タブレットの売り上げ台数がパソコンを超えるというIDCの報告がありました。問題はこれをもってポストPC時代の到来、そしてMicrosoft時代の終焉を宣言して良いのかどうかです。
Deloitteという会社が将来のトレンド予想として“The PC is not dead: it’s about usage not units”という記事を書いています。
この中で以下のことを述べています。
- 発売台数ではタブレットはパソコンをしのぎましたが、市場に出回っている台数ではまだまだパソコンの方が圧倒的に多い(タブレットは全体の13.5%程度)。
- インターネットの使用においては、2013年はまだアクセスの80%がパソコンからで、残りの20%がスマートフォンとタブレットから来るでしょう。
- 発展途上国において安価なタブレットが普及すると思われがちだが、結果はむしろ逆。
- 若い人を対象にした調査でも、若い人ほどパソコンを主に使用しているという結果になった。
この報告を読む限り、パソコン時代の終焉はまだまだ先のようです。特にAndroidのタブレットはコンテンツの消費や娯楽にのみ注力していて、コンテンツ作成や長いEmailの作成などを全く重視していません。つまり進化の方向そのものがパソコンの代替に向かっていない可能性があり、このままでは永遠に代替できない可能性があります。
Appleはこの問題をおそらく強く認識していて、iOS用のiWork(ワープロ、スプレッドシート、プレゼンソフト)を無料化したのはこのためでしょう。10インチのタブレットに力を注いでいるのも、コンテンツ作成を重視しているためでしょう。
コンテンツ作成、特に事務的なコンテンツ作成に注力しているのはMicrosoftのSurfaceシリーズです。タブレットでのコンテンツ作成に注目が集まれば、Surfaceが人気を集める可能性はまだまだあります。
まとめ
タブレットの売り上げ台数がパソコンを超えたとは言え、タブレットがパソコンを代替し、市場から追い出すという状態には全くなっていない可能性があります。
理由はタブレットがまだまだパソコンに代わるだけのものになっていないからです。
「パソコンにどれだけ近いか」という軸で市場を眺めると、以下のようになります。
Android 7インチ < iPad mini 8インチ < iPad 10インチ < Surface RT < Surface Proその他のタブレットPC
現在のタブレット市場はこの軸の左側に注目が集まっていますが、徐々に右側に移行していく可能性があり、そうしないとタブレットがパソコンを代替するようにはならないでしょう。
なおムーアの法則により半導体の処理能力が上がると、Surfaceなどの価格が下がり、市場の中心が右側にシフトするように動くでしょう。一方でパソコンの処理能力が上がっても、画面サイズの制限により、7インチがパソコンを代替する方向には進化しないでしょう。
つまりMicrosoftにまだまだチャンスがありそうだということです。