ASPサイト内検索の限界:GE Healthcareのサイト内検索が改善された件

表記の記事をCastle104公式ブログにアップしました。

ASPサービスをサイト内検索に利用した場合の利点や問題点について言及し、バイオの買物.comの取り組みについても紹介しています。

ちょっと力が入った記事ですので、ぜひご覧下さい。

新聞がなせインターネットに乗り遅れ、業績を悪化させているか

AsymcoのHorace Dediuが新聞の現状について、どうしてこうもインターネットに乗り遅れて業績を悪化させているかについて述べています。

The integrated iPad news daily: Read all about it!

現在の新聞社は印刷工程の存在があまりにも巨大であることを紹介し、インターネット時代に適応するには全く新しい形の会社が出現する必要があるのではないかと結んでいます。

要するに新聞にとってのインターネットはClayton Christensen氏が言うDisruptive Innovationであって、新しい企業が主導権を取り、産業構造を変えるものだということです。逆の見方をすると、普通に言われる「良い経営」をしていると既存の新聞社は完全に追いやられてしまうということです。

Disruptive Innovationで主導権を取りうる新しい企業の例としては、Rupert Murdoch氏とSteve Jobs氏が準備していると噂されている”Daily”に期待が集まります。

この”Daily”はiPad専用で、印刷版もWeb版も用意しないそうです。そして毎週たったの$99で購読できます。ざっと今の日本の新聞(例えば日経電子版)のたった1/10の価格です。

これだけの低料金を実現するため、社員構成は今までの新聞社と全く違うものになります。完全にジャーナリスト主体です。100名ほどのジャーナリストとわずか8-10人ぐらいのテクニシャン。これだけの新聞社にするつもりだそうです。もちろん印刷機械等も必要ないので、設備投資も非常に少なく済むでしょう。

ほとんどジャーナリストだけの会社にして、印刷だとか営業、運搬等の業務を行わないということは、まさに新聞社としての本質への回帰です。購読者としては歓迎できることではないかと思います。

逆に日経電子版等が印刷版と比べてほとんど値段を下げられなかった理由は、やはり印刷版とインターネット版を両方抱えることによって生じる様々な内部矛盾にあったのではないかと想像されます。

最終的には記事の質が良いかどうかにかかっていますが、何しろ価格が魅力的なので、”Daily”の形ならかなりいけそうな気がします。

子供が学校で意地悪を受けたとき、どう話すか?

まだ3歳10ヶ月の長女の話ですが、子供どうしで遊ぶようになってまだ2年も経たない年頃なので、子供として初めて体験する友達同士のトラブルが発生します。

特に男の子は言葉が汚くなることもあり、長女に対してもちょっと意地悪な言葉だとか行為が出てくるようです。

それはそれで全く仕方のないことなのですが、そういうことを親に話してくれる長女にどういう言葉をかけてあげるか。大げさに言えば、その言葉が何かによって、その人の価値観のかなりの部分が見えてくるのではないかと思ったりします。

僕が長女に言っているのは「意地悪をする子はちょっとおバカさんだから仕方がないの。あなたはひらがなもカタカナも読めて、英語も勉強しているでしょう。でもあの子は出来ないよね。でもおバカさんだって言ったら、あなたもおバカさんになっちゃうので、絶対に言わないようにね。おバカさんが可哀想だからね。秘密だよ。」

僕はハンムラビ法典的な「目には目を」という考え方は、現代には合わない原始法律として理解しています。そうではなく、マハトマ・ガンディーの言う「”目には目を”は全世界を盲目にしているのだ」こそが僕の価値観です。少なくとも昔の日本の親の多くは「いじめられたらやり返せ」と子供に言っていたそうですが、僕はその考え方は間違っていると思ってます。

僕の考え方では「意地悪」だとか「いじめ」というのは加害者の未熟さに由来していて、「いじめられたらやり返せ」というのは自分の子供に「未熟者と同じレベルになれ」と言っているのと同じです。ですからそういうことは絶対に言いません。

同時に「意地悪」や「いじめ」に耐えたり許してあげたりするためには、自分の方が精神的にも能力的も優れているという自信が大切だということを理解しています。これは自分自身の経験もあります。自分に自信がある人間は、多少の辱めを受けたとしても聞き流すことができます。その一方ちょっとの侮辱ですぐに逆上する人間は、自分自身に自信がないのです。少なくとも僕はそう考えています。

ですから長女が「意地悪」をしてきた子を許すためは、長女が自分自身に自信を持たなければなりません。そのために自分の能力を再確認させて、そして逆に「意地悪」な子を可哀想に思えるようになる必要があります。

僕は自分のこのような価値観に基づいて、長女に先の言葉をかけました。

でもこういうときに対応はやはり難しいと感じます。それぞれの親によって、全く違う言葉をかけるでしょう。

このブログを読んでくださっている方も、自分だったらどういう言葉をかけるか、そしてそれが自分のどのような価値観に基づいているのかを考えてみたらいかがでしょうか。きっと自分の価値観がよりよく理解できるようになるのではないかと思います。

Applied BiosystemsのTaqMan® Assays QPCR Guarantee Programって素晴らしいアイデアだと思う件

Applied Biosystems (Life Technologies)がTaqMan® Assays QPCR Guaranteeというのを始めるそうです。

内容はこうです。

  1. カスタムTaqMan Assayを除くすべてのpre-designed TaqMan Assayが対象です。
  2. 実際に購入してみて、思い通りの性能が発揮できなければ(結果が出なければ)、必要に応じて無償で交換してくれます。
  3. ただし結果が出ない理由がAssay側にあるのか、それともサンプルにあるのかを確認するために、事前にテクニカルサポートに問い合わせる必要があります。

NewImage.jpg細かいことは十分に調べていませんが、このアイデアはとても素晴らしいのではないかと思います。

顧客である研究者にとってみて得なのは一目瞭然です。再実験の手間は仕方ないとしても、追加の費用が発生しないというのは大きな安心です。メーカーがまじめに向き合ってくれるという期待も生まれます。

そしてこの仕組み、実はメーカー側にこそメリットがあるのではないかと思います。Pre-designed TaqMan Assayの仕組みがそうさせています。以下に解説します。

  1. Applied BiosystemsのPre-designed TaqMan Assayは非常に膨大な数になります。ブローシャーの12ページにもありますが、製品はRefSeq (human, mouse, rat)を網羅し、その他のターゲットも多数あります。19の生物種を対象になんと120万 Assayがデザインされています。
  2. 120万 Assayというのはべらぼうに大きい数字です。仮に1アッセイが¥10,000で合成できたとしても(ABIの定価は¥39,000)120億円かかります。これはInvitrogenの日本国内年間売上げに相当する金額です。
  3. このため、Assayのほとんどはコンピュータの中で設計されただけの段階であり、実際に合成されている訳でもなければ、実験的に性能が確認されている訳でもありません。
  4. それでも安心して研究者に利用してもらうにはどうすれば良いかを考えなければなりません。販売前の品質管理が現実的でないのであれば、顧客に品質管理の協力をしてもらうのは一つの選択肢です。

通常であれば、仮にうまくいかないアッセイに当たったとしても、多くの研究者が泣き寝入りすることが多いでしょう。「研究用試薬なんて所詮そんなもの」という割り切りで、メーカーに連絡もしないで損をかぶるでしょう。

一部の研究者はテクニカルサポートに連絡をしてくるでしょう。そしてテクニカルサポート側とすれば、いろいろな面倒が起こると大変なので、その場その場で代替品を無償で提供したりするでしょう。通常であればそのコストは原価ではなく、販売費用に計上されてしまいます。ですからこのようなケースが頻発するようであれば予算の振り分けに影響が出てしまいます。

それに対して今回のように品質保証プログラムを実施すれば、良い結果が得られなかった研究者は非常に高い確率でフィードバックをくれます。そして社内にこれを吸い上げる正式なルートがあるということなので、フィードバックはきっちり製品開発部門に伝わり、次製品の改良に活かせます。その上、テクニカルサポートも非常に明確で分かりやすい対応が可能になり、顧客への接し方も良くなるはずです。経理上の問題にしても、このプログラム内であればコストはすべて原価に反映されますので、販売部門の予算への影響がありません。

もう一つ、このプログラムのメリットを大きくしているのは、代替品が簡単に作れるということです。所詮は計算機で設計して化学合成するだけの話ですし、通常のターゲットであれば、計算機がはじき出すデザイン候補は複数あるはずです。そこである1つのアッセイがうまくいかなかったら、計算機がひじき出した2番目の候補を作れば良いのです。そしてこれを顧客に送って、評価してもらえれば良いのです。

抗体の場合はこうはいきません。同一のターゲットに対して何種類もクローンがある訳ではありませんので、代替品を出すと言っても同じクローンしか出せないことの方が多いでしょう。

なおsiRNAはTaqmanアッセイと同様に計算機の中でのデザインが可能ですので、すでに同じようなアプローチが複数のメーカーでとられていると記憶しています(ちゃんと調べていませんが)。ただTaqmanアッセイの方にメリットがある理由は、実験結果がよりクリアだからです。siRNAの場合は生細胞が相手になるので、顧客が行った実験をメーカーがどれだけ信用するかは難しくなるでしょう。とはいうものの知的所有権の関係で競争が激しいので、siRNAに関してはメーカーは積極的にいろいろな策を打たざるを得ません。

感想

このようにTaqMan® Assays QPCR Guarantee Programは顧客にとってもメーカーにとっても非常にメリットのある、かなりウィンウィンの企画だと感じました。そしてそのメリットはTaqMan Pre-designed Assaysの技術およびビジネス上の特徴が背景にあります。

とは言うものの、同じように双方ともメリットのある企画はきっと他にもたくさんあるはずです。一所懸命になって頭をひねらないといけないかもしれませんが、ぜひ多くのメーカーにがんばってもらいたいです。その一助としてバイオの買物.comが役立つことが、僕の大きな願いです。

Google TVのレビュー記事

New York TimesのDavid PogueによるGoogle TVのレビュー記事がありました。

“Google TV, Usability Not Included”

要点は

  1. Google TVは機械好きの人には面白いかもしれませんが、一般の人には向きません。
  2. キーボードはSonyの場合はXBoxコントローラーとキーボードの組み合わせ、Logitechの場合はトラックパッド付きのフルキーボードとなっています。
  3. 使い方が分かり難い。
  4. 大手のTVネットワークはGoogle TVがウェブページに接続するんをブロックしているので、Google TVからオンラインの番組が見られません。それなのにこれらの番組はGoogle TVのテレビ番組一覧に表示されてしまっています。

かなりぼろぼろに書かれてしまっています。

GoogleTV.jpg

「若者が海外勤務を嫌うようになった」ってどれだけ本当か

ふと思いました。

「最近の若い社員は海外勤務を嫌う」ということがテレビで放映されているのを昨日見ました。同じような論調の新聞記事もよく見かけます。

近頃の若者の内向き傾向を批判的に論じたり、あるいはこれからの日本は海外に出て行かなければならないとハッパをかけたりするときに、このことがよく取り上げられます。具体的には最近の社員に聞くと、海外勤務を希望する人数がガクッと減って、ずっと日本にいたいという人が多いらしいのです。

さてこのような傾向が本当にあるのかないのか、実際に調査をしている訳ではないのですが、どうも鵜呑みには出来ないデータじゃないかなと思います。というのも一昔前の「海外勤務」と現代の「海外勤務」って全く状況が異なるからです。

一番端的なのは、赴任先が変わったということです。昔の海外勤務であれば欧州や米国を想像しましたが、今の赴任先は上海を筆頭にアジアが断然多くなっています。また日本も相対的に貧しかったので、日本よりも豊かな生活の国に行くのが昔の海外赴任でした。それに対して今の海外赴任は、日本よりも生活水準が低いところにいくのです。

昔だったらあこがれの地に、会社からの手厚い手当をもらい、優雅に数年間住めるというのが海外赴任でした。私も父親の仕事の関係で幼少時代を英国で過ごしましたが、それは確かに良い生活でした。

それが今の海外赴任は、日本よりも貧しい国で、現地の人のパワーに圧倒されながら生活するものです。住めば都ということも多いとは思いますが、海外赴任のイメージは今と昔とでは全く違います。

「日本の若者は内向きになった」と残念がっている人は、日本と他国の関係が全く変わったということを再認識した方が良いと思います。これは少なくとも部分的には日本が豊かになったことの結果であり、経済の焦点が発展途上国に当てられていることの結果なのです。

それを考慮した上で、今後の日本の方向を考えるのが正しいやり方ではないでしょうか。

Appleの競合製品は皆Safariベース:イノベーションは土台が大切

スマートフォン市場、特にビジネス向け市場で圧倒的な優勢を誇っていたResearch in Motion (RIM)のBlackberryですが、最近AppleのiPhoneがそのシェアを越えたということが話題になっています。

それに対するResearch in MotionのCEO Jim Balsillieが反論というか強がりを言っている記事がありました。

RIM CEO Jim Balsillie To Steve Jobs: ” You Don’t Need An App For The Web”

この中で、iPhoneの大きな強みがApp Storeにある膨大な数のアプリであることに対抗して、RIMのアプローチはすべてをブラウザでやることだと主張しています。

Balsillie went on to contrast the Blackberry approach to Apple’s when it comes to web apps. There may be 300,000 apps for the iPhone and iPad, but the only app you really need is the browser. “You don’t need an app for the Web,” he says, and that is equally true for the mobile Web. The debate over mobile apps versus the mobile Web. Blackberry is betting on the Web, much like Google.

近々発売される予定のPlayBook Blackberry Tabletにしても、アプリはないかも知れないけれどもWebブラウザがすごく早いよと自慢しています。

でもBlackberryのブラウザはAppleが開発したWebkitベース

Safari.jpgしかしJim Balsillieが自慢しているWebブラウザは実はAppleが開発し、Safariにも使われているWebkitがベースです。

WebkitはAppleが中心に開発しているオープンソースのブラウザ基盤技術で、Nokiaブラウザ、Google Chrome、Palm WebOSにも使われています。次世代スマートフォンの中では圧倒的なシェアを誇っているどころか、現時点ではデファクトスタンダードの感すらあります。

Jim Balsillieが自慢しているWebブラウザの良さって、ほとんどがAppleが開発した技術に由来するのです。なんか変ですよね。RIMだけでなく、iPhoneに対抗しようという製品もすべてAppleの技術を中心にしています。

こんな状況なので、スマートフォンでイノベーションを起こしているのはAppleだけで、Googleを含めた他社は単に追随しているだけというのも仕方がないように思います。

イノベーションは「今」を犠牲にしてでも、土台が大切

AppleがWebkitに取りかかったのは2002年。Mac OS X用の新しいブラウザ、Safariを開発するのが目的でした。オープンソースだったKHTMLをベースに始まりました。

当時はMozillaのGeckoエンジンの方がはるかに成熟していて、そっちをベースにすれば多くのウェブサイトを問題なく表示できるブラウザがすぐに作れるのにと思ったものです。KHTMLをベースにしたため、初期のSafariは多くのウェブサイトで問題を起こし、しばしばFirefoxを立ち上げなければなりませんでした。それでもAppleがKHTMLを選択した理由は以下のメールに記されています。

Greetings from the Safari team at Apple Computer

The number one goal for developing Safari was to create the fastest web
browser on Mac OS X. When we were evaluating technologies over a year
ago, KHTML and KJS stood out. Not only were they the basis of an
excellent modern and standards compliant web browser, they were also
less than 140,000 lines of code. The size of your code and ease of
development within that code made it a better choice for us than other
open source projects. Your clean design was also a plus.

ユーザからすると最初の頃のSafariは確かにスピードは良かったのですが、バグが多くて必ずしも実用的ではありませんでした。Webkitのバグがなくなり、ほとんどのウェブページを問題なくレンダリング出来るようになるまでは何年もかかりました。その間はKHTMLを選択したのは本当に正しかったのか、ユーザとしては疑問に思うことも少なくありませんでした。当時のKHTMLはまだ完成度が低く、完成させるまでにはたくさんの開発が必要だったのでしょう。

しかし今にして思えば、Appleは最高の判断をしました。コンパクトで効率的なWebkitがあるおかげでiPhoneにフルブラウザを搭載できました。他の技術で代用が可能だったか(例えばGeckoをベースに)と言えば、他メーカーもこぞってWebkitを使っていることから判断すると、それはあまり現実的ではなかったとも思えます。

Webkitがここまで成功した理由を考えると、以下に要約できると思います。

  1. Geckoという完成した技術を使わず、土台がきれいでしっかりしているという将来性を見込んでKHTMLを選択しました
  2. その際、はっきりと「今」を犠牲にして、「未来」を選択しました
  3. そしてその「未来」を実現するべく、2002年から継続して開発を行いました

かなり勇気のいる決断をしています。

でもそれがイノベーションの肝なのだと思います。

Google, メーカーを訴えてくれ:AndroidのJava特許侵害

GoogleがAndroidの中でJavaの特許を侵害をしているというOracleの訴えについて、Googleからの反論があったそうです。

反論の根拠はいくつもあるのですが、その中の一つ

Sixteenth Defense – Third Party Liability
24. Any use in the Android Platform of any protected elements of the works that are the subject of the Asserted Copyrights was made by third parties without the knowledge of Google, and Google is not liable for such use.

要するに、GoogleはAndroidによって何ら収入を得てる訳ではないし、オープンなプラットフォームですよ。特許侵害あったとしても、Googleは知らないし責任はないよという話です。

Androidベースの携帯を作っているメーカーとしてみれば、GoogleはOracleからの訴えに際して何も守ってくれませんよ、あくまでも自己責任なのかという話です。

Oracleから訴えられるリスクを抱えてまでAndroidベースの携帯電話をいつまで売り続けるのか。ある時点で個別にOracleと交渉するべきなのか。メーカーにとっては悩ましい問題となりそうです。

Apple TVが今度こそ売れそうな気配

Apple TVが今度こそ売れそうな気配がしています。

僕のTwitterのTLでもApple TVを買って、ビデオレンタルを早速している人がいます。これは日本での話。

また一番はっきりしているのがついさっきからインターネット上で話題になっているニューズ。

Amazon.comの電子機器のカテゴリーにApple TVが12-13位で登場したという話題です。もちろん米国での売上げの話です。

まだまだ勝負はこれからですが、広告を全然流していない段階でこれなので、もっともっと期待できるのではないでしょうか。