Designed by Apple in California. Assembled in China.

タイトルは僕のMacBook Proの裏面に書いてある文言。

「カリフォルニア州のアップル社でデザイン。組み立ては中国。」

考えてみれば当たり前のことです。先進国の人間は高い給料をもらうのだから、付加価値の高い仕事をしなければなりません。組み立て作業というのはその付加価値の高い作業ではないのです。ですからその付加価値相応の低い給料で働いてくれる中国本土の中国人に作らせないと、採算が合いません。

日本が国内でのモノ作りに固執し、付加価値の低い組み立て等の作業も日本で日本人がやるべきだとか考えると大きく方向を間違えます。あるいは日本企業は中国の企業と競争しないといけないので、雇用の自由化を推進し、より安い給料、もしくはより悪い労働条件で働いてくれる日本人が雇用しやすいようにしてあげるべきだという議論も危ういです。

日本企業の活力を取り戻させるべく、企業が抱える様々なコストを低減させてあげて、人件費が安い発展途上の国と戦えるようにしよう。例えば法人税減税をしてあげましょう。税収が減った分は公務員の人件費を減らしましょう。企業が無駄なコストを抱え込まないように、いつでも首が切れる派遣社員を主力にしましょう。多くの経済人が述べている成長戦略を要約すると、こう言っているように感じます。

これでは絶対に勝ち目のない戦いを挑んでいるだけです。無駄な特攻を仕掛けているだけです。

逆立ちしたって平均年収が39万円の中国人とは同じ土俵では戦えません。日本の社員の方が若干は品質に対する意識が高かったりするかもしれませんが、それでも10倍近いギャップを埋めるとなると、どう考えたって無理です。

日本の経済人は、人件費が1/10の発展途上国とどうやって戦うかをみんな考えています。

これは間違いです。
例えば孫氏の兵法でも読むことをお勧めします。

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2010年6月のクリックスルー(メーカー人気ランキング)をアップ

バイオの買物.comのまとめてカタログ6月メーカー人気ランキング(といっても単なるクリックスルーの集計)をアップしました。

今後はバイオの買物.comの公式ブログにも情報をどんどんアップしていきますので、こっちだけでなく、そっちの方もご覧下さい。

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次号のアイデアは既に決まっていて、20100709号で紹介しているバイオの買物.comのメーカー人気ランキングの解説と、そこから分かるメーカーサイトの大きな落とし穴について紹介する予定です。

乞うご期待

昔の友人・同僚との会食

最初の会社に入社したのが今から16年前。そのときからの同僚、後輩、そして営業に来てくださっていた方と今日、会食をしました。

私はその会社を去って10年近く経ちますので、非常に久しぶりに昔の話をしました。

思うに50-60歳ぐらいになったときの昔話というのは、昔を懐かしむためのものかもしれません。

しかし40代前後の昔話、少なくとも今日私がしてきた昔話というのはそれだけではありません。20代あるいは30歳になったばかりの頃には気づかなかったこと、人生経験を重ねることによって初めて知り得たあの頃のこと、当時は話せなかったけど今なら話せること。そういったことが素直に言い合えました。

10年間たまっていたことが、今日は少し放出できた気がします。より広い世界を自分の目で見ることによって、初めて感じ得た他人への尊敬の気持ち、感謝の気持ちというのがあります。今日はこれを少し伝えることができた気がします。そして逆にそれをいただくこともできました。

懐かしむような昔話をするのはまだ早い。そういうのはあと10年は先にしたいと思っています。その前に僕の人生でこれだというものを一つ成し遂げたい。今日の昔話は、そのための力をもらったような気がしています。

それにしても人生はそのときの年齢によって様々に変わっていくのが面白いです。なんだかますます楽しみになってきました。

明日からまたがんばろう。

「増税」と「織り込み済み」

消費税増税の話が選挙戦をにぎわせています。

1) 増税をしないと日本の財政は破綻するという議論、2) 増税をすれば日本の景気はよりいっそう後退するという議論、そして 3) 増税しつつ景気を向上させる第三の道があるという議論等です。

僕は政権交代時には2)の立場を取っていましたが、今は3)という立場を取っています。なぜかというと株式市場でよく使う「織り込み済み」の状態になってきたと感じるからです。

「織り込み済み」というのは、『株価に影響があるはずのニュースなど(材料)が、すでに株価に反映されていること』を指します。つまり株価を下げる方向に働くニュースがあるにもかかわらず意外と下がらないとか、逆に株価を上げるようなニュースがあっても意外と上がらないというとき、すでにそのニュースは予想されていて、株価にすでに反映されていたということです。

増税の議論に対しても同様の概念は当てはまるはずです。不思議とこれに言及している評論家はいないのですが、考え方としては以下のような話です。つまり日本政府の累積赤字がGDPの200%に達する勢いで、国債発行高が税収を上回っていて、さらにギリシャの破綻等のニュースが報道されている中、国民は将来不安を抱えているはずです。そして近い将来に増税があるか、あるいは年金・社会保障を減らされるか、あるいは国家が破綻するかのどちらかが必ず起こるだろうと誰しもが思うはずです。そして自衛策としては無駄な出費を抑え、将来への備えとして収入を貯金に回そうと考えるはずです。

最近では国民以上に企業が内部に蓄えている余剰金の方が貯金として大きなウェイトを占めるようになってきているという話がありますが、そこでも同様です。日本の国家が不安を抱えていて、国民が消費を抑制していて、さらに世界の経済が冷え込んでいるため、今積極的な投資をするという判断を経営を企業のトップは取りません。利益は投資ではなく、借金の返済および余剰金に回すことになるでしょう。

政治家が今は増税はしないと言ったところで、将来的には増税があるというのは普通に予想がつきます。あるいは国家が破綻するとも予想されています。そして現在の国民および企業の消費水準は、それをすでに「織り込んでいる」と考えても無理はありません。

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メーカーでの値段決定のプロセス

先日のブログで「日本の試薬・機器はなぜ米国より2-3倍 高かったりするか?」について僕の意見を述べました。

その中で多くに人が疑問に思うのは、どうしてメーカーが値段を下げないのかという点ではないかと思います。何か規制だとか、既得権益とかがあって、通常の市場メカニズムが働いていないのではないかと思っている人が多いのではないでしょうか。ですからそういう立場にありそうな個人や団体を非難して、悪者探しをしてしまっているのではないでしょうか。

僕がそういう人に言いたいのは、学校等で習う「市場メカニズム」は基本的に幻想だということです。多くの人が「市場メカニズム」と考えるのは需要と供給の均衡だと思います。しかし少なくとも市場での価格設定に関わったことのある人間、あるいはマーケティングの基礎を学習した人間であれば、需要曲線や供給曲線があんなにきれいになることはなく、受給のバランスで価格が決定されている訳ではないことが分かると思います。

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日本の試薬・機器はなぜ米国より2-3倍 高かったりするか?

ライフサイエンス研究支援の試薬や機器を日本で買うと、米国より2-3倍高いというのは割と一般的に言われています。実際には製品やメーカーによる違いが大きく、ものによっては米国より安い値段で売っていたりするのですが、古くからある製品についてはおおむねその通りです。

どうしてこうなってしまうのでしょうか?

日本と米国の流通システムの大きな違いは代理店の存在です。日本では顧客である研究者とメーカーの間にほぼ必ず代理店が入っています。代理店は研究者からの注文を受け、メーカーに発注し、製品が届いたら研究室に届けにいきます。それに対して米国では研究者は直接メーカーに発注し、メーカーから直接製品が届けられます。

日本と米国の違いは代理店の存在だから、代理店のマージンの分だけ価格が2-3倍になっているに違いない。そう思っている研究者も多いと思います。

しかし実際には代理店は平均で高々10%ぐらいしかマージンを取っていないと思います(希望小売価格に対しては20%以上のマージンが設定されていても、値引きしたりすると10%も残らないことが多いと思います)。特に大都市圏の研究施設であれば複数の代理店がしのぎを削っていますので、競争の結果マージンはかなり薄くなっています。製薬企業の場合は購買部ががんばっていることが多く、代理店が赤字すれすれでやっているケースも珍しくありません。

ようするに代理店が間にあるのは確かに日米の大きな違いですが、日米価格差の大きな要因にはなっていないということです。どちらかというと無視してよいぐらいの要因だと思います。

それでは内外価格差を生んでいる原因はどこでしょう?

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