Appleが特許訴訟でHTCに限定的な勝利を収めたという話題にネットで流れています。でもその特許が何なのかをちゃんと紹介しているものはほとんどありません。
やっとしっかりしたものを見つけましたので、紹介します。
栗原潔 (テックバイザージェイピー)「Appleが特許戦争でHTCに限定的勝利」
要約した上で私の見解を補足します。
特許の対象と回避策
- 侵害はHTCに限らず、Androidを使っているすべての機器が対象。(問題となっているのはAndroidのLinkifyという機能。
- HTCの言う回避策というのは、Linkify機能を使わなくすること、削除することです。代替策を講じる訳ではなさそうです。
- 問題となっている特許は、メールテキストなどの内容のうち、電話番号、住所、ウェブサイトの内容を自動的にリンクに変換する技術をカバーしています。今日のメールソフトでは当たり前となっている機能です。(詳解はこちら)
この特許の影響
この特許だけでも以下のようになると私は予測します。
- 代替案が見つからない限り(そして特許を見る限り代替は難しそうです)、Googleは少なくとも新OSではLinkifyを外すでしょう。侵害を知りながら配布し続けると、訴訟時の賠償額が3倍になるそうですし、携帯端末メーカーもこれを避けたがるでしょう。
- 結果として新しいAndroid端末からはLinkifyの機能は削除されます。
- Linkifyの機能はスペック表に現れるものではありませんので、短期のAndroid端末の売り上げには影響はありません。
- しかしLinkifyの機能は今日のメールソフトでは当たり前の機能です。ましてはパソコンよりもコピーペーストがやりづらいスマートフォンの場合は、より重要性が高い機能です。したがってほとんどのユーザは不便さを強く感じるでしょう。
なおAppleとMicrosoftは1997年に特許紛争の和解をしていて、そのときに広く特許のクロスライセンスをしました。今回の特許についてもMicrosoftにはライセンスがあるはずです。したがってWindows Phoneは訴訟の対象にはならないはずです。