Facebookが日本で普及し始めていることを受けて、斉藤 徹さんがブログ”In the looop”に書いた記事を先日紹介しました。
昨日は斉藤さんの記事に対する反論というか別の見方を「もとまか日記」が書いていました。
どっちもそれなりに良い指摘はあるのですが、いずれも大切なことを忘れている気がします。それはマーケティングでとても重要な顧客のセグメンテーションです。いずれも顧客のセグメンテーションをせずに、インターネットを利用している人はこうだ!とあたかも一つのセグメントかのように議論しています。
そのもっとも顕著な例が後者のブログに書かれていたこの言葉。
「旧知の友人を探しやすい」
と言っても、昔の友人を探さなければならない人が
そんなに多いとも思えないしね・・・。
日本の人口の大半は、大学時代までインターネットも携帯も使っていない
何を言いたいかというと、日本人の大半は旧知の友人のメールアドレスも知らないし携帯番号も知らないということです。私の場合だと、大学の体育会はOB会がしっかりしているので卒業後にメールアドレスを確認していましたが、それ以外の学生時代の友人でメールアドレスを知っているのは少ししかいません。
日本の人口ピラミッドを見れば一目瞭然です。
日本でインターネットが普及したのは1995年ごろからですが、そのときに大学を卒業した人はいま37歳前後です。日本人の平均年齢は45歳ですし、人口ピラミッドを見ても37歳以下の成人は全体の1/4ぐらいです。
友人同士のコミュニケーションツールとしてのインターネットおよび携帯電話の活用度合いについては、恐らく37歳前後で大きな違いがあるはずです。そして旧知の友人とインターネットでコミュニケーションできていない人は、むしろ大幅に多数を占めていると考えられます。
DoubleClick Ad Plannerに見るデモグラフィックの違い
各ウェブサイトを利用しているユーザのデモグラフィックを見るツールとして、Google提供のDoubleClick Ad Plannerがあります。ここのデータの信憑性はハッキリ分かりませんが、他の方法では入手しがたい有益なデータが得られます。Facebookのデータ、Mixiのデータ。
例えばFacebook.comの人気上昇ぶりを見てみましょう。ここ半年間で急にアクセスが増えていることがわかります。
ではデモグラフィックとして年齢構成をfacebookとmixiとで比較しましょう。なお、このデータは日本からのアクセスのデータで、ガラパゴス携帯電話からのアクセスやアプリからのアクセスは含まれていないと考えられます。
ハッキリとした違いがあるのは、Facebookのユーザに45歳以上が多いことでしょう。Mixiは30歳から44歳までのセグメントが多くなっています。
どうもこの45歳前後(私が言っている学生時代にインターネットがあったかどうかの境目あたり)がFacebookとMixiの人気の分かれ目のように思います。
恐らく斉藤 徹さんの意見は45歳以降の世代の考えを代表していて、「もとまか日記」さんの意見はそれより前の世代の考えを反映しているのではないでしょうか。お互いの意見が異なるように見えますが、単に違う世代、違うデモグラフィックについて語っているだけのように思えます。
それでFacebookは日本で人気が出るの?
最後に結論ですが、もし斉藤 徹さんの意見が45歳以降の動向を正確に見極めたものであるならば、日本の人口構成を考えたとき、間違いなくFacebookはMixiに迫るかもしくは追い抜く存在になるでしょう。
若い世代にとってはMixiを手放す理由がないのは「もとまか日記」さんの言う通りです。でも実名主義のFacebookは日本のSNSの空白地帯が狙えるのです。それはデモグラフィックを見て初めて分かります。