お金というのは最も役に立たないスコアカード

The Canadian Pressの記事に、GiveMeaning.comを立ち上げた20代後半の社会起業家、Tom Williamsの話が紹介されていました。

記事によると、GiveMeaning.comは小さな草の根的なチャリティーと、お金を小額ずつ出す個人の間を取り持って、寄付したお金が具体的に何に使われたかという透明性を大切にしたサイトだということです。

Tom Williamsはアップルでの高収入な仕事をやめて、GiveMeaning.comを立ち上げています。
“It used to be all about the money, but you know what I found out is money is the most useless scorecard because there’s always a guy who has way more money, who is far less intelligent, who is far less moral or ethical, and yet he has more money. It was frustrating, I was pulling my hair out. Now, I can say my measurement of my success is around how much meaning I’ve made. If somebody is making more meaning than me, all can say is, ‘Man, I admire you.’ As opposed to ‘I envy you.’ ”
「前はすべてがお金でした。でもその中でわかったのが、お金というのは最も役に立たないスコアカードだということでした。なぜかっていうと、どこにいても、自分よりも頭が悪く、倫理的に劣るけれでも、それでも自分よりもお金がある人は常にいるからです。この頃はすごく不満がたまりました。でもいまの自分にとっては、成功の尺度は自分がどれだけ意味のあることを成し遂げたかです。自分よりも意味のあることをしている人がいたとしても、”お前のことがうらやましいよ”ではなく、”お前のことは尊敬するよ”って言えるから。」

バイオの業界の収入というのは、大部分が国民の税金です。ですからバイオの業界で働く人間は、常に福祉の心を持つべきだと僕は思っています。少なくとも、自分の仕事がどれだけの収入になるかだけではなく、どれだけ世のため人のためになったか。より短期で考えれば、自分たちの仕事の結果、どれだけ研究者を手伝うことができたかを意識しなければいけないと思っています。それこそがバイオ企業の存在意義だと思います。

僕の夢は、Castle104がバイオの研究者から、”お前らのことは尊敬するよ”っていってもらえる会社になること。

マーケットシェア追求の過ち

ペンシルベニア大学のWharton校のJ.Scott Armstrong先生の研究で、マーケットシェアに固執することが利益の低下を招くことが導かれているそうです。The ‘Myth of Market Share’: Can Focusing Too Much on the Competition Harm Profitability?

競争に勝つことではなく、利益を最大化することが大切だということ。そして競争に勝ってマーケットシェアの最大化につとめるあまり、多くの経営者は利益を喪失していると説いています。

トヨタ自動車、キャノン、任天堂などを、マーケットシェアではなく利益の最大化に勤めている企業の例に出し、一方でPS3やXboxのソニーやマイクロソフトをマーケットシェアに固執するメーカーの例に挙げています。

バイオの業界では競争が激化し、値下げが恒常的に行われています。売上を最大化しようというあまり、営業の増強にばかりリソースを割き、テクニカルサポートやフィールドサポートの人員は減らされています。付加価値を最大化し、利益を最大化するのではなく、「売り込む」ことに力が注がれています。いまは利益がなくても、このようにしていったんマーケットシェアをとれば、将来利益が得られるという幻想を追いかけているのです(どこかのPS3のように)。でも結果として、研究者にとってもっとも価値を提供してくれるテクニカルサポートとフィールドサポートの人員が削減されているのです。とても悲しいことです。

ちなみにABC World News Webcastを昨日見ていたら、老人ホームでWiiが盗まれて悲しんでいるおじいさんおばあさんが紹介されていました。このような人にも喜んでもらえる商品こそがすばらしいと思う今日この頃です。