日本の通信関連で占うのなら、ガラケーがどうなるかでしょ

年末なので2014年はどうなるのかを予想してみるのが一つのお決まりです。そして日本の携帯電話を含めた通信分野に関していえば、占うべき課題はガラケーの将来、そして日本の携帯電話メーカーの将来がまず第一ではないでしょうか。

  1. 9月26日にパナソニックが個人向けスマートフォン開発からの撤退を発表
  2. 7月31日にNEC (NEC・カシオ・日立) がスマートフォンの開発と生産から撤退を発表
  3. 残るはシャープ、ソニー、富士通、京セラ (情報通信総合研究所)
  4. ドコモがiPhoneの取り扱いを開始した

これだけのことがあれば、残された日本の携帯メーカーは2014年を乗り切れないのではないかと心配してしまいます。

その一方でガラケーを使い続ける人にも今年はスポットライトが当たりました。ガラケーには根強い人気があるということです。NHKでは「ガラケーの逆襲」という番組もやりました。

そう考えると2014年のシナリオとして以下のことが考えられます。

  1. 日本の携帯電話のうち、スマートフォンから撤退する会社が後2つぐらいは出るかも知れません。
  2. ただしスマートフォンから撤退しても、パナソニックのようにガラケーを売り続けるかもしれません。
  3. スマートフォンの市場は飽和し、スマートフォンとガラケー共存の時代になるかも知れません。

これはこれで構わないのですが、世の中の進歩という意味ではいささかつまらないシナリオです。そこで「占う」というよりも「現実的な希望」という意味で、2014年にこうあって欲しいというシナリオを描きたいと思います。

スマートフォン or ガラケー ではない

ガラケーを愛用し続ける人が挙げる理由は大まかに次の2つです;

  1. ガラケーの方が月額料金が安い
  2. ガラケーの方が電池が持つ
  3. ガラケーの操作性に慣れている

このそれぞれのポイントは現在スマートフォンにはなくてガラケーにだけある特徴です。もしこれらがスマートフォンでも実現されれば、ガラケーを使い続ける理由がなくなります。

そこでこれを検証したいと思います。

どうしてガラケーの方が安いのか

ガラケーを作るためのコストは実のところ、結構高いのです。信頼性のある情報をウェブで見つけるのはなかなか大変なのですが、ケータイの開発現場にいたという人のこのブログに情報がありました。

私はケータイの開発現場にいたので、2万円未満のケータイの実現性は何となくわかります。ケータイのハイエンド機種と中位機種の中身に大差ありません。核となるチップやファームウェアは同じものを使用し、音源チップやLCDの変更などでコストを削っています。このやり方でさらに半額以下にするのは至難です。端末の価格はメーカーの原価だけでは決まりません。販売店やキャリア、運送業者なども利益を出す必要があります。

2万円未満で新機種を販売するには、最初からそれが可能な開発手法が必要です。仕様の割り切り、設計の外注、製造の外注、直販、エアダウンロードのあり方、販売期間の設定、等々。

一方でスマートフォンは開発競争が激しいせいか、それとも部品が少なくて製造しやすいせいか、世界ではかなり安価なものがSIMロックフリーで販売されています。性能的も特にWindows PhoneのLumia 520などは好評です。Lumia 520はSIMロックフリーで2万円以下で売られ、今では1万円ぐらいまで値下がりしています。

こう考えると少なくとも2014年時点において、スマートフォンの端末価格はガラケーの端末価格を下回ります(ずっと前からそうだったという話もありますが)。

そうであるならば、スマートフォンの通信量をソフトウェア的に抑制し、ガラケーと同じような通話・メール中心の安価な料金プランを用意することは可能なはずです。ウェブを見たりFacebookを見たりする時にはWiFiを使ってもらえば良いのです。

細かい技術ハードルはいくつもあるでしょうが、ハード的にも通信環境的にも非常に整備されている現状では大した問題ではないだろうと想像されます。

実はGoSmart MobileというT-Mobileのサービスの一つが、無料のFacebook接続プランというのを1月から提供する予定です。通話料のみのプラン(25 USD)を利用している顧客でも、Facebookだけは追加料金無しでアクセスできるサービスです。

Facebookをキャリアメール、もしくはLINEに置き換えると日本人にはわかりやすいと思います。通話料のみのプランだが、キャリアメールとLINEだけは使い放題。他のインターネットサービスは有料。

是非こうなって欲しいと思います。

スマートフォンの電池をもっと持たせる方法はないか?

スマートフォンの電池を長持ちさせるのは技術的には簡単ではなさそうです。iPhoneも処理能力は飛躍的に進化していますが、電池の持ちはそれと比べて余り進化していません。

ただ手段が尽くされたという状況でもなさそうです。例えばiPhoneとAndroid端末を比較すると、iPhoneは半分ぐらいしか電池容量がないのに動作時間では大きく負けないという結果もあります。2014年にはまだ大きな期待はできませんが、徐々に電池の持ちは改善していくかも知れません。

操作性の問題

操作性については慣れの問題があります。そしてガラケーの操作がしやすかったかと言えば決してそうでもなかったという気もします(先日、父のドコモのらくらくホンの使い方がわからなくて苦労しました)。何とも言えないところがあります。

「らくらくスマートフォン」で強く感じるのですが、「楽にする」ということと「覚えたいと思わせる」ことはセットで考えないといけません。「楽にする」を強調する余り、魅力的な機能を削ってしまうと「覚えたいと思わせる」ことができません。

そして顧客にアンケートをとると決まって「楽にする」系の解答が多くなる一方で、「覚えたいと思わせる」系の解答は少なくなります。「覚えたいと思わせる」機能はまだ実現されていないことなので、顧客はまだニーズを感じていませんから。

このあたりはApple以外はほとんど実績がないところなので、なかなか進歩がないかも知れません。

まとめ

こうあって欲しいことの中で、一番実現可能なのは最初の通話料の問題だと思います。もちろんキャリアとしてみれば「稼げるだけ稼ごう」というのがあるので、余り積極的にはやってくれないかも知れません。

一方でガラケーで何とかしのぐというのも凄く不自然な状態です。利益的にも不利なはずです。2014年に何か新しい方向性が生まれたら良いなと思っています。

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