iLifeが届きました

アップルからMac用のiLifeが届きました。

iLifeについているあたらしいiPhoto ’09は、人の顔を認識して、同じ顔が写っている写真を自動的に探し出してくれるようです。インストールしたばかりのiPhotoは、ただいま各写真を分析して、顔を探し出しているみたいです。

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その他、興味がある機能はGarage Bandアーティストレッスン。Stingが”Roxanne”の弾き方を教えてくれるのですぞ!

楽しみです!

ベンチャーキャピタルファンドの人

昨日、ベンチャーキャピタルの人と話をする機会がありました。このブログを読んで、僕のやっている事業を知り、話を聞きにきたとのことでした。

このブログを読んでらっしゃる方ならうすうす気づいていると思いますが、僕はベンチャーキャピタルからお金をもらうことにはかなり消極的です。お金儲けばかりを狙っていて、このビジネスの社会的役割を理解してくれない人に主導権を渡したくないからです。

そういう事情のため、ベンチャーキャピタルそのものの勉強不足が激しかったのです。それが今日、お話をして、驚きました。

今日のベンチャーキャピタルが運用しているファンドは償還までがおおよそ10年だそうです。ということは、ベンチャー企業に投資した資金は10年経ったら何らかの形で、投資家に返さないといけないのです。それはどういうことかというと、10年近く経ってきたら、ベンチャー企業がIPOを行うように促したり、他の会社に買収されるように促したりするということのようです。

ギョ!それは困る。会社に時限爆弾を取り付けられるのは嫌だ。

やはり残念ながら、僕の考え方に合わないですね。

もっと別のベンチャーキャピタルもあるのでしょうが。

トヨタ、顧客の声が届きやすい部門を中心に新計画を練る

このブログでも以前に取り上げていますが、朝日新聞のトヨタ自動車に関する報道が面白いです。

今日は「トヨタ、拡大一辺倒主義を反省 世界基本計画破棄」とその隣に書かれていた「現場重視回帰『創業家なら』」の記事から抜粋して紹介します。

トヨタ自動車は商品展開や販売・生産計画の指針となっている世界基本計画「グローバルマスタープラン」を実質的に破棄する方針を明らかにした。拡大偏重主義に走り、現在の苦境を招いた元凶と判断した。

グローバルマスタープランは、5年先までの商品ごとの販売・生産台数を記した計画。02年に登場した。

全社的に「プランを重視するあまり、仕事の進め方が計画達成のために向かい、販売や生産の現場の声を聞く姿勢が薄れる」(トヨタ幹部)状況が生まれた。

金融危機をきっかけに深刻な販売不振が起きると、必達主義は生産にブレーキをかけるのを遅らせる原因になり、09年3月期決算が戦後初の営業赤字に転落する見通しになるなど、現在の危機的状況をつくってしまった、とトヨタは分析している。

新計画は「マーケットビジョン」と名付け、15年を目標に北米や欧州、中国、日本など地域の特性に合わせて、顧客や地域に求められる車種構成を十分考えて定める

目標が独り歩きした従来計画の問題点を改めるため、顧客の声が届きやすい商品企画部門を中心につくる。(寺西和男)

(豊田)章男氏は、本社主導のグローバルマスタープランに代えて、現場の声を色濃く反映する「マーケットビジョン」を経営の柱に据える。短期的な利益は望まない不況下でも黒字を出せる本来のトヨタの姿を取り戻す狙いだ。

僕が特に好きなのは
目標が独り歩きした従来計画の問題点を改めるため、顧客の声が届きやすい商品企画部門を中心につくる

現場が一番良く物事をわかっているとは限りませんし、現場の声や顧客の声が絶対とも僕は決して思いません。顧客の声を鵜呑みにしてしまうことは、企業の衰退につながるというClayton Christensen氏の考え方に僕は賛同しています。

しかし企業の成長と利益の拡大ばかりを望む株主および株価ばかりを気にしている経営者と比較すれば、現場の方が何十倍も正しい。これだけは間違いありません。

資本主義社会のメディアはすべて「現状に満足するな」ということだけをアナウンスしている

以前にも紹介した内田樹さんのブログから
「厭味なインタビュイー」

当たり前のことだが、今の自分のありようにそこそこ満足している人間の消費活動は、可処分所得とかかわりなく、不活発である。
だから、資本主義社会のメディアはすべて「現状に満足するな」ということだけをアナウンスしている(嘘だと思ったら手元の新聞でも雑誌でもめくってみたらよろしい。「現状に満足しましょう。日本もあなたもこれでいいじゃないですか」と書いている記事をみつけてご一報くだされば粗品を差し上げてもいいくらいである)。
そうしないとモノ(新聞や雑誌やテレビ番組もモノである)が売れないからである。
しかし、それは資本主義の側の事情であって、人間の側の事情は違う。
人間はできるだけ「ありもの」に満足しているほうが幸福である。
自分の生まれた境涯に満足し、自分の容貌に満足し、自分の才能に満足し、自分の健康状態に満足し、自分の配偶者に満足し、自分の子供に満足し、自分の国に満足し、たまに鏡を見て、「ま、こんなもんだわな」とへらへらしている鼓腹撃壌タイプの人間がいちばん幸福である(ほんとに)。

地球温暖化、金融危機などの世界的な問題を考える上で、これはとても的確な指摘だと感じました。

現代人が地球何個分の資源を消費しているかという指標を最近見ますが、日本人は地球2.47個分、アメリカ人は地球5.28個分という数字となっているそうです。

西欧的な資本主義がこれをあおったのかもしれません。

エコロジーの観点ではないのですが、アメリカの社会問題を歌にしているTracy ChapmanのMountains O’ Thingsの歌詞を思い出します。

Consume more than you need
This is the dream
Make you pauper
Or make you queen
I won’t die lonely
I’ll have it all prearranged
A grave that’s deep and wide enough
For me and all my mountains o’ things

必要以上に消費すること
これが夢だよね
乞食になるか女王になるかだ
ぼくは寂しく死んだりはしない
ちゃんと準備しておくよ
深くて広い墓を作って
ぼくとぼくの山ほどのモノを埋めるのだ

採用面接の有効性(無効性)に関する学術論文

採用面接というのが如何に難しくて、そして思いの他に役に立っていないかを示している論文を紹介します。

The Validity and Utility of Selection Methods in Personnel Psychology: Practical and Theoretical Implications of 85 Years of Research Findings
Psychology Bulletin, 124-2 (1998), 262-274
Frank L. Schmidt (University of Iowa), John E. Hunter (Michigan State University)

これは様々な研究をまとめた総説です。

  1. 様々な調査を平均した結果、偏差値60以上の優秀な社員(正規分布で平均より1SD以上)は、スキルレベルが低い仕事で生産性が19%高く、スキルレベルの高い仕事で生産性が32%高く、管理職もしくはプロフェッショナルでは生産性が48%高いようです。
  2. 採用した人物が成功するかどうかを予測する最も有効な指標は、その人の知能や認知力です。これは管理職やプロフェッショナルな仕事ほど有効性が高いです。
  3. 試しに仕事を実際にしてもらうという試験も有効ですが、これは経験者にしか適応できず、また現実的ではないことが多いのが欠点です。
  4. その他、誠実さとまじめさが有効な指標です。
  5. 実際の仕事に合わせてしっかり準備・実施された面接は有効性が高いのですが、そうでない面接は効果がありません。
  6. 経験年数(その間の実績を問わない)は、採用した人物が成功するかどうかを予測する上では、ほとんど効果が認められません。ただし、5年未満であれば相関が見られます。(経験年数5年までは能力が直線的に向上しますが、それ以降は頭打ちになります)

大雑把な結論としては、知性の試験と誠実さやまじめさを計るか、あるいは知性の試験としっかりと準備された面接を行うことが良いとしています。

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Predicting job performance: A comparison of expert opinion and research findings
International Journal of Forecasting, 5 (1989), 187-194
Stephen Dakin (University of Canterbury, Christchurch, New Zealand), J. Scott Armstrong (The Wharton School, University of Pennsylvania, Philladelphia, USA)

こっちの論文はニュージーランドの人材プロフェッショナルの意見と、上述の論文の研究結果を比較したものです。

上述の研究結果とは対照的に、人材プロフェッショナルは経験や面接(研究結果では無効とされたもの)に重きを置き、知性を軽視しているという結果になりました。

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今までの経験

最後に僕の経験を少しだけ。

ライフサイエンスのいろいろな会社やその他の会社を含めて、面接はそれなりにたくさんやってきました。ほとんどは途中入社のための面接です。

その中で後者の論文に書いてある通り、履歴書の他、準備がほとんどされていない面接、もしくは経験年数が採用に使われていました。面接の準備については、外人の方が努力していて、結構いい質問も多くもらいました。しかし、日本人による面接はいずれもいい加減なものでした。

日本人の気質的にもいろいろ詮索するようなことを聞きにくいでしょうから、なかなか難しいところです。

関連
「社員が失敗したときにどうするか」

Managers Not MBAsからの引用

Henry Mintzbergというカナダ人の経営学の権威が書いた本

Managers Not MBAs: A Hard Look At The Soft Practice Of Managing And Management Development
(邦題 MBAが会社を滅ぼす マネジャーの正しい育て方

を読んでいます。

まだ途中までしか読んでいませんが、とても興味深い一文がありましたので紹介します。

Indeed, while 24 percent of the executives identified “compassion” as the most important characteristic of future leaders, only 4 percent of the MBA students did. The report’s author, Thomas Dyckman of Cornell, concluded that “Apparently experience teaches compassion. Maybe business schools should too”.
Dyckman, Thomas. “The 1996 Cornell Sponsored MBA-Executive Study: Corporate Leadership: A Survey on Values.” Ithaca, N.Y.: the Johnson Graduate School of Management at Corenell University, 1996

実際、経営者の24%は、将来リーダーとなるべき人間の最も大切な特徴は「思いやり、深い同情心」としているのに対して、MBAの学生ではそう考えているのはわずか4%でした。このレポートの著者のCornell大学のThomas Dyckmanは「経験は同情心を教えてくれるようです。ビジネススクールでもそうするべきかもしれません。」と結論しています。

自分の経験を振り返っても、とても納得してしまいます。

この本についてはブログでも以前に取り上げています。
「最もリーダーになってはならない人がリーダーになってしまう仕組み」

社員が失敗したときにどうするか?

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Bob Suttonのブログにあったいくつかの記事を見ながら、会社にとってとても重要な「社員が失敗したときにどうするか?」を思い返してみました。

新しい会社の入社面接などを受けているとき、その会社の本当の姿を知るのは非常に難しいことです。美辞麗句を見通すのは、何回か転職を経験していてもなかなかできません(ちなみに採用側が面接による人材採用に失敗する確率は50%と言われています。採用面接というのは双方にとって、その程度のものです)。皆さんに御勧めするのは、この「社員が失敗したときにどうするのですか?」を質問することです。そうすることによって、その会社が社員教育をしっかりできているか、業務システムをしっかり作り上げているか、イノベーションを大事にしているか、そして今後も成功し続けるかがある程度わかると思います。

  1. Gretchen’s Happiness Projectの”Eight tips for dealing with criticism.”について
  2. Failure Sucks But Instructs
  3. The Best Diagnostic Question and Amazon

失敗無くして成功にたどり着くことはあり得ません。
会社を運営する中で、しょっちゅう失敗するのは当たり前のことです。イノベーティブなことを実現しようと思えばなおさらです。

ですから会社のカルチャーやシステムの中には、

  1. 失敗を早めに察知する仕組み
  2. 自分の失敗を言い出しやすい仕組み。失敗を許す仕組み
  3. 失敗を共有する仕組み
  4. 失敗から反省する仕組み

が必要です。

日本の製造現場ではこの仕組みが浸透しています。例えばヒヤリ・ハットという言葉がありますが、製造現場では各個人が経験した事故一歩手前の失敗の情報を公開させ、蓄積、共有することで、重大な労働災害の発生を未然に防止する活動が行われています。

僕自身は製造現場で働いたことはないのですが、入社研修で工場に数週間配属されたときにこれをかいま見ました。(もっとも大学院を卒業したばかりの若輩者にはその価値は理解できませんでしたが)

残念ながら僕が後に転職した先の外資系企業(2つとも)ではこのようなヒヤリ・ハット活動はなく、それどころか反省会すら全くやりませんでした。重大が失敗が起こった後でもです。

例えばITプロジェクトの大失敗、受託研究の大失敗、学会展示の失敗など、いろいろな失敗があっても、僕が言い出してやったもの以外には反省会を見たことはありません。

反省会をしない代わりに何が行われるかというと、とても残念なことですが、それは個人への責任のなすりつけです。失敗した原因を個人の能力ややる気の問題と結論付け、そしてその個人が修正をすれば事態は解決するだろう考え、それで終わりにしてしまうやり方です。

とても残念な終わらせ方ですが、原因分析をしていない以上、これよりましなやり方はできなくなってしまうのでしょう。原因分析をしなければ、生産的な解決策は見つけ出しようがないのです。

会社だけでなく、人物についても同様です。失敗に対してどのように向かい合っているかが聞ければ、普通では見えてこないことがいろいろとわかっています。

特に新しい会社に入るときは、どうしたってしばらくは失敗続きです。その失敗を新しい会社はどのように受け止めてくれるかを知るのはとても大切なことだと思います。

ソニーの広告がおかしい その2

ソニーのマーケティング/広告がおかしいというブログエントリーを書いた後、さらに調べてみました。

VAIO type Pのターゲット顧客はだれでしょう?

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この広告を見れば、当然ターゲットは20代、30代のファッションにこだわりを持つ若い女性ではないかと考えます。

しかし開発者の声を聞くと違います。

──ユーザーとしては、どのあたりをターゲットに考えていますか。

伊藤 30代、40代のビジネスマンがコアですね。男女ともにです。いずれにしても、2台目のPCを購入する人の候補として、あるいは、会社のPCとは別にもう1台、私物のPCを携帯するイメージで選んでもらえればと考えています。

開発者の意図と広告の意図が大きくずれているように思いますが、気のせいでしょうか。

なお、CES(アメリカ)でのGreg Nibbler氏へのインタビューでは、

—— What is the target market for something like this?

Greg : This is more aimed towards a fashion conscious, more oriented towards connectivity end user, and very much so a female audience.

ソニーの広告がおかしい

ソニーはウォークマンを作った1980年頃までは尊敬できる会社でしたが、それ以降は、過去の栄光にすがった非常に困った会社として僕の目に映っています。特にマーケティングについてはブランドというものを勘違いしてしまって、もともとはイノベーティブなもの作りのブランドであったものを、単なる「おしゃれ」ブランドに失墜させてしまっています。

そのソニーがVaio Pという小型軽量のノート型パソコンを発売しました。(性能はNetBook並みなのに、価格は他社のNetBookの2倍の10万円近くという驚きの製品です)

ソニーはこれを「ポケットスタイルPC」と称しています。

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でもこれ、ポケットに入っていないじゃない?
(おしりはちょっと魅力的ですが)

本当にいいの?ポケットスタイルPCって呼んじゃって?
ウソを言っていない?

一方でAppleのiPodのコマーシャルは一貫して、ウソ偽りない、実際の使用シーンを映像化しています。

以下はiPodがデビューしたときのコマーシャル。
“1000 songs in your pocket”

またAppleのMacbook Airの広告では、実際に封筒に入れる人はいないだろうけれども、ちゃんと入ることを示しています。ソニーはポケットなんかに入らないのに、ポケットスタイルPCと言っていますよね。

アップデート

この広告をちゃかしたブログを見つけました
「VAIO type P」の真似してポケットPCが大流行

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展示会は無駄か?

BNETという当たり外れの分かれるブログを掲載しているサイトに、割とおもしろいブログがありました。

“How to Use Trade Shows to Sell”

主旨は

  1. 昨年の11月にアンケートを実施し、展示会が有効かどうかを質問したところ、NOは2/3、YESがわずか16%でした。
  2. 展示会で新規顧客を開拓しようというのは大きな誤りです。
  3. 展示会では既存顧客および購入間近な顧客との関係強化に使うべきです。
  4. マーケティングの人(製品PRをしまくるだけの人)を参加させるのではなく、社長やカスタマーサポート、重要顧客を担当している営業を参加させるべきです。

さて、このブログの言っていることが正しいかどうかはケースバイケースだと思いますし、バイオの学会展示で同じことが言えるかどうかは僕も判断しかねます。

でも、展示ブースに社長や事業部長を立たせたら面白いですね。客に見せて恥ずかしくないような社長であることが前提ですが。