2011年にはAndroid携帯が衰退していく理由

GoogleのAndroid携帯は最近、日本でも大変盛り上がってきました。Samsungが製造しているGalaxy TabをNTT DoCoMoが大々的に宣伝したり、あるいはAUがようやくAndroid携帯を発売したりしています。SoftbankはiPhoneがありますので、本来はAndroid携帯を売る大きな理由はないと思いますが、それでも一応売っています。

世界でもAndroidは非常に良く売れているようです。

しかし2011年はAndroidが衰退していく年になるだろうと私は思います。

理由は非常に簡単です。特許です。

NewImage.jpgAndroidがここまで人気が出たのは、iPhoneに遅れて3年で技術的に同等なものが作れたからです。iPhoneというのは非常に革新的で全く新しい携帯電話でした。それを3年でほぼ真似ることができたというのは大変なことです。Appleが米国でAT&Tとの独占キャリア契約をしてきたのは、有力な競合がしばらく出て来ないことを想定したものだったと思いますが(つまりキャリアに対して圧倒的な交渉力を維持できる)、Androidの躍進はAppleの想定よりもずいぶんと早かったのだろうと思います。

開発が早かった理由はGoogleの技術者が優秀だったということもあるかもしれませんが、多分それだけではありません。あっちこっちの特許を侵害する形で近道をしたというのもありそうです。

Androidの特許周りを総括しているブログ、FOSS PATENTS : Android caught in a crossfire of patentsでは以下のように書いています。

While I’ve been following patent disputes in our industry for some time, I can’t remember that any software platform has ever been under pressure from such a diversity of patents — held by several powerful competitors — as Android.

Given the well-known strength of the patent portfolios of Apple, Oracle and Microsoft, and considering those companies’ vast resources and expertise, the latter scenario (all patents valid, all of them infringed) is certainly a possibility. Even a fraction of that could already have meteoric impact.

Androidの特許を取り巻く環境はとりわけ厳しく、Androidが無傷で特許紛争から逃れることはまずあり得そうにないという話です。

I said before that if all those complaints succeed (even just the ones that have already been filed), Android would be reduced to uselessness. That’s because the patents asserted cover an impressive diversity of technologies that define the user experience — and, therefore, customer expectations — in today’s smartphone market.

Androidが侵害していると既に訴えられている特許は非常に広範な技術をカバーするそうです。Java VM、UI、電力管理、ネットワーク接続、フラッシュメモリ管理、プログラミングテクニック関係、データのシンクロ関連などなどです。一部だけでもAndroid側が敗訴すると、Android携帯はほとんど使い物にならなくなるそうです。

Googleの対応と2011年の予想

Googleがどのような対応を取りそうか、それはOracleからの訴えに対する反論にもあります。

Google, メーカーを訴えてくれ:AndroidのJava特許侵害

そうじゃないとしても、Apple, Microsoft, OracleがGoogleではなく、携帯メーカーのHTCやMotorolaを訴えるのは全く自由です。Googleが積極的に和解金を払いながら問題を解決していくとも思えませんので(そもそもAndroidは無償で提供していますし)、2011年は引き続き多くのAndroid関連訴訟が起こされるでしょう。

携帯メーカーとしては非常に困ったことです。こんな訴訟に巻き込まれるようなOSを使い続けるよりも、他に使えるものがあるのならぜひ使いたいというのが本音でしょう。訴訟が怖いのでAndroidは使いたくないのに、残念ながらいままでは選択肢がなかったのです。

しかしようやくその選択肢が登場します。2011年にはWindows Phone 7が本格的に売り出されていきます。Windows Phone 7はまだ未完成ではあるものの、かなり有望だというレビューも多く(他にここも)、訴訟を警戒するメーカーはかなり積極的に使うはずです。最悪でも訴えられたときのバックアップとして、各メーカーはWindows Phone 7をラインアップに加えるでしょう。そしてWindows Phone 7が徐々に完成度を高めていってくれれば、携帯メーカーがAndroidに投資し続ける理由はなくなってきます。

OracleとMicrosoftそしてAppleを同時に敵に回すよりは、Microsoftの傘の下でビジネスをやる方がよっぽど賢明そうです。

2011年はそういう年になっていくと思います。

Google TVのレビュー記事

New York TimesのDavid PogueによるGoogle TVのレビュー記事がありました。

“Google TV, Usability Not Included”

要点は

  1. Google TVは機械好きの人には面白いかもしれませんが、一般の人には向きません。
  2. キーボードはSonyの場合はXBoxコントローラーとキーボードの組み合わせ、Logitechの場合はトラックパッド付きのフルキーボードとなっています。
  3. 使い方が分かり難い。
  4. 大手のTVネットワークはGoogle TVがウェブページに接続するんをブロックしているので、Google TVからオンラインの番組が見られません。それなのにこれらの番組はGoogle TVのテレビ番組一覧に表示されてしまっています。

かなりぼろぼろに書かれてしまっています。

GoogleTV.jpg

Appleの競合製品は皆Safariベース:イノベーションは土台が大切

スマートフォン市場、特にビジネス向け市場で圧倒的な優勢を誇っていたResearch in Motion (RIM)のBlackberryですが、最近AppleのiPhoneがそのシェアを越えたということが話題になっています。

それに対するResearch in MotionのCEO Jim Balsillieが反論というか強がりを言っている記事がありました。

RIM CEO Jim Balsillie To Steve Jobs: ” You Don’t Need An App For The Web”

この中で、iPhoneの大きな強みがApp Storeにある膨大な数のアプリであることに対抗して、RIMのアプローチはすべてをブラウザでやることだと主張しています。

Balsillie went on to contrast the Blackberry approach to Apple’s when it comes to web apps. There may be 300,000 apps for the iPhone and iPad, but the only app you really need is the browser. “You don’t need an app for the Web,” he says, and that is equally true for the mobile Web. The debate over mobile apps versus the mobile Web. Blackberry is betting on the Web, much like Google.

近々発売される予定のPlayBook Blackberry Tabletにしても、アプリはないかも知れないけれどもWebブラウザがすごく早いよと自慢しています。

でもBlackberryのブラウザはAppleが開発したWebkitベース

Safari.jpgしかしJim Balsillieが自慢しているWebブラウザは実はAppleが開発し、Safariにも使われているWebkitがベースです。

WebkitはAppleが中心に開発しているオープンソースのブラウザ基盤技術で、Nokiaブラウザ、Google Chrome、Palm WebOSにも使われています。次世代スマートフォンの中では圧倒的なシェアを誇っているどころか、現時点ではデファクトスタンダードの感すらあります。

Jim Balsillieが自慢しているWebブラウザの良さって、ほとんどがAppleが開発した技術に由来するのです。なんか変ですよね。RIMだけでなく、iPhoneに対抗しようという製品もすべてAppleの技術を中心にしています。

こんな状況なので、スマートフォンでイノベーションを起こしているのはAppleだけで、Googleを含めた他社は単に追随しているだけというのも仕方がないように思います。

イノベーションは「今」を犠牲にしてでも、土台が大切

AppleがWebkitに取りかかったのは2002年。Mac OS X用の新しいブラウザ、Safariを開発するのが目的でした。オープンソースだったKHTMLをベースに始まりました。

当時はMozillaのGeckoエンジンの方がはるかに成熟していて、そっちをベースにすれば多くのウェブサイトを問題なく表示できるブラウザがすぐに作れるのにと思ったものです。KHTMLをベースにしたため、初期のSafariは多くのウェブサイトで問題を起こし、しばしばFirefoxを立ち上げなければなりませんでした。それでもAppleがKHTMLを選択した理由は以下のメールに記されています。

Greetings from the Safari team at Apple Computer

The number one goal for developing Safari was to create the fastest web
browser on Mac OS X. When we were evaluating technologies over a year
ago, KHTML and KJS stood out. Not only were they the basis of an
excellent modern and standards compliant web browser, they were also
less than 140,000 lines of code. The size of your code and ease of
development within that code made it a better choice for us than other
open source projects. Your clean design was also a plus.

ユーザからすると最初の頃のSafariは確かにスピードは良かったのですが、バグが多くて必ずしも実用的ではありませんでした。Webkitのバグがなくなり、ほとんどのウェブページを問題なくレンダリング出来るようになるまでは何年もかかりました。その間はKHTMLを選択したのは本当に正しかったのか、ユーザとしては疑問に思うことも少なくありませんでした。当時のKHTMLはまだ完成度が低く、完成させるまでにはたくさんの開発が必要だったのでしょう。

しかし今にして思えば、Appleは最高の判断をしました。コンパクトで効率的なWebkitがあるおかげでiPhoneにフルブラウザを搭載できました。他の技術で代用が可能だったか(例えばGeckoをベースに)と言えば、他メーカーもこぞってWebkitを使っていることから判断すると、それはあまり現実的ではなかったとも思えます。

Webkitがここまで成功した理由を考えると、以下に要約できると思います。

  1. Geckoという完成した技術を使わず、土台がきれいでしっかりしているという将来性を見込んでKHTMLを選択しました
  2. その際、はっきりと「今」を犠牲にして、「未来」を選択しました
  3. そしてその「未来」を実現するべく、2002年から継続して開発を行いました

かなり勇気のいる決断をしています。

でもそれがイノベーションの肝なのだと思います。

Google, メーカーを訴えてくれ:AndroidのJava特許侵害

GoogleがAndroidの中でJavaの特許を侵害をしているというOracleの訴えについて、Googleからの反論があったそうです。

反論の根拠はいくつもあるのですが、その中の一つ

Sixteenth Defense – Third Party Liability
24. Any use in the Android Platform of any protected elements of the works that are the subject of the Asserted Copyrights was made by third parties without the knowledge of Google, and Google is not liable for such use.

要するに、GoogleはAndroidによって何ら収入を得てる訳ではないし、オープンなプラットフォームですよ。特許侵害あったとしても、Googleは知らないし責任はないよという話です。

Androidベースの携帯を作っているメーカーとしてみれば、GoogleはOracleからの訴えに際して何も守ってくれませんよ、あくまでも自己責任なのかという話です。

Oracleから訴えられるリスクを抱えてまでAndroidベースの携帯電話をいつまで売り続けるのか。ある時点で個別にOracleと交渉するべきなのか。メーカーにとっては悩ましい問題となりそうです。

GizmodoのGalaxy Tab Review

GizmodoのSamsung Galaxy Tab Reviewが出ていました。かなり辛口です。

“Samsung Galaxy Tab Review: A Pocketable Train Wreck”

Samsungの技術力や製品企画力がどうのこうのではなく、そもそも7インチのタブレットは意味があるのかという観点での議論が多いです。

If you take iPhone apps and simply scale them up for the iPad, most of them don’t feel right. If you take Android apps and scale them up for the Tab, the majority of them—Twitter, Facebook, Angry Birds—work perfectly. (Except for when they don’t, like The Weather Channel.) That’s because the Galaxy Tab is small enough that apps simply blown up a little bit still fundamentally work. Which means, conversely, that there’s almost no added benefit to using the Tab over a phone. It’s not big enough. Web browsing doesn’t have greater fidelity. I don’t get more out of Twitter. A magazine app would be cramped.

現時点ではスマートフォン用のアプリを拡大表示したものしかありません。でもスクリーンが小さい分、拡大率も小さく、結果としてあまり問題がありません。議論を裏返すとスマートフォンを使うのと比べると、Galaxy Tabを使うメリットはほとんどないという結論です。

In other words, you get the worst of a phone’s input problems—amplified.

文字入力に関してはスマートフォンの入力のしにくさをそのまま引き継いでいるということです。しかも一段と悪くなっているとまで言っています。

The browser is miserable, at least when Flash is enabled. It goes catatonic, scrolling is laggy, and it can get laughably bad.

Flashをオンにしている状態では、ブラウザは惨めそのものだと言っています。技術的に言えばFlashは迷惑なんですね。マーケティング的にはiPadとの差別化のために含めたくなるのでしょう。

Typically, the point of a compromise is to bring together the best of both sides. The Tab is like a compromise’s evil twin, merging the worst of a tablet and the worst of a phone. It has all of the input problems of a tablet, with almost none of the consumption benefits.

スマートフォントとタブレットの妥協点を探った製品ゆえに、問題が噴出しているという結論です。

ただし、妥協点を探った中間的な製品が難しいというのは、現実社会でマーケティングを見つめて来た人には当然分かる話です。たぶん最初から「妥協」狙ったのではなく、以下のように製品企画の議論は進んだと思います。

  1. iPadと対抗するタブレットを作ろう
  2. まずは10インチを検討してみよう。狙いとしては、iPadより多機能で、そして価格が安いものを作りたい。
  3. 実際に製造コストを推定したら、すごく高くなってしまった。これじゃ話にならない。(シャープガラパゴス10.8インチモデルの価格が今月中に発表されると思いますので、そのときにApple以外が10インチを作るとどれぐらい高いのかが分かるかもしれません)
  4. 10インチのタブレットだとアプリを専用に開発しないといけなさそうだ。サードパーティーも10インチ用のアプリを開発してくれないと。でもGoogleですらまだタブレット用のOSを用意していない。10インチタブレット用のサードパーティーアプリはまず期待できなさそうだ。
  5. 7インチならなんとか価格的にすり合うし、Androidスマートフォンのアプリを拡大しても無様にはならない。よし7インチでいこう。
  6. マーケティング的には苦しいけど、これしか作れないのでやるしかない。

要はSamsungだってバカじゃないし、マーケティング部隊はすごいという話なので、市場からかけ離れた間抜けな発想はしないはずです。それでも7インチという中途半端な製品を作ることになったのは、iPadの価格設定が安すぎたこととGoogleの準備ができていなかったということで、Samsungには他に選択肢が残されていなかったからだと思います。

持ち運びがしやすいというメリットを最初から積極的に考えていた訳ではないと思うのです。

Samsungの人、気の毒….

「中間」カテゴリーの危うさ:Android 7インチタブレットの競合は本当にiPad。それともスマートフォン?

ようやくiPadに対応し得るタブレットとしてSamsung Galaxy Tabが注目されていますが、評論家の意見を読んでいるとなんだか論調がぶれているような気がします。

要は、Galaxy TabはiPadの競合なのか、それとも新しいカテゴリーなのか。あるいはスマートフォンと競合するのか。

New York TimesのDavid Pogue

But the Galaxy doesn’t feel like a cramped iPad. It feels like an extra-spacious Android phone.

WiredのChristopher Null

The Tab requires some retraining in the way you use a mobile device — it’s somewhere between a phone and a regular tablet — but once you get it, it’s a pleasure to use. The Tab ultimately reveals itself not as a competitor to the iPad but as a new class of mobile devices: a minitablet that is designed to go everywhere you do.

Read More http://www.wired.com/reviews/2010/11/galaxy_tab/#ixzz14zdHpWy9

「ヘー、新しいカテゴリーなの」って聞くと聞こえはいいのですが、問題はそんな新しいカテゴリーにニーズがあるのかないのかです。

Steve Jobs氏の大失敗作、G4 Cubeを思い出してみるといいと思います。Steve Jobs氏がAppleに戻ったとき、あまりにも製品ポートフォリオが訳が分からなかったのでばさっとシンプルにしました。Consumer <-> Pro, Desktop <-> Portableの軸で割って、4つのカテゴリーに区切ったのです。(YouTube Macworld NY 1999 09:30頃)

apple mac portfolio.png

なのに翌年にSteve Jobs氏は中途半端な製品を発表してしまいます。それがG4 Cubeです。

G4 cube in portfolio.png

PowerMacとiMacの良さを兼ね備えた製品というのが売りです。

Cube = Power Mac + iMac.png

でも売れなかったので、発表から1年半で販売中止になりました。

G4 Cube販売中止のプレスリリースがこれです。中間的なマーケットセグメントには熱狂的な顧客がいなかった訳ではないのですが、いかんせんマーケットサイズが小さすぎたという主旨です。

Apple® today announced that it will suspend production of the Power Mac™ G4 Cube indefinitely. The company said there is a small chance it will reintroduce an upgraded model of the unique computer in the future, but that there are no plans to do so at this time.

“Cube owners love their Cubes, but most customers decided to buy our powerful Power Mac G4 minitowers instead,” said Philip Schiller, Apple’s vice president of Worldwide Product Marketing.

The Power Mac G4 Cube, at less than one fourth the size of most PCs, represented an entirely new class of computer delivering high performance in an eight-inch cube suspended in a stunning crystal-clear enclosure.

G4 Cubeの教訓 : 新しい「中間」カテゴリーというのは危険信号

G4 Cubeの教訓は何か。それは非常に売上げが好調な2つの製品カテゴリーがあるからと言っても、その真ん中にも大きなマーケットニーズがあると思ってはいけないということだと思います。

むしろ好調な2つの製品カテゴリーに挟まれていると、顧客はどちらから一方に吸い寄せられてしまい、真ん中のセグメントはサイズが小さくなると思います。

そのとき、中途半端な製品のスペックを上げる改良を今更加える訳にもいきません。そこで結局は利益を犠牲にしてでも価格を下げ、下の方のカテゴリーの顧客に売り込むことになります。G4 Cubeもそうでした。

僕がいたバイオ業界の話になりますが、前社の新しいリアルタイムPCR装置がそうでした。ABIのフラグシップモデルを狙う訳でもなく(勝つのに必要なサポート体勢がありませんでした)、Takaraなどの安いモデルを狙う訳でもなく、真ん中のカテゴリーを目指すのが狙いだったのです。しかしふたを開けてみると中間のマーケットセグメントはわずかなサイズで、大部分の商談はTakaraとの競合になってしまい、価格をがんがん下げることになってしまいました。それはそれはもう社長まで値下げの号令を出す、本当にびっくりするような値下げの仕方でした。

新しいカテゴリーは端っこに作られる

Appleの話ばかりで恐縮ですが、Appleが新しく生み出した製品カテゴリーを思い出してみるといいと思います。成功したもので「中間」は一つもありません。

  1. Macintosh : 全く新しいユーザインタフェースを搭載した、画期的なパソコンでした。価格はべらぼうに高いものでした。
  2. iPod : ポケットの中に1,000曲。当時のMP3プレイヤーは小さなフラッシュメモリかCDにデータを焼き込んでいました。ハードディスクにデータを書き込むことによってトップスペックの1,000曲を実現し、しかもFirewireによって高速な書き込みも実現していました。
  3. iPhone : それまでのどのスマートフォンでも搭載していなかったタッチUIとJavascriptを含めたフルブラウザを兼ね備え、メールでもマーケットリーダーのBlackberryに引けを取りませんでした(Exchange互換だけは遅れましたが)。

Apple以外で言えば

  1. ネットブック : 圧倒的に安い価格でパソコンを提供。
  2. ウィンドウズパソコン : MacintoshのUIの素晴らしさを圧倒的に安い価格で提供。
  3. ソニーの薄型バイオノートブック : 当時としてはダントツの薄さでした。
  4. 電子辞書 : 紙の辞書よりは圧倒的に軽く、調べやすい。パソコンよりも軽いし、起動が速いし、安いし等々、圧倒的に便利。

成功する新しいカテゴリーは、基本的に既存カテゴリーの上位か下位のどちらかにしか生まれません。中間はうまくいかないのです。

Galaxy Tabはどうなる?

その流れが今回も当てはまるのならば、Galaxy Tabの運命は割とはっきりしています。

  1. まず売れません。どうして売れないかというと、持ち運びやすさを重視する人はGalaxy SもしくはiPhoneを買い、パソコンを代替するような使い方をする人はiPadを買うからです。あるいは片手で持てるeBook Readerが欲しい人は遥かに安価なKindleを買うでしょう。Galaxy Tabは中間的な製品としては秀逸です。しかし中間的な(中途半端な)マーケットセグメントのサイズは小さいのが一般的です。
  2. 仕方なくSamsungはGalaxy Tabの価格を下げます。今でも高すぎると言われているぐらいですから、失敗の原因を当然価格に求めるでしょう。あるいはキャリアとバンドリングして、なんとか見かけだけでも値下げします。そしてどれぐらい値下げが必要かというと、スマートフォンの購入を考えている人やKindleの購入を検討している人が立ち止まって考えるレベルまでの値下げ幅です。相当な値下げが必要です。
  3. Appleの場合はG4 Cubeを売らなければならない理由がなく、iMacとPowerMacで十分だったのですぐに撤退しました。Samsungが赤字すれすれでもGalaxy Tabを売り続けるか、それともGalaxy Sなどのスマートフォンに集中するかははっきり分かりません。多分逃げずにがんばって売り続けると思います。
  4. それでも最後は何らかの形で諦めるしかありません。それがどのような形になるかはちょっと予想がつきません。

まともにiPadに勝負に挑むのならば、中間を狙うのではなく、上か下かを狙うしかありません。

上を狙うというのは圧倒的な付加価値を付けるということです。カメラ程度では厳しいでしょう(近いうちに発表されるiPad 2にはついてくるでしょうし)。Flashでもだめです(というかそもそも実現不可能みたいだし)。

いまのところはキラーアプリとしてMicrosoft Officeが動くこととかしかないと思うのですが、Android用にMicrosoftがOfficeを移植する可能性はゼロに等しいでしょう。Android用のOpenOfficeみたいなやつはありますが、それが仮にMS Officeとの互換性が100%であったとしても、Microsoft公認のOfficeがあることに比べれば末端顧客へのインパクトは全然足りません。ですからMicrosoftがタブレット用のWindowsを開発するまでは、上から狙うのは無理そうです。GoogleもAndroid限定のキラーアプリを開発して上から狙えるようにするよりは、iPadでも使えるようなウェブアプリを作って、なるべく多くの人に使ってもらうのが全社戦略にマッチするはずです。

下を狙うのであれば価格を圧倒的に安くすることです。しかしMacintoshの時と異なり、Appleは積極的な価格設定と厳密な製造コストのコントロールをしています。まず圧倒的な差をつけるのは常識的には無理です。

10ヶ月前にも言いましたが(” iPadのこわさは、他のどの会社も真似できないものを作ったこと” )、iPadの独走はしばらく続きそうです。

Android TabletのFlashが使い物になるかどうか微妙な件

著名なテクノロジー評論家のWalt Mossberg (Wall Street Journal)とDavid Pogue (New York Times)のSamsung Galaxy Tabの評価が出そろいました。

Walt Mossbergが
Samsung’s Galaxy Tab Is iPad’s First Real Rival

David Pogueが
It’s a Tablet. It’s Gorgeous. It’s Costly.

どっちもFlashについては評価が低いです。

Walt Mossberg;

I found the Web browser to be a bit jerky in zooming into text and scrolling through long pages. I tested several Adobe Flash videos and websites written in Flash. Sometimes they played and sometimes they didn’t. In all cases, they slowed the browser down. On one site written in Flash, I got a warning saying I might want to “abort” lest the computer become “unresponsive.” In another case, the Tab crashed. So I conclude that while the Tab does play Flash, it needs work on that score.

David Pogue;

Because the Galaxy runs Android 2.2, it can also play Flash videos online (touché, iPad!). Or at least it’s supposed to. After some delay, I got Flash movie trailers and CNet videos to play, but at ESPN.com, the Play Video button just stared at me sullenly. (My Samsung rep says they play fine for him.)

Adobeとしては最後のチャンスだったと思うのですが、しくじってしまったようです。

そしてGoogleはFlashを搭載することによってiPad/iPhoneとの差別化を狙ったのでしょうが、却って悪い印象を与える可能性がありますね。サポートも大変です。

New York Times : Samsung Galaxy Tabは素晴らしいけど高すぎる

ユーモアたっぷりに最新のガジェットを素人にも分かりやすく紹介してくれるNew York TimesのDavid Pogueの記事。

“It’s a Tablet. It’s Gorgeous. It’s Costly.”

このトピックについてはiPadについて論じた一連のブログ記事で紹介していますので、それとの関連でいくつか引用します。

But the Galaxy doesn’t feel like a cramped iPad. It feels like an extra-spacious Android phone.

ということはAndroidの7インチタブレットはiPadと競合するのではなく、Galaxy SなどのAndroidスマートフォントと競合するってことなのかな?

そもそもどうして各メーカーが7インチタブレットを作っているかを考えると、10インチを作って真っ正面からiPadとガチンコ勝負をすると、ソフト的にも価格的にももっとぼろぼろに負けてしまうからではないでしょうか。

Because the Galaxy runs Android 2.2, it can also play Flash videos online (touché, iPad!). Or at least it’s supposed to. After some delay, I got Flash movie trailers and CNet videos to play, but at ESPN.com, the Play Video button just stared at me sullenly. (My Samsung rep says they play fine for him.)

まぁAdobeがどんなにがんばったって、Flashは終わっていますよね。

Another problem: most of the 100,000 apps on the Android store are designed for a phone-size screen, not a tablet. The Galaxy either blows them up, at the expense of clarity, or lets them float in the center of the larger screen with a Texas-size black border.

This problem, of course, was familiar to early iPad adopters: iPhone apps ran on the iPad, but couldn’t exploit the larger screen. But Apple encouraged programmers to come up with iPad-specific versions, and released a software-writing kit to help them along. Google hasn’t done that yet, so it may be awhile before 7-inch Android apps become the norm.

Googleとしてはまず7-inchタブレット用のAndroidを作らなければならないのですが、10-inchを無視するのも大きなギャンブルになります。ということはスマートフォン用、7-inch用、10-inch用のAndroid OSをGoogleが開発し、そしてアプリ開発者も同じように3つのバージョンのアプリを開発するのかって?それはちょっと考え難いですよね。

Googleとしては、現時点で7-inchタブレットにコミットできないのだと思います。10-inchも考えておかないといけませんので。

The biggest drawback of the Galaxy, though, may be its price: $600. You could buy two netbooks for that money, or four Kindles —or one 16-gigabyte iPad, with its much larger screen, aluminum body and much better battery life. (The iPad gets 10 hours on a charge; the Galaxy, about 6 hours.)

品質の有意性が明白ではないもの関わらず、トップブランドよりも明らかに高い価格で新規市場に参入するなんて、よほどのことがない限りうまくいくはずがないですよね。常識的にはあり得ない。

なんでそうなってしまうのか、それはiPadについて論じた一連のブログ記事でも紹介しています。iPadが発売された2010年1月末時点で、競合が同様の製品を作るのに何年もかかるだろうというのは明白でした。

しかもiPadの発表からすでに10ヶ月近く経ちますので、もう数ヶ月もすればiPadの新しいバージョンが発表されるのは間違いありません。1年前に僕が危惧した通りですが、ハッキリ言って今の時点では勝負になっていません。

Appleの価格競争力の優位性

Appleの価格競争力がすごいことに関する解説がJohn Gruberのブログ、Daring Fireballにありました。

“Apple’s Pricing Advantage”

このブログの中で僕がずっと言ってきたことではありますし、Steve Jobs氏本人も解説しているぐらいではあるのですが、Samsungですら高品質で安価なAndroidタブレットが作れないのがはっきりしてきたということのようです。(123456789

この記事の中でJohn Gruberはパソコン市場とiPod/iPad市場の違いについて述べています。

  1. パソコン市場ではAppleの製品は割高感があるのに、iPod/iPad市場だと価格が安くなるのはなぜか。
  2. 世界で一番Flashメモリを買っていて、メーカーから安く買えることが大きな原因でしょう。
  3. パソコン市場ではひどいデザインとか低品質のパーツを使ってもパソコンが売れてしまうが、iPod/iPad市場ではAppleがスタンダードになってしまっていて、まともな競合はこのスタンダードを目指さなければなりません。そのため安いパーツでごまかすことが出来ません。

僕は3番目の視点には気付いていなかったのですが、確かにそうかもしれません。

こう考えてみると、“Back To The Mac”の戦略的意義がすごく大きいことがわかります。

つまりAppleとしては、パソコン市場をiPod/iPad市場に近いものに誘導し、変質させることができれば、パソコンの価格競争力においてもAppleが圧倒的に優位に立てる可能性があります。

一番分かりやすいのはMacBook Airでハードディスクを排して、Flashメモリ(SSD)オンリーにする戦略です。パソコン用の保存領域としてFlashメモリがスタンダードになれば、Appleのパソコンは競合他社と比較して相対的に安くパソコンが作れるようになります。

いずれFlashメモリが標準になるのは必然で、時間の問題でしかないのですが、そのスピードを加速させることによってAppleは他社に先んじて価格競争力を身につけようとしているのではないでしょうか。

アナリストからはMacBook AirとiPadがカニバライズするのではないかという心配があったのに対して、Apple自身は全く気にしてないようです。よくよく考えてみるとAppleにとって大切なのはそういうことではなく、如何にマーケットをFlashメモリに切り替えさせ、自分たちの強みを最大化するかかも知れません。そういう意味ではiPadでもMacBook Airでも何でもいいから、一刻も早くFlashメモリをスタンダードにしたいのかもしれません。

そんな気がします。

Galaxy TabのUS価格(Verizon)

アップデート 10/22
Verizonが発表した価格について、インターネット上でいろいろな議論が起こってきました。
Googleで”galaxy tab price”と検索すると出てくるのが以下のページです。

  1. Verizon tries to justify crazy $600 Galaxy Tab price
  2. Verizon Backs Up $600 Galaxy Tab Price, But Is It A Lost Cause?
    (A smaller, less well-known iPad for the same price as an iPad?)
  3. Galaxy Tab price too high

ドコモがGalaxy Tab単独では売らずに、2年契約とひも付け手しか売らない理由がよくわかりますね。

Steve Jobs氏も先日語っていて、私もこのブログで何回も話してきましたが、

… our potential competitors are having a tough time coming close to iPad’s pricing, even with their far smaller, far less expensive screens.

これががそろそろみんなにも理解してもらえそうです。

Samsung Galaxy TabのUSでの正式価格が出ました。Verizonから発売されるもので、Verizonとの契約を必要としないバージョンです(つまりキャリアからの補填がない)。

この状態でSamsung Galaxy Tabは$600になるそうです。

iPadのWi-Fi + 3G, 16GBが$629なので、ギリギリこれを下回ることができました。UK海外からの輸入の情報を見る限り、かなりがんばったと言っていいのではないかと思います。

画面の面積が半分な上、Wi-Fiのみのバージョンはやはりありません。がんばったとはいえ、この程度の価格差でそもそもiPadと勝負になるかどうかはなんとも言えないですね。