Daniel Eran Dilger氏が“Google appears ready to ditch Android over its intellectual property issues”と題された記事で、GoogleがAndroidを放棄する可能性について議論しています。そして様々な状況証拠を並べ、特に新しいものとしてGoogleの新しいChromecastデバイスが、Androidからいろいろな機能をそぎ落としたものになっていることを挙げています。
私は似たような意見を持っていますが、Androidをすぐに放棄するよりは、まずはAndroidをローエンド機用に最適化し、Apple iPhoneとの競合を避けていくのではないかと考えています。
理由はChrome, Android戦略ともに足腰が弱いためです。
Chromeブラウザはパソコンでは高いシェアを獲得しています(どれぐらい高いのかはかなり議論が分かれていますが)。しかしChromeが浸透しているのはここだけです。Android上のChromeは非常に浸透率が悪く、今後大きく改善する状況にはありません。またChromebookはウェブ使用率などの統計で全く登場しないレベルであり、メジャープレイヤーになる兆しはありません。
Chromeがパソコンで高いシェアを獲得している点についても、これは主にWindows XPで動くInternet ExplorerはIE8までだというのが大きな要因だろうと私は考えています。Windows XPの使用が減ればWindows上のデフォルトブラウザはIE 10, IE 11など非常に評判の良いブラウザになってきますので、Chromeのパソコン上の浸透率に陰りが出る可能性は大いにあります。
このようにChromeブラウザ戦略の見通しは必ずしも明るくありません。
一方Android戦略についても、タブレットでiPadに大きく後れをとり、どの統計を見ても使用率で大きく劣っています(販売台数ではiPadで競っているという統計はありますが、使用率では5倍以上の差がついているレポートばかりが出てきます)。Googleは広告で収益を得ている会社ですので、使われないタブレットが市場にあふれても良いことがありません。Google Nexus 7でタブレット戦略に力を入れていますが、初代のNexus 7の販売台数は目立ったものではなく、新型を出したところでどこまで改善するかは未知数です。
この状況でGoogleが自社の戦略を優先して、AndroidからChromeへの移行を積極的に進めることはないと思います。むしろスマートフォン上のAndroidはSamsungやHTCに任せて、タブレット上のAndroidに注力するでしょう。ただタブレット戦略もやり尽くした感があり、Googleにこれ以上何ができるかはっきりしません。
それとAppleが自動車に興味を持っていることが極めてはっきりしてきたので、Google Glassへのフォーカスを切り替えて、Androidを自動車用に作り替えることに必死になるでしょう。またまたAppleの真似です。
そう。これからのGoogleの注力は自動車です(Samsungも)。なぜかってAppleがそうするから。