ちょっと極端な題名ですが、50の国を比較してみた結果、一人あたりGDPが高い国はInternet Explorerを使う傾向にあり、一人あたりGDPが低い国はChromeもしくはFirefoxを使う傾向にあることがわかりました。
各国の一人あたりGDPはIMFの2010-2012年の数字、それぞれの国の使用OSと使用ブラウザはStatCounterの2013年7月のデータを使いました。また使用した国は、CIAの各国インターネット人口統計の上位から50国としました。
仮説はこうです。
- 一人あたりGDPが低い国は古いパソコンを使い続ける傾向が強く、未だにWindows XPの使用率が高いでしょう。
- Windows XPではInternet Explorer 8までしか使えません。Internet Explorer 8は性能が悪いので、ChromeやFireFoxを使っている人が多いでしょう。グラフは別のポストに掲載していますのでここでは掲載しませんが、Windows XPの使用率とChromeやFireFoxを使っている人の割合は相関します。
- 逆に一人あたりGDPが高い国は新しいパソコンに買い換えている傾向が強く、Windows 7の使用率が高いでしょう。
- WindowsではInternet Explorer 9もしくは10が使えます。特にInternet Explorer 10はChromeよりも高速だという結果も出ており、高性能です。敢えて標準ブラウザを使わずに、FireFoxやChromeに移るインセンティブが低いため、Internet Explorerを使っている人が多いでしょう。
以下はデータです。
仮説通りになっていることがわかります。
そして表題の通り「お金持ちの国はExplorerを使い、貧乏な国はChrome, Firefoxを使う」という傾向が鮮明に出ていることがわかります。
なおFireFoxを選ぶかChromeを選ぶかは一人あたりGDPとは相関はなく、別の要因で決まるようです。そのため一人あたりGDPとChrome使用率だけの相関は弱くなります。
緑で記したデータ点は中国と韓国です。韓国は政治的な理由で異常にIE使用率が高いので除外しています。中国はUser Agent Stringを書き換えているブラウザが多く使われている可能性が高く、StatCounterのデータの信頼性が低いと考えています。
考察
Chromeの使用シェアが拡大しているというデータもありますが、Googleにとっては喜ぶことばかりではないでしょう。確かに一人あたりGDPが少ない国でも快適にウェブブラウジングができるのはChromeやFirefoxのおかげです。しかしGoogleとしては広告収入が多く期待できる先進国でのシェア拡大が一番欲しいのではないでしょうか。
先進国ではWindows XPの使用率はかなり減ってきていて、Windows 7がメジャーになっています。Chromeは一時高性能でならしましたが、徐々にIE 10やIE 11に追いつき、測定結果によっては追い越されてきています。この傾向が続けば一般の人のChrome, FireFox離れが起こる可能性があります。
なおChromeがシェアを拡大しているのか、それとも縮小させているのかはStatCounterのデータとNetMarketShareのデータで互いに反対の結果になっており、よくわからないのが現状です。今回の分析の結果に単純にしたがえば、ChromeやFirefoxの使用率は減っていくと予想されます。