書き込みをした後に読み返していてたら、ずいぶんと説明不足な点があることに気づきました。特に気になったのが「市場のイノベーションをゼロから一社でも盛り上げてしまう」が一体どうやってできるのかということ。それと「自分自身を捨てる勇気」がどうつながるのかということです。
これについては以前のブログ書き込み「iPadを見て思った、垂直統合によるイノベーションのすごさとアップルの宿命」でも紹介していますが、近いうちに改めて説明しようと思います。基本的にはChristensen氏の著書を参考に、パーソナルコンピュータの歴史の一部を紹介しながら説明しようと思っています。
ウェブアプリのフレームワークとして、今最もホットなRuby on Railsの開発者David Heinemeier Hansson (DHH)がブログに“Watching Apple win the world”をブログに書き込んでいました。
長い書き込みですが自分なりに一言でまとめると、「世界で一番優れた製品を作り、しっかり利益が出るように価格を設定すれば世界を勝ち取れる」、そしてそれをAppleが証明してくれたということだと思います。
僕も1994年からのマックユーザですので、気持ちは同じです。
ただ「世界で一番優れた製品を作る」戦略がうまくいかないことがあります。DHHも述べていますように、Windowsが全盛の頃もMacの方が優れているのではないかという話はありました。しかし多くの人は「そんなの関係ない。一番優れた製品が売れるのではない。売れているものが優れているのだ。」と言わんばかりのことを言っていました。
あるときは「世界で一番優れた製品を作」っている会社が勝ち、そしてあるときはMicrosoft Windows 95のように、極論するとコピー商品と言えるものが勝つ。どうしてでしょう。
どうして時代によって全く違う戦略が勝者となるのでしょうか。
私がClayton Christensen氏の理論を元に考えていることは、ちょうどiPadが発売された直後に書いたブログ記事に紹介しています。
iPadを見て思った、垂直統合によるイノベーションのすごさとアップルの宿命
自分の結論を言うとイノベーションが盛んに起こっている市場ではAppleのやり方が勝ちます。そしてイノベーションが衰退した市場ではWindows 95が勝ちます。
Appleのすごいのは、市場のイノベーションをゼロから一社でも盛り上げてしまうことです。そうやってApple自身が繁栄しやすい環境を自ら作っています。そのためには自社製品をカニバライズすることを恐れず、大胆に新しい製品を作っていく必要があります。古い自分自身を捨てる覚悟で、新しい自分を常に創造しないといけないのです。
Appleがイノベーションを起こせなくなったとき、自分自身を捨てる勇気がなくなったときが、Appleがまた衰退するときです。なぜならAppleは自社の主力製品をも潰しかねない破壊的イノベーションを続けることで、Christensen氏の言うInnovator’s Dillemaを辛うじて逃れているだけだからです。
Appleが絶頂を迎えている今だからこそ、瀕死だった時代を改めて思い起こす必要があると思います。