一部の新しいAndroid携帯ではGoogle検索ができない?Bingしか使えない

ここ一週間ほど、表題のような噂がインターネット上で流れました(日本語の記事はあまり見つかりませんでしたが)。例えばCNN.comでは“Verizon forces Fascinate users to use Bing?”として紹介されています。

裏にはMicrosoft社とVerizon社の提携があるようです。二社間の契約がどのようなものかは明らかにされていませんが、今後Verizon社が提供するAndroid携帯の少なくとも一部はBingがデフォルトの検索エンジンになるそうです。それが今後Verizon社のすべてのAndroid携帯に広がるのか、あるいはGoogle検索を選択することすらできなくなるのかはまだ情報が出てなさそうです。

いずれにしても、Androidのように「オープン」であるというのは相応のリスクがあるようです。

雇用を生み出すには起業を促せ

New York Timesの記事で”To Create Jobs, Nurture Start-Ups”というのがありました。

2010年8月に発表された論文で、どのような企業が雇用を生み出しているかを分析しているものがあり(“Who Creates Jobs? Small vs. Large vs. Young”)、それによると雇用を生み出しているのは大企業でもなく、中小企業でもなく、創業してから間もないスタートアップであるそうです。

アメリカでは雇用創出は中小企業が担っていて、大企業はあまり貢献していないというのが「定説」でした。しかしこの論文では、会社の規模ではなく、若いかどうかがポイントだとしています。ですから従来の「定説」に基づいてオバマ政権がとっている中小企業支援策が、若干的外れではないかと疑問を投げかけています。

さて、日本の場合はもっと議論が訳が分からないです。というのもどのような企業を雇用を創出しているかという議論すらないのです。でもニュースをじっくりおいかげているとよくわかります。エコカー減税とかをやってもトヨタや日産、ホンダ等の大企業は雇用創出なんてしません。やるとしても海外への生産移転によって、外国人の雇用を増やすだけです。もうこういう会社の支援は止めにしてもらいたいんですけど。

Apple TV: 我が家での使い方

2007年1月10日に発表されたApple TVですが、Apple社としては思ったほどの成功を収めることが出来ず、ずっとビジネスではなく「ホビー」として製品事業を模索しているとスティーブ・ジョブズ氏は公言してきました。

そして去る2010年の9月1日に全く新しいバージョンのApple TVが発表されました。100ドルを切る非常に大胆な価格設定で、Netflixなどのサービスも取り込むとのことです。こうしてAppleはTVに再度挑戦をします。

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残念ながら日本ではまだ新しいApple TVは発表されていません。

そこでこの機会に、我が家でのApple TVの使い方を紹介したいと思います。我が家では2007年に初代のApple TVを購入しました。よく使うのは以下の機能です。

海外のニュース系ポッドキャストを見る

例えばCNN, ABC, CBS, NBCなどのアメリカの主要ニュース番組はPodcastを積極的に無料で配信しています。CNNの名物インタビューアのLarry Kingのショーは最初から最後までPodcastで見られますし(15分程度)、NBC Todayなどは全部ではないのですが40分間を見ることができます。

特に面白いPodcastはFareed ZakariaのGPS。国際政治の話題を非常に多角的に分析し、コリンパウエルやパキスタン大統領等著名人を独占インタビューする等、ものすごくレベルの高いPodcastです。

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子供を寝かしつけているときなど、よく見ていました。妻は授乳中によく見ています。

残念ながら日本の放送局ではこういうPodcastは用意していないようです。

子供の写真を見る

Apple TVはiPhotoに入っている写真をスライドショーにして見せてくれています。我が家は小さい子供がいるので、その子たちの写真を大型のテレビ画面で手軽に見られるのはとても楽しいです。子供たちも楽しんでいます。

何となくぼーっとくつろぐとき等にスライドショーを流したりしています。

音楽を聴く

うちは本格的なステレオを用意するほどの音楽好きではありませんので、音楽を聴くときはテレビのスピーカーもしくはDVDプレイヤー(一応ホームシアター仕様)で十分と感じています。iTunesに入れている曲はすべてApple TVで聞けるので、Apple TVからテレビもしくはDVDプレイヤーのスピーカーに出力しています。またインターネットラジオも聞けるので、BGM程度には結構使えます。

その一方でほとんど使わない機能もあります。

YouTubeは見ない

YouTubeのコンテンツは正直言ってテレビで見る気がしません。少なくと僕の場合、YouTubeで見るコンテンツは非常に私的なものになりがちです。例えば仕事のWeb関連の解説ビデオだったり、ある特定のスポーツシーンのビデオだったりするので、文字入力が簡単でいろいろと検索条件を試せるPC環境が必要です。

広い観衆を相手にプロフェッショナルなコンテンツを作っている団体は、インターネットにコンテンツを配信している場合であっても、主にYouTubeではなく専用のウェブサイトで動画を配信しています。逆にYouTubeのコンテンツはどうしても完成度の低いもの、もしくは非常にニッチ向けなものになってしまいます。僕の場合はこれをテレビで見ようとは思いません。完成度の高さで言えば、Podcastの方が良いものがたくさんあります。

大リーグの全試合をノーカットで放送しているYouTubeのMLB.jp channelみたいなものが多くなれば事情は変わるかもしれません。しかし個人的にはあまり期待していません。

映画やTVショーは見られない

これは単に日本では対応していないというだけのことです。USであれば、レンタルDVDの感覚でApple TVを使って映画を見ることができます。また映画だけでなく、TVショーを見ることもできます。なんで日本はやれないんですかね。まぁおおよその想像はつきますが、Appleジャパンにはもっとちゃんと働いてもらいたいものです。

まとめ

スティーブ・ジョブズ氏も言っていましたが、Apple TVはヒットしていないものの、顧客満足度が高い製品です。我が家でも買ってよかったと思っています。日本では恐らく著作権のごたごたとAppleジャパンの力不足でApple TVの本来の魅力の半分も活かせていないと思いますが、それでもしょっちゅう使っています。自分の写真を眺めたりPodcastを見たり、あるいは音楽を聴いたりするだけのためでも、Apple TVは十分に魅力的な製品だと思います。その人のライフスタイルに大きく依存はしますが。

新しいApple TVはiTunes、iPhotoのコンテンツがテレビで見られるというだけで99ドルの価値はあると思います。Appleジャパンが日本のビデオコンテンツ会社と何か重大な交渉を進めているというのであれば別ですが、そうでなければ今できることだけでもしっかりPRして、国内で販売を開始してもらいたいと思います。

iTunesのロゴからCDがなくなった件

iTunes 10 でロゴからCDがなくなりました。最初のiTunesのバージョンからiTunes 9まではずっとCDと音符を重ねた同じデザインで、時々音符の色が変わるぐらいの変化しかありませんでした。

iTunes-new-logo.pngitunes-logo.png
それがiTunes Music Storeで販売している音楽の数がCDの売上げを上回ったらしく(KeynoteでSteve Jobs氏が言及)、もうCDはいらないだろうという話でした。

今となってはずいぶん昔の話になってしまいましたが、2001年1月にiTunesの最初のバージョンが発表された頃に思いを馳せてしまいました。

iTunesを発表するまでは、Apple社はパソコンにCD-RW(読み書き)ドライブを搭載することをかたくなに拒んでいて、横込みだけができるCD-ROM、もしくはDVDの再生ができるDVD-ROM(読み込みのみ)を全パソコンのモデルに搭載していました。それに対してWindowsの世界ではCD-RWが一般的になっていて、音楽CDを多くの場合不法にコピーすることが多くなっていました。Apple社は常々クリエイターやアーティストの側に立ってきたメーカーなので、CD-RWを搭載しなかったのは彼らに対する遠慮もあったのでしょう。批評家やユーザからはCD-RWを標準搭載するように要望されても、Appleは決して搭載しませんでした。

それがiTunesを発表したときにがらりと戦略を変えました。アーティストに遠慮していてはだめだと。新しい音楽消費の形態を世の中に提案していかないと、パソコンそのものの進歩の可能性が失われると思ったのでしょう。CD-RWの標準搭載を始めたばかりではなく、“Rip, mix, burn”というプロモーションまで行いました。単純にCDの違法コピーがしやすくなったというのではあまりにもまずいし、何の価値も提供していません。そこでそうではなく、CDの音楽を選んでカスタムのCDを作ることに価値があるとプロモーションしたのです。ただ”Rip”は誤解されやすい言葉だったので、わざわざAppleのホームページに解説もありました。
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このiTunesの発表をきっかけに、Appleは“Digital Hub”戦略を打ち出し、そしてまもなくiPodを発売します。そのiPodからiPhoneに行って、iPadに行ったのはもう皆さんも知っていることです。アーティストやレーベルに音楽消費の新しい形態を提案するのはiTunes Music Storeにもつながりました。

いろいろ考えさせられます。