「若者が海外勤務を嫌うようになった」ってどれだけ本当か

ふと思いました。

「最近の若い社員は海外勤務を嫌う」ということがテレビで放映されているのを昨日見ました。同じような論調の新聞記事もよく見かけます。

近頃の若者の内向き傾向を批判的に論じたり、あるいはこれからの日本は海外に出て行かなければならないとハッパをかけたりするときに、このことがよく取り上げられます。具体的には最近の社員に聞くと、海外勤務を希望する人数がガクッと減って、ずっと日本にいたいという人が多いらしいのです。

さてこのような傾向が本当にあるのかないのか、実際に調査をしている訳ではないのですが、どうも鵜呑みには出来ないデータじゃないかなと思います。というのも一昔前の「海外勤務」と現代の「海外勤務」って全く状況が異なるからです。

一番端的なのは、赴任先が変わったということです。昔の海外勤務であれば欧州や米国を想像しましたが、今の赴任先は上海を筆頭にアジアが断然多くなっています。また日本も相対的に貧しかったので、日本よりも豊かな生活の国に行くのが昔の海外赴任でした。それに対して今の海外赴任は、日本よりも生活水準が低いところにいくのです。

昔だったらあこがれの地に、会社からの手厚い手当をもらい、優雅に数年間住めるというのが海外赴任でした。私も父親の仕事の関係で幼少時代を英国で過ごしましたが、それは確かに良い生活でした。

それが今の海外赴任は、日本よりも貧しい国で、現地の人のパワーに圧倒されながら生活するものです。住めば都ということも多いとは思いますが、海外赴任のイメージは今と昔とでは全く違います。

「日本の若者は内向きになった」と残念がっている人は、日本と他国の関係が全く変わったということを再認識した方が良いと思います。これは少なくとも部分的には日本が豊かになったことの結果であり、経済の焦点が発展途上国に当てられていることの結果なのです。

それを考慮した上で、今後の日本の方向を考えるのが正しいやり方ではないでしょうか。

Google, メーカーを訴えてくれ:AndroidのJava特許侵害

GoogleがAndroidの中でJavaの特許を侵害をしているというOracleの訴えについて、Googleからの反論があったそうです。

反論の根拠はいくつもあるのですが、その中の一つ

Sixteenth Defense – Third Party Liability
24. Any use in the Android Platform of any protected elements of the works that are the subject of the Asserted Copyrights was made by third parties without the knowledge of Google, and Google is not liable for such use.

要するに、GoogleはAndroidによって何ら収入を得てる訳ではないし、オープンなプラットフォームですよ。特許侵害あったとしても、Googleは知らないし責任はないよという話です。

Androidベースの携帯を作っているメーカーとしてみれば、GoogleはOracleからの訴えに際して何も守ってくれませんよ、あくまでも自己責任なのかという話です。

Oracleから訴えられるリスクを抱えてまでAndroidベースの携帯電話をいつまで売り続けるのか。ある時点で個別にOracleと交渉するべきなのか。メーカーにとっては悩ましい問題となりそうです。

Android TabletのFlashが使い物になるかどうか微妙な件

著名なテクノロジー評論家のWalt Mossberg (Wall Street Journal)とDavid Pogue (New York Times)のSamsung Galaxy Tabの評価が出そろいました。

Walt Mossbergが
Samsung’s Galaxy Tab Is iPad’s First Real Rival

David Pogueが
It’s a Tablet. It’s Gorgeous. It’s Costly.

どっちもFlashについては評価が低いです。

Walt Mossberg;

I found the Web browser to be a bit jerky in zooming into text and scrolling through long pages. I tested several Adobe Flash videos and websites written in Flash. Sometimes they played and sometimes they didn’t. In all cases, they slowed the browser down. On one site written in Flash, I got a warning saying I might want to “abort” lest the computer become “unresponsive.” In another case, the Tab crashed. So I conclude that while the Tab does play Flash, it needs work on that score.

David Pogue;

Because the Galaxy runs Android 2.2, it can also play Flash videos online (touché, iPad!). Or at least it’s supposed to. After some delay, I got Flash movie trailers and CNet videos to play, but at ESPN.com, the Play Video button just stared at me sullenly. (My Samsung rep says they play fine for him.)

Adobeとしては最後のチャンスだったと思うのですが、しくじってしまったようです。

そしてGoogleはFlashを搭載することによってiPad/iPhoneとの差別化を狙ったのでしょうが、却って悪い印象を与える可能性がありますね。サポートも大変です。

アメリカでもQR Codeが流行りだしているという話

最近アメリカに行っていないのでよくわかりませんが、どうやら日本に数年遅れて(だと思うのですが)QRコードが流行りだしたそうです。

ということでiPhoneでQRコードを読むためのアプリの紹介が TheAppleBlog にありました。

5 QR Code Readers for iPhone

とりあえず紹介だけ。

理科離れって学生向けにいろいろやって解決するものなの?

自分のTwitterのTLがそういう方向に傾いているせいなのか分からないのですが、子供たちに理科に興味を持ってもらったり、あるいは社会人が理科を語り合ったりする場を作ったりする活動の話が割と多い気がしています。それも自然発生的にそうなっているのは構わないのですが、国策として国の税金で運営されているのが多いような印象で、心配です。

僕が大学に所属していた20年弱前はそんなことが全然なかったので、違和感があるのです。しかも僕が大学院を卒業することは大学院大学構想等でとにかく次々と博士を量産するんだという流れがあって、そして10年ぐらい経つとその博士たちがつくべきアカデミアのポストもなく、また企業も採用には積極的ではないなどいろいろありました。今の博士の就職難問題の始まりです。僕らの世代、そしてその次の世代の理系は、かなりひどい国策の犠牲になっていると思います。

だから理科離れの問題を解決するために、何も知らない学生や若者に対して何やら人工的に理系に誘導するのは、ハッキリ言って大きな勘違いだし、無責任だと思うのです。

僕の勉強不足であればいいのですが。

国家レベルで理科離れの対策をいろいろやりつつ、同時に博士のキャリア支援をやっているのって変じゃないですか?タバコを売りながら抗ガン剤を売っているJTとやっていること、似ていませんか?自分がやってしまった悪行に対する反省がないどころか、循環を作ってしまっているという意味で。

そもそも昔の日本ってそんなに理系の国だったんですか?技術の国なんですか?日本の年寄りはそんなに理科が好きなんですか?僕の周りを見る限りではとてもそう感じないんですけどね。よっぽどアメリカの方が普通のニューズ番組で科学の話をしたりするし、大人も機械好きだし、文系就職をしている人を含めて理科好きな気がします。

少なくとも今の日本は構造的に、システマティックに文系が好まれるようになっていると思います。それは大部分の企業の経営陣に理科を理解している人が少ないこともそうですし、なぜかネット系ベンチャーがやたらと営業ばっかりだったりするという話を聞いてもそう思います。朝のニュース番組で占いなんかやっているのを見てもそう思います。

「日本は資源がないから理系で物作りをするしかない」という昔のプロパガンダはゼロから考え直して、もうちょっと日本の社会の本当の姿を冷静に見て、そして子供たちに変な誘導を仕掛けるのは止めてもらいたいです。本来、子供たちは身の回りのリアルな社会を理解しながら自分の将来を考えれば良いのです。宇宙飛行士の話とか、税金をたくさんかけて社会の現実とは違うものを一生懸命見せても、子供たちは判断を誤りやすくなるだけだと思うのです。それともどこかで金融を子供たちに教えて、バランスを取ろうと考えている人たちはいますか?

Safari 5のClickToFlash拡張を使ってAdobe Flashを無くす

Daring FireballでJohn Gruber氏が“Going Flash-Free on Mac OS X, and How to Cheat When You Need It”という記事を書いて、Adobe Flashを使わないで済む方法を解説していたので、僕もやってみました。

WebKit Nightlyを主に使っていることもあると思うのですが、Safariが落ちることが割と多いし、また初代MacBook Proのファンが動くことがちょっと多い気がしていたので、Flashを使わないで済む方法はないかなと以前から思っていました。

しかし頻繁に使うGoogle Analyticsのグラフは主にFlashなので、これをどうするかがいつも悩みのタネ。それで今までFlashを使い続けていました。

使ってみたのはMarc Hoyois氏のClickToFlash Safari extensionClickToFlashのプラグインもあります(というかこっちの方がオリジナル)。

ClickToFlashのプラグインのサイトで紹介されている機能は;

  • 悪しきAdobe Flashをブロックする
  • 必要ならクリック一つでFlashをロードできる
  • YouTubeの画質がQuickTimeになるので、画質が高くなる
  • ホワイトリストにより、特定のウェブサイトではFlashを許可できる

となっています。

使い始めたばかりなので詳細は分かりませんが、Extension版もこの機能は含まれています。

この機能拡張を入れたときのAsahi.com。左右のFlash広告がしっかりブロックできています。
asahi com.png

YouTubeはこんな感じ。動画の画質比べに慣れていないので、何とも言えませんが、まぁいいんじゃないかなという思いです。

H.264バージョン(Flashを使わないとき)
youtube.png

Flashバージョン
youtube flash.png

Google Analyticsもホワイトリストを使うことによって、ちゃんとFlashのグラフが描かれています。
blog analytics.png

あとはしばらく使って、WebKitのクラッシュが減ったりファンの回転が減ったりするかどうかです。でもAsahi.comの広告がブロックされただけで得した気分がしています。

Puff the Magic Dragonでぼろぼろ泣いてしまった…

アップデート
このブログの中でも紹介していますが、YouTubeのこのビデオのコメントを見ていると、僕と同じようにぼろぼろ泣いてしまう同世代の人が多いみたいです。なんだかとてもうれしいです。
あと、少しだけだけど日本語でも歌ってくれていますね

Puff the Magic Dragonというすごく有名なフォークソング。僕が子供の頃にロンドンに住んでいたとき、よく聞きました。とても優しくてきれいで、大きくなってからも何かつらいことがあったときに、よく口ずさんでいました。

そして今、3歳の娘に英語のDVDなどを見せているのですが、ちょうどPuff the Magic Dragonの歌がありました。「お父さんはこの歌がとても好きなんだよ」って言ったら娘もとても気に入ってくれました。そしてときどき「あの恐竜の歌を歌って」って言いよってくるので、1歳の娘も一緒に膝にのせて歌っています。

これだけでも涙が出るほどうれしいんだけど…

そして今日は電車に乗っている時間を使って、歌詞を暗記してみました。リフレインのところしか覚えていなかったので。そうしたらなんだか訳が分からないのですが、涙が込み上げてきちゃって….

昔ロンドンで苦労した頃の記憶なのか、それとも単純に曲も歌詞も美しすぎるのか….

歌詞は英語が例えばここにあります。日本でどのように紹介されているのか、僕はよく知りませんが、例えば和訳したものがここにありました。

家に帰ってYou Tubeで聞いたら、男性(Peter Yarrow)の歌声が僕が記憶していたよりもさらに美しくて、とにかく純粋で、またまた感動。

そしてYou Tubeの別のバージョンに書き込まれていたgordonAfranksのコメント、

Am I the only stupid father that has tears in his eyes when he hears this song .

“FATHERS live for ever but no so little boys”

All too soon they grow up, leave home and the fun and games you played with had are gone for ever. They move on but you are left behind thinking of the wonderful few years you had together. And with daughters.

For those fathers out there with small children – treasure your times with them. Puff was a parent!

Puffは小さい子を持った親だったんだって….

もうぼろぼろ泣いてしまいました。

Galaxy TabのUS価格(Verizon)

アップデート 10/22
Verizonが発表した価格について、インターネット上でいろいろな議論が起こってきました。
Googleで”galaxy tab price”と検索すると出てくるのが以下のページです。

  1. Verizon tries to justify crazy $600 Galaxy Tab price
  2. Verizon Backs Up $600 Galaxy Tab Price, But Is It A Lost Cause?
    (A smaller, less well-known iPad for the same price as an iPad?)
  3. Galaxy Tab price too high

ドコモがGalaxy Tab単独では売らずに、2年契約とひも付け手しか売らない理由がよくわかりますね。

Steve Jobs氏も先日語っていて、私もこのブログで何回も話してきましたが、

… our potential competitors are having a tough time coming close to iPad’s pricing, even with their far smaller, far less expensive screens.

これががそろそろみんなにも理解してもらえそうです。

Samsung Galaxy TabのUSでの正式価格が出ました。Verizonから発売されるもので、Verizonとの契約を必要としないバージョンです(つまりキャリアからの補填がない)。

この状態でSamsung Galaxy Tabは$600になるそうです。

iPadのWi-Fi + 3G, 16GBが$629なので、ギリギリこれを下回ることができました。UK海外からの輸入の情報を見る限り、かなりがんばったと言っていいのではないかと思います。

画面の面積が半分な上、Wi-Fiのみのバージョンはやはりありません。がんばったとはいえ、この程度の価格差でそもそもiPadと勝負になるかどうかはなんとも言えないですね。

Samsung Galaxy Tab 海外版の価格

Expansysのウェブサイトに、Samsung Galaxy Tabの価格が載っていました。

ドコモから発売されるものは4万円強になると言われていますので、Expansysの¥73,990よりずいぶんと安いと感じられます。しかしドコモのスマートフォンプラン2年間の縛り付きで、SIMロックもあると予想されます。Expansysの製品は香港からの輸入品ですので、SIMロック無し。その分だけ価格が高くなっているのでしょう。

galaxy tab expansys.png

同じようなスペックのiPad 3G 16GBを見ますと、Expansysのからは¥57,888で、Samsung Galaxy Tabより大幅に安くなっています。ipad expansys.png

iPad 3G 16GBはソフトバンクから実質負担金¥22,320で提供されていて、それに対してドコモからGalaxy Tabが4万円強で提供される訳ですが、この価格差はSIMロックフリーのものの価格がそのまま反映されている感じがします(SIMロックの有り無しで、互いに¥35,000ほど安くなっている)。