでフォローできますが、しかしそれも会社のサポートが充実していて初めてできることです。サポート人員を減らして営業職を増やす傾向が続くと、製品を売った後は知りませんということになってしまいます。研究者がこれから実験をして成果を出そうというときには、もうメーカーはあっちに向いてしまっているのです。
とても心配な状況です。