細胞内のタンパク質の量を、タンパク質レベルで直接制御するキットがClontechより発売されました[日本語] [英語]。さすがClontechという感じのとても面白い製品です。
細胞内のタンパク質のレベルを制御する方法として、通常はmRNAの発現量を調節します。この代表的な製品がこれまたClontechのTet Systemですね。ただし、細胞内のタンパク質の量というのはmRNAの発現量だけでなく、mRNAの安定性、タンパク質の合成量、さらにタンパク質の安定性によって最終的に決定されるので、mRNAの発現量を変えても、タンパク質の量がほとんど変化しないこともあります。また変化したとしても、何時間もしてやっと変化することになるかも知れません。
今回のProteoTunerシステムは、細胞外から膜透過性の因子を添加することによって、細胞内のタンパク質の安定性を変化させて、直接タンパク質の量を上昇させるものです。mRNAの発現量を調節するよりもよっぽど直接的にタンパク質の量を制御できるので、いろいろな面白い実験ができそうです。一度合成されたタンパク質も安定性が低いので、因子を取り除いたらすぐに分解されるので、タンパク質レベルを短時間だけスパイクすることもでできます。
特に早い応答が重要な細胞周期などの研究に利用できそうです。