Chrome OS, Chromebook, Firefox OSはいずれもブラウザを中心としたOSで、アプリは原則としてブラウザの中で動きます。
今のところChrome OS戦略は全然うまく行ってなさそうですが(1, 2)、どうすればうまくいきそうかを少し考えます。
いくつかの重要な用途で、既存の製品の上を行かなければならない
「新しいカテゴリーの製品が成功するためには、いくつかの重要な用途で既存の製品に勝る必要があります。」これはスティーブ・ジョブズ氏がiPadの発表のキーノートで語った言葉です。
Chrome OSのようにブラウザを中心に据えたOSならば、まずは当然ウェブブラウズが既存の製品よりも優れていないと話になりません。
でもそのような話はあまり聞きません。
既存製品ではカバーされていないローエンドを狙う
「既存の製品の上を行かなければならない」というのは、既存製品を既に持っている顧客に売り込むのに必要な戦略です。もう一つのやり方は、既存製品をまだ所有していない潜在顧客を狙うやり方です。この場合はローエンドを狙うことになります。
ローエンドの狙い方は2つあります。なぜならば、既存製品を所有していない理由が2つあるからです。
1つは価格が高すぎるから所有していないケース。もう1つは使いこなせないから所有していないケースです。
したがってローエンドを狙うには以下の方法があります。
- 明確に安い価格を設定する。
- 徹底的に使いやすくする。
ブラウザを使ったUIは残念ながら使いやすくなることがほとんどありません。ブラウザの中で動かすというのはUI的には大きな制約になります。ほぼ必ず、UIはネイティブアプリに劣ります。したがって2番目の「徹底的に使いやすくする」というのはうまくできません。
したがって残るやり方は1番目の「明確に安い価格を設定する」です。
「明確に安い価格を設定する」にはどうするか
既存製品よりも明確に安い値段を設定するためには、機能を省くしかありません。機能を省きつつ、顧客が大切だと感じるものは残すことが必要です。しかも単純に引き算するというのであれば、既存の製品のラインアップの中で行われているはずです。したがって何か革新的なぐらいの機能の省き方が必要です。
Chrome OS的なブラウザ中心のアプローチがこのような革新的な機能省略を可能にしてくれるかどうかがポイントです。
Chromebookの場合、このような省略の試みは特に見られません。ブラウザ中心ならハードディスクがいらないのではないかと想像できますが、ChromebookはすべてハードディスクやSSDを搭載しています。Chromebookが何か大きな機能省略、コスト省略を可能にしない限り、勝ち目がありません。
Firefox OSは、ブラウザ中心にOSの階層構造を考え直すことによって、より低スペックのデバイスでも十分な性能が出るとしています。これが実現すれば、明確に安い価格設定が可能になるかも知れません。ただし現状では実現可能性が未知数です。
まとめ
ブラウザ中心にすることで、何が省略可能になるか。どのような革新的なコスト削減が可能になるか。
これがはっきりしていればブラウザ中心のOSの勝ち目があり、これが曖昧なら絶対に勝てない。そんな状況だろうと思います。