Bob Sutton: Stanford大学教授の信条

Bob Suttonというスタンフォード大学教授のブログと、そこに書いてある彼の信条が非常に面白かったので紹介します。

Bob Suttonは管理職の知識と組織のアクション、イノベーション、成果の関連性およびズレについて研究しています。

さて、ブログに書いてあった彼の15の信条です。

  1. Sometimes the best management is no management at all — first do no harm! : ときとして、最高のマネージメントとは何もしないことであるーー何よりもまずは邪魔をするな!
  2. Indifference is as important as passion : 情熱を持つのと同じぐらいに、距離を置いた冷めた視線も大切だ
  3. In organizational life, you can have influence over others or you can have freedom from others, but you can’t have both at the same time : 組織での生活においては、他者に対する強い影響力を持つか、あるいは他者からの自由を維持することができる。しかし、これは同時には持てない。
  4. Saying smart things and giving smart answers are important. Learning to listen to others and to ask smart questions is more important : 賢いことを言ったり、賢い回答をすることは大切だ。しかしそれ以上に大切なことは、他者の言うことを聞いたり、賢い質問をすることを学ぶことだ。
  5. Learn how to fight as if you are right and listen as if you are wrong: It helps you develop strong opinions that are weakly held : 戦うときは自分が絶対正しいという姿勢で、他人の意見を聞くときは自分は間違っているという姿勢でいることを覚えなさい。強い意見を持ちながら、それに固執しないことができるようになる。
  6. You get what you expect from people. This is especially true when it comes to selfish behavior; unvarnished self-interest is a learned social norm, not an unwavering feature of human behavior : 他人は悪い意味で、あなたの期待通りになってしまう。高い期待を持たなければ、低レベルのことしかしてくれないだろう。これは特に利己的な行動によく現れる。利己的な行動は社会から学習されるのであって、人間の本来的な行動ではない。
  7. Getting a little power can turn you into an insensitive self-centered jerk : 権力を持つことによって、それまでまともだった人間が、感受性の低い、自己中心的で、とても嫌な奴に変身することがある。
  8. Avoid pompous jerks whenever possible. They not only can make you feel bad about yourself, chances are that you will eventually start acting like them. : 偉そうで嫌な奴はなるべく避けろ。つきあっていると、嫌な気分になるだけでなく、彼らと同じような行動が身に付いてしまうだろう。
  9. The best test of a person’s character is how he or she treats those with less power. : 人の性格を知るのに一番良いのは、自分よりも権力の無い人をどのように扱っているかを見ることである。
  10. The best single question for testing an organization’s character is: What happens when people make mistakes? : 組織の性格を知るのに一番良いのは、間違いが起きたときに何が行われるかを観察することである。
  11. The best people and organizations have the attitude of wisdom: The courage to act on what they know right now and the humility to change course when they find better evidence : 優れた人と組織は知性的な態度を持っている。つまり、現時点で得ている限定的な知識に基づいて行動する勇気を持ち、かつより多くの情報を得た時点で方向を変える謙虚さを持っている。
  12. The quest for management magic and breakthrough ideas is overrated; being a master of the obvious is underrated : マネージメントスキルや画期的なアイデアの価値は過大評価されている。当たり前のことをマスターすることは過小評価されている。
  13. Err on the side of optimism and positive energy in all things : どうせ間違いを犯すのであれば、楽観性やポジティブな活力の方向に向かって間違えなさい。
  14. It is good to ask yourself, do I have enough? Do you really need more money, power, prestige, or stuff? : 自分が満ち足りているかどうかを顧みることは大切だ。本当にもっとお金がいるのですか?もっと名声が必要ですか?など。
  15. Work is an overrated activity : 「仕事」の重要性は過大評価されている。

Google Insights for Searchとバイオ業界のSEO

Googleの新しいサービスであるGoogle Insights for Searchの紹介と、バイオ業界において日本語のウェブサイトが必要な理由を解説したビデオです。Google Insights for Searchを使うと、韓国や台湾では英語のウェブサイトで十分かもしれないけど、中国では絶対に中国語のウェブサイトが必要になることがよくわかります。

いまはYouTubeを使っていますが、画質を考えながら、ビデオを今後どのように掲載するかを考えていこうと思っています。

高画質バージョンはここからダウンロードしてください。

Affymetrixの時価総額が611Mドル。ロシュがパクリと一口で買えるレベルだ!

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Yahoo Financeを見るとAffymetrixの時価総額が611.85M ドルになっていました。
ここのところAffymetrixの株価は急降下なので。

ロシュがNimblegenを買ったときは272.5M ドルを投じているわけですから、Affymetrixの時価総額はその水準に近づいてきたことになります。

ロシュはGenentechを完全子会社化するために 43,700M ドルを用意しているぐらいですから、お金はたっぷりです。

もちろん今後どうなるか、素人の僕にはさっぱりわかりませんが、注目してみていきたいですね。

バイオ業界の広告の費用対効果 (ROI) 推定

バイオの業界ではいろいろな方法で広告などを行って、研究者に製品を買ってもらおうとしています。

当然、効果の高い広告と低い広告があるのですが、どれぐらいの費用対効果(ROI)になるのかは、よく考えてみると、僕がメーカーでマーケティングをやっているときも計算していませんでした。経験とか感覚(これは結構当たっていたとは思いますが)を頼りに、効率の良さそうなものとそうでないものを選んでいたと思います。また一口に費用対効果と言っても、どういうメッセージを伝えたいかによっても大きく変わるので、じゅっぱひとからげに費用対効果を数値化するのも誤解を招くことがあります。

そうは言うものの、一回自分の経験をもとに、非常におおざっぱですが費用対効果の計算結果を紹介したいと思います。

「これはちがう!!」ということもあると思いますので、そのときはぜひコメントを書いてくださいね。

ではいきます。

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td { border: none;text-align:right;padding: 0 10px 0 10px}

費用 問い合わせ数 単価
雑誌広告 ¥200,000 2 ¥100,000
チラシ ¥300,000 200 ¥1,500
バナー広告 ¥50,000 40 ¥1,250
メルマガ ¥150,000 ¥100 1,500
学会展示 ¥300,000 200 ¥1,500

これはとても大雑把な数字ですが、一応この数字を出している根拠を書きます。

雑誌広告

雑誌広告というと、グローバルの本社がNature, Scienceには出すので、Nature日本語版および実験医学などということになります。広告の費用はエー・イー企画のウェブサイトを参考にすれば良いと思います。この価格に加え、広告原稿を作るためにも結構お金がかかりますので、費用はこんな感じになります。

さて効果のほどですが、すばり、雑誌広告を見たと言って問い合わせてきたお客様というのは、何年間かバイオの業界にいて、ほとんど聞いたことがありません。

もちろん広告を見てすぐに問い合わせなくても、何となく記憶に残っていて、徐々にブランドが構築される効果は否定しません。

でも自分自身が研究していたときも、広告が印象に残ったということはほとんどありませんし、極稀に印象に残ったものであっても、そのときにやっていた実験とは関係がなかったので何も買わなかったという経験しかありません。

したがって、問い合わせ数 2 という数字はテキトウに記入しましたが、雑誌広告があまり効果を持たないという意味ではこれはこれで良いのかなと思います。

チラシ

ここで言っているチラシというのは2-3万部刷って、自社の営業にも代理店にも余るほど配っておいて、「ほらばらまいてくれ」と言って配るものを指します。印刷費用もかかりますし、各地の代理店に郵送する費用も結構かかります。それで大雑把にこんな費用になるかと思います。

効果の程度ですが、これは結構あります。ただしチラシを代理店にしっかり配ってもらうためには、何かわかりやすいキャッチと、代理店が配らないでいられない理由が必要です。そしてこれはほとんどの場合、新製品もしくはキャンペーンの案内になります。逆にそうでなければ、ほとんど効果が期待できないというのもチラシの特徴です。また自社の営業担当者が代理店と良好な関係を築けていないと、チラシを配ってくれない、もしくは投げやりに配られてしまうという話もあります。

効果はだいたい100のオーダーになると思います。製品の汎用性やキャンペーンの魅力度などによって数倍はぶれると思いますが、数1,000になることは無いと思います。チラシに対する問い合わせはメーカーよりもむしろ代理店に入りやすいと思いますので、数を把握するのは難しいです。それでもチラシの場合はメーカーに直接入る問い合わせも少なくありません。

バナー広告

これはインターネット上のウェブサイトに貼るバナー広告です。

これもあまり効果がないです。ただ雑誌と違って、同じ効果がないでも、バナー広告の場合はクリックスルーが測定できますので、効果の無さがはっきりします。

そう思っているのは僕だけではないようです。羊土社やネイチャーのウェブサイトはいずれもバナー広告を募集していますが、どちらも開店休業状態に近いかと思います。ウェブサイトを見れば、メーカーのバナーが少ないことがよくわかると思います。

問い合わせ数(クリックスルー数)については、実際にあるウェブサイトにバナー広告を出して、そのクリックスルーをみた結果をもとに書いています。

ちなみにバイオの買物.comでもGoogleが提供している広告をたくさん貼っていますが、これもクリックスルーは低いですね。

メルマガ

メーカーでもメルマガをやっているところは多いですが、これはそれとは別に、第三者のメルマガに広告を載せてもらう話です。大きいところだと、ネイチャーのメールアドレスデータベースのうち、広告を流していいと了解をもらっているアドレスに対して、ネイチャーがメールを出してあげるというサービスがあります。

メルマガはタイトルがどれぐらい魅力的かが非常に重要で、やはり顧客は「サンプル」とか「キャンペーン」によく反応するようです。「セミナー」も効果的だと聞いています。

これも内容によってレスポンス数が大きく変わると思いますが、クリックスルーはやはり100のオーダーではないかなと思います。

学会展示

分子生物学会などの展示場にブースを出して、来てくれたお客様に製品の話をすることをここでは言っています。問い合わせ数というのは、製品のことをちゃんと話せたお客様数と考えると良いと思います。ただの冷やかしとか、景品をもらいたくてくる人も多いので。

ここは「サンプル」とか「キャンペーン」じゃなくても、ある程度ちゃんと製品について話ができます。来るお客様も自分からわざわざ足を運んでくれている人たちなので、メーカー側としては話していても結構楽しいことが多いです。

冷やかしのお客様を除いた数字として200はまぁまぁな数字かと思います。30万円という金額はブースひとこまのサイズなので、中堅以上のメーカーだとその2-3倍になることが多いと思います。

感想・結論

ひとことで言って、高いです。どの媒体も費用対効果は悪いです。インターネットを活用したものであっても、費用対効果は高いと言えないと思います。

いまは媒体側もあまり真剣な活動をしていなくて、費用対効果が高い広告媒体を作ろうという努力が足りないと思います。でもこの状況なので、良い媒体ができればかなりのビジネスがとれると思います。

ちなみに僕はいまGoogleのAdwords (検索連動型広告)を使って、「まとめて抗体検索」に誘導する広告をうっていますが、これの費用対効果 (クリックスルーの単価)はかなりすごいです。あまりにも低くて(つまりクリックスルーが安く入手できる)、ちょっとここでは言えないぐらいです。

ですから、バイオ業界だから費用対効果が悪いというのではなく、どこかやり方が悪いということだと思います。

景品のアイデア

学会などで各メーカーはペンや携帯電話ストラップ、USBメモリなどの景品を配ったりしています。

でも、なかなか喜んでもらえるものを探すのは難しいです。USBメモリなどは最近ありふれている上に、なぜか256MBのものばかりなので、ちょっとなぁという感じがしますよね。

どういうものがいいか、FriendFeedで話題になっています。

太陽発電による充電器か…

Springerが論文管理オンラインソフト CiteULike のスポンサーに

オンラインで論文を管理するオンラインのソフトの話題です。

科学雑誌出版社のSpringerがCiteULikeと提携し、スポンサーになりました(Springerのサイトから、CiteULikeのサイトから)。

他にConnoteaがNature Publishing Groupから、2CollabElsevierから提供されています。

日本生まれのもので言うとSesame!がありますが、これは特に出版社とは提携していないようです。

どれぐらいの研究者がこのようなサイトを利用しているかわかりませんが、ある意味、つまらないですね。独立系の論文管理サイトが大きな勢力を持てば、各ジャーナルをあれこれと批評するだけの存在に育つ可能性があるのに。このように、ただ単に既存の出版社に吸収されてしまうと、結局はいままでのシステムは何も変わらなくなってしまうので。

研究者にとっては多少便利になっていくのでしょうが。

競合他社製品をPR文に使うことの危険性

先週、40分ほどジョギングをした後にコンビニに立ち寄って、ウイダーinゼリーを買いました。

でもパッケージの裏を読んで、もう二度と買わないことを決心しました。代わりにおにぎりを買おうと。
fig_en_01.gif
なぜかというと、PR文が
「すばやいエネルギー補給に(おにぎりおよそ1個分)」となっているのですが、ウイダーinゼリーの価格はおにぎりのおよそ2倍なのです。

本当に価格差を正当化できるだけのメリットがあるのか、真剣に悩んでしまいました。その上、ウイダーinゼリーのパッケージはゴミ量的にはおにぎりの5倍はありそうなので、エコロジーが叫ばれる今日この頃はこれもとても気になります。僕の結論は「正当化できない」でしたので、もう買わないことにしました。

実はこのような逆効果PRは随所に見られます。マーケティングに大枚をはたいている企業であってもです。

またマーケティング資料では避けていても、営業担当者の多くは何かと競合の話をする癖があるので、顧客にこのような逆効果PRを仕掛けてしまいます。

ということで、
「競合をPR文で前面に出すときは、確実に性能と価格で勝てるときだけにしましょう」

最後に、このような逆効果PRをやって馬鹿にされているマイクロソフトの例を紹介します。

マイクロソフトはご存知のように、新しいOSのVistaが思うように売れなくて困っています。多くのユーザと大口顧客はXPで十分と判断して、Vistaを見送るだけ無く、DELLなどにVistaでなくXP搭載パソコンを販売するように圧力をかけています。MS-Windowsはもともとの市場シェアが非常に高いだけに、Vistaの競合はXPになるわけです。

SubHero_enterpriseready01.jpgそこでマイクロソフトは「XPよりVistaがいいよ」というマーケティングキャンペーンを展開しています。Vistaのホームページに行くと、もうその関係の文章ばかりです。しかも親切にも「お悩み解決! アップグレード徹底ガイド」というリンクがあって、アップグレードで悩んでいる人が多いことを半ば認めてしまっています。

アメリカではもっと積極的で、“Mojave Experiment”なるものをやっています。これは例えるならば、あの「ペプシチャレンジ」をVista vs. XPでやっているようなものです。これを評価している人もいますが、大部分の評論家は否定的ですね。

コスモバイオの製品(抗体)検索システム、移行の不具合(もっとがんばれコスモバイオ!)

コスモバイオ社のウェブサイトに、製品検索システム移行の不具合について解説がありました。

要点は

  1. 製品検索システムを新しくしました。
  2. そうしたらURLが変わりました。
  3. 古いURLをアクセスするとエラーが出ます。
    CosmoBioSearchError.png
  4. なので、古いURLをお気に入りに入れていた人は、新しいURLと入れ替えてね。

と、こんな感じです。

一般の人は「ふむふむ」と納得して、古いURLを新しいURLに変更するかもしれませんが、僕のようにウェブで仕事をしている人からすれば、「ちょっと待て!」という感じです。

だって、古いURLにアクセスした人を新しいURLに自動的に飛ばせば良いだけでしょう?

ウェブ技術に詳しい人であれば、チョチョイのチョイでできることです。
例えばウェブサーバとしてApache2を使っていれば、以下のコードをconf設定ファイルのどこかに入れておけば良いはずです。このような処理はリダイレクションと呼びます。(設定はLeopardでテスト)


  RewriteEngine On
  RewriteRule cosmo_search_p http://search.cosmobio.co.jp/qs/FormArticle.do?ServerKey=Primary&Usq= [R=301]

これをやってしまえば、古いURLでアクセスしてきたユーザであっても、何も気付かずに、変更があったことすら意識することすらなく、新しい検索システムが使えるのに。

コスモバイオの対応のもっと大きな問題

実は、以下に紹介するように、もっと大きな問題があります。
それはGoogle対策です。

Googleは、比較的アクセスが多いサイトについては、下図のように内部リンクも用意して、利用者の利便性を計っています。

CosmoBioGoogle.png

そして、僕が赤く囲んだ「抗体検索」のリンクは、新検索システムに移行してから2週間後の8月18日時点でも、まだ古いURLを指しているのです。

ちなみに「コスモバイオ 抗体検索」でGoogle検索すると、下図のようになります。
CosmoBioGoogle2.png
これもあまりいい状態ではありませんね。

いずれ時間が経てばGoogleも気がついて修正してくれますが、ちょっとしたことで回避できる問題なので、とてももったいないと思います。

さらに非常に技術的に細かい話になるのですが、コスモバイオ社のエラーメッセージページはHTTP status codeの200 「ちゃんとページが見つかりましたよ」というステータスを返しています。一般にエラーページはHTTP status codeの4xxとか5xxを返すのですが、コスモバイオ社のウェブサイトはそうなっていません。このままではGoogleとしてもエラーが起こっていることに気付くことができないので、Googleがちゃんとしたページを示すまでにはかなり時間がかかってしまう可能性があります。
CosmoBioHTTPStatus.png

ちなみに私自身が担当したバイオメーカーのウェブサイトでは、新規リニューアルする際、可能な限り、上記のようなリダイレクションを行いました。心配したのはまさにGoogleの検索結果であって、Googleから来た人が迷わないようにすることが最大の目的でした。

コスモバイオ社はまぁまぁウェブでがんばっていますが、このことを含め、ウェブ技術にあまり詳しくなさそうな点がいくつか見受けられます。もう少しがんばってくれるといいのですが。

もっともこれはコスモバイオ社に限らず、多くのバイオメーカーに共通の問題です。

ちなみに古いURLはhttp://search.cosmobio.co.jp/cosmo_search_p/search_gate2/search/s97is.dll?Action=FormGen&ServerKey=Primary&Template=p_all_search.hts&Usq=、新しいURLはhttp://search.cosmobio.co.jp/qs/FormArticle.do?ServerKey=Primary&Usq=。コスモバイオ社のウェブサイトは「検索命!!」という作りになっていますので(というか、検索以外の方法では決して見つけられない製品が非常に多いという別の問題があります)、もう少しURL自身をきれいにした方がいいようにも思います。これも先ほど紹介した「チョチョイのチョイ」でやれるのですから。

アップルがなぜコンセプト製品を作らないか

MacやiPod、iPhoneを作っているアップル社がなぜコンセプト製品を作らないかについて書いているブログがありましたので紹介します。
Why Apple doesn’t do “Concept Products”

ポイントとしては;

  • GM, Microsoft, Nokiaを含めた多くの会社は、現実や経済性とはかけ離れた、全く発売する気のないコンセプト製品を作っています。
  • それにも関わらず、Microsoft, Nokiaはこのコンセプトを製品にできていません。TiVo (アメリカで人気の自動学習テレビビデオレコーダー)、iPod、iPhone、OS X、iTunes App Storeなどのように、わくわくするような新しいコンセプトの製品を具現化することができていません。
  • コンセプト製品の意義としてよく言われるのは、企業イメージの向上、デザインの実験、社員の士気の向上、市場の操作、トライアルアンドエラーなどなど。
  • その一方で、最もイノベーティブな会社の一つとされるアップルは、コンセプト製品を全く作りません。少なくとも80年代の後半に作られたKnowledge Navigator以降は。
  • “Real artists ship”: 「真の芸術家は作品を世に出す」というスティーブ・ジョブズの有名な言葉。マウスを使ったグラフィカルなインタフェースを発明したXerox社のPARC(パロアルト研究所)からは製品が生まれず、アップルのLisaMacintoshとして、アイデアを半ば盗まれる形で、始めて製品化されたことが典型例。
    製品のデザインというのは、現実の制約があってこそ、始めて生まれるものです。iPhoneで言えば電池容量、画面の解像度、人間の指の太さなど。この制限があってこそ、能力のあるデザイナーは優れた結果を生むことができます。コンセプト製品にはこの制限がなく、フォーカスの無い製品になってしまいます。コンセプト製品は、経済性や現実からデザイナーを離してしまい、間違った道に進ませてしまいます。