StatCounterは多数のウェブサイトのウェブアクセス統計を確認できるツールを用意しており、様々な観点からレポートを作成することができます。
今回はStatCounterを使って、ここ数ヵ月間で企業のWindows 7使用が急激に増えていることを確認します。
日本のデータ
まずは日本のデータを見ながら、グラフの見方を解説します。
日本のデータのWin7のグラフ(黄色)の左側(2012年頃)を見ると、上方にスパイクがあるグラフになっています。スパイクしているのは週末のデータです。したがって2012年頃のWin7は、週末に使用される割合が高かったことがわかります。それとくらべてWinXP(青色)のグラフは下方にスパイクしています。つまり平日に使われる割合が高かったことがわかります。このことから、2012年頃はWin7はプライベートで、WinXPは職場で使われることが多かったことが推測できます。
さてWin7のグラフの2013年のデータ(右側)を見ると、2012年と比べて上方のスパイクが小さくなっていることがわかります。2013年後半(右端)になるとスパイクが消えかかっています。つまりWin7が職場に浸透し、平日に職場でも使われることが多くなったことが推測されます。
またWinXPのグラフの2013年後半を見ると、同様に下方のスパイクが小さくなっています。つまり職場で使われていたWinXPが減り、その一方でプライベートでのWinXPが余り減っていないことが推測されます。
なおWin8(水色)は上方にスパイクしていますので、プライベートでの使用が主であることがわかります。さらにWin Vista(緑色)はずっとプライベートで主に使われたままであり、職場で使われることは最後までなかったことがうかがえます。
加えてMac(紫色)は日本では主に職場で使われていることがわかります。
世界のデータ
以下では同じように集めたいろいろな国のデータを並べました。個別の国の解説は割愛しますが、気になったポイントを以下に紹介します。
- 米国では2012年末から2013年はじめにかけてWin7の職場への浸透が進み、2013年後半時点ではすでにWin7は主に職場で使われるようになりました(Win7の線が上方スパイクから下方スパイクに代わりました)。一方でWinXPの使用は以前として職場が中心です。Win7に代わって、プライベートで主に使われるOSとして登場したのはWin8、そしてiOS (iPad)です。
- 英国は米国と非常に良く似ていて、既にWin7が職場に浸透してますが、Win7の職場への浸透は半年程度遅れています。
- ドイツ・フランス・イタリアは傾向としては米・英に似ていますが、Win7の職場への浸透は1年弱遅れています。タイミングとしては日本とほぼ同じです。
- 日本と韓国の傾向は良く似ています。Win7の職場への浸透のタイミングはドイツ・フランス・イタリアとほぼ同じです。WinXPについてはドイツ・フランス・イタリアでは米国同様に依然としてXPでの職場利用が多いままです。一方日韓では、XPの職場利用が減っています。
- 米欧ではMacは職場でもプライベートでも良く使用されています。日本では職場の利用が中心なので対照的です。
- ブラジルとインドは欧米と良く似た傾向ですが、Win7の職場利用はまだ緩やかで、日欧よりもさらに遅れています。
- 中国は今回見ている国の中では唯一、WinXPが下方にスパイクせず、プライベートでも職場でも同じように使われています。今回見ているデータだけではその理由はわかりませんが、おそらくは海賊版の影響があるのだろうと思います。
最後に
Microsoftは来年の4月でWinXPのサポートを完全に打ち切ると宣言しています。職場で多く使われているWinXPですが、企業やようやく2013年になってWin7への以降を加速させているのはこのためだと思われます。
日本と韓国のデータで気になるのは、プライベートでのWinXPの使用が多そうだという点です。中国を除いた他国では、WinXPのプライベートでの使用は少なく、企業がWin7に移行していくことでWinXPのユーザがほぼ完全になくなることが期待できます。しかし日本と韓国ではプライベートでのWinXPの使用が多く、企業がWinXPの使用を減らしているのと対照的に、プライベートでは引き続けて使い続けているようです。これはWinXPの下方のスパイクが日韓では小さくなっているのに対し(プライベート使用率が上がっている)、他国ではWinXPの下方スパイクの大きさが依然として大きいことでわかります。
プライベート向けのウェブサイトを開発している日本、韓国、そして中国のウェブデザイナーは、引き続きWinXPそしてInternet Explorer 8をサポートし続けないといけないのかも知れません。