タブレット市場ってどうなっているんだろうについて

IDCが10-12月の世界タブレット市場調査を発表していて、前年同期比75.3%の5250万台がメーカーから出荷されたというデータを出しています。ここまでは納得なのですが、意外なデータがたくさんありますので、これについて解説しながら、タブレットの市場の真の姿について考察してみたいと思います。

データは下のグラフの通りです。

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私が見ているポイントは以下の通り;

  1. SamsungがAppleについでシェアを獲得しています。なおかつ堅調にシェアを拡大しているのはSamsungだけです。しかしSamsungはこれといった話題になるようなタブレット製品を発表しておらず、どちらかというと注目されていません。Samsungが発表した話題商品はGalaxy Noteですが、これがタブレット出荷台数に入っている様子はありません。
  2. Amazonは出荷台数を伸ばしているように見えますが、実は2011Q4の時よりもシェアを落としています。2011Q4で大量に出荷した後、2012Q1, Q2で大幅に出荷台数を落としたためです。AmazonのKindle Fireについては、クリスマス商戦で非常に好調だったものの、それ以後は大幅に売り上げが落ちたことが言われています。通年で見るとiPadよりも成長率が低く、競争力を失っているように見えます。
  3. ASUSはNexus 7の数字が含まれています。価格が安い割には性能が良いと言われ、非常に評判だったNexus 7です。2012Q3にASUSの出荷台数が大幅に伸びているのはNexus 7効果だと思われますが、2012Q4には出荷台数を落としています。Nexus 7は販売が好調だったため、11月末まで米国で在庫切れとなっていたそうです。したがって2012Q4の出荷台数の低下はGoogleの需要予測ミスの可能性があります。Nexus 7の人気そのものが陰ったわけではないと考えられます。
  4. OthersもSamsungと同様に堅調にシェアを拡大しており、全体としてのシェアは20%と非常に高いです。

それぞれについて自分なりに考察してます;

  1. Samsungのタブレット販売数は以前から謎です。Samsungはタブレットの販売台数を発表していませんが、Appleとの裁判の中で米国での販売台数が公開されたことがあります。それによると、IDCの推測では2012Q2で2,391,000台が世界で出荷されたところ、米国では37,000台しか売られていなかったことがあります。もしIDCの推測が正しいのならば、ほとんどのSamsungタブレットは米国以外で売られたことになります。一方でタブレットの使用率は米国が圧倒的に高いというデータもあり、矛盾します。
  2. 2011年のクリスマス商戦語、Kindle Fireが急速に販売を落としたことについて、性能が悪かったことなどが言われています。それが真実だとすれば、性能が改善されたKindle Fire HDは2013年以降、大きく売り上げを落とさない可能性があります。経緯を見る必要があります。
  3. Nexus 7はKindle Fireと価格帯および製品のサイズが似ており、Kindle Fire同様の売り上げパターン(つまりクリスマス後に大幅に落ち込む)可能性が否定できません。これも経緯を見る必要があります。
  4. 中国では格安のタブレットが非常に好調に売れていると言われており、Othersの大部分はこれらだと私は想像しています。

まとめ

メディアで話題になっているKindle FireやNexus 7が思ったほどに売れていません。一方でSamsungとOthersが伸ばしています。いずれも西洋のメディアでは話題になっておらず、どうして売れているのかよくわかりません。IDCの推測がどれだけ当たっているかも含めて、タブレット市場の真の姿は見えていないのが現実ではないでしょうか。

現状ではタブレットの販売台数を発表しているのはAppleだけです。Appleの販売台数は劇的ではありませんが、出荷の伸び率が48%と高い状態を維持しています。他のメーカーはアナリストを煙に巻いていて、出荷台数も販売台数も都合の良いときにちらちら見せているだけです。この状態では何が起こっているかがわからないのも仕方ありません。

ChromebookがNetbookと同じ道をたどるのは割と明白

AcerのChromebookのUSでの販売が好調だという記事が出てきました。

さて、関心事は果たしてMicrosoft Windowsが廃れて、代わりにGoogleのChrome OSが主流になるかどうかということです。

これに関しては数年前にNetbookの例がありますので、答えは割と簡単に出ます。

「仮にChromebookが成功しても、Netbook程度で終わる」というのはかなりの確度で言えます。

Microsoftが反撃するというのが予想されるシナリオ

今はChromebookが売れ始めたばかりなのでMicrosoftは静観しています。しかしもしも売れ続ければMicrosoftは反撃に出ます。おそらくはNetbookの時に低価格のOSを提供していたのと同じ戦略で、低価格PC用のOSを提供し始めるでしょう。

Netbookの時は、Linux搭載Netbookのシェアが増えるのを阻止するため、Netbook限定でWindows XPを提供したり、Windows 7 Starterを提供したりしました。Chromebookに対してもMicrosoftは同じ戦略をとるはずです。今話題になっているAcer C7 ChromebookはIntel Celeronが搭載されていて、RAMも2G載せています。ハードディスクも320Gあります。十分にWindows 7を動かすことができますし、Windows 8だって動きます。Windowsを搭載する上での技術的な障害はありません。ですから反撃は技術的に可能です。

残るのは価格戦略の問題です。Microsoftが反撃する上での価格戦略上の障害があるのかどうか。AcerはC7 Chromebookを$199-$229で販売するそうですが、品質的には決して十分なものではないようです。Amazon.comで見ると、例えばAcer Aspire Oneとほぼ同等の性能でこっちは定価が$330、Amazonでは$280で販売しています。価格差は大きくありません。Microsoftがより積極的な販売戦略をたて、なおかつSkyDriveの無料使用分を付ければ十分にChromebookと価格で競争できます。しかもWindows 8を搭載したまま。

したがって今回は、もしMicrosoftが反撃を開始するとすれば、Acerなどの低スペックモデルに割安でWindows 8を供給し、そしてSkyDriveの無料使用分を追加する形で反撃することが十分に予想されます。Google Docsの対抗製品であるWindows 365の無料使用分を付ける可能性もあります。

もしMicrosoftが反撃してきて、Chromebookが厳しいという状況になってくれば、Googleは最近お得意の赤字戦略に打って出るはずです。Nexus 7タブレットやNexus 4スマートフォンで見せている戦略です。特定のメーカーと組んで、赤字をかぶる価格でより積極的な低価格品を出してくるはずです。Netbookの頃との一番の違いはここです。Netbookの時は赤字をかぶる会社は通信会社でした。E-Mobileなどと契約すれば本体価格を無料にしてくれるものがありました。Googleが赤字をかぶる覚悟でいるというのはNetbookの時にはなかったものですが、この業界は常に赤字をかぶるつもりでいる会社はいますので、最終的にはNetbook時代とあまり変わらなくなる可能性があります。

結論としては、Microsoftが反撃することは十分に可能であり、Chromebookが売れ始めれば早めに反撃を開始すると予想されます。Googleは平気で赤字をかぶる会社ですが、MicrosoftもWindowsの市場を奪われるわけには行かないので積極的に最後まで戦うはずです。最終的にはChromebookを製造販売するメーカーが息切れをするだろうと予想されます。

どうしてiPadに対してMicrosoftは反撃しなかったか

iPadはかなりWindowsを脅かしていますが、Microsoftは十分な反撃ができていません。なぜならばハードウェアが全然違うし、操作性も全然違うからです。Microsoftはおそらく十分に脅威を認識していたと思います。しかし正面から反撃する手立てがなかったのです。技術的に反撃できませんでした。iPadの類似品が作れませんでした。またGoogleみたいにiPadをそっくり真似ることをしないのは、Windowsとの関係を考えなければならないからです。この面からも類似品を作るのは困難でした。

それに対してChromebookは技術的には容易に反撃できます。WindowsやOfficeなどの戦略との関係を考えても、反撃するのは整合性があります。問題は価格戦略だけですが、これは危機感の問題です。危機感を持っていれば利益を圧迫してでも反撃に出ます。

Microsoftの牙城はどうすると崩せるのか

Microsoftの牙城を崩す試みは今まで何回となく起こっています。古くはシンクライアントがありました。Netbookも当初はLinuxを搭載する動きがあるなど、Windowsに対抗する面がありました。

でもWindowsは少しも揺るぎませんでした。なぜか。

実は1984年に若かりしBill Gates自身が語っています。

To create a new standard, it takes something that is not just a little bit different. It takes something that is really new, and really captures people’s imagination.

Chrome OSはそのレベルには遠く及びませんが、iPadは届いていたということです。

MS-OfficeがLotus 1-2-3に勝ったのはなぜか?

昔はオフィスソフトウェアといえば、Lotus 1-2-3やWordPerfectが圧倒的なスタンダードでした。MicrosoftはMS-Officeでそれをひっくり返しました。したがって市場をひっくり返すことは決して不可能ではありません。

しかしそのためにはパラダイムシフトが伴う必要があります。MS-Officeがスタンダードを奪った時のパラダイムシフトはWindows 95です。GUIが一気に普及しました。それまでのDOSとは全く違う、画期的に違うUIが生まれ、そしてMacintoshでGUI開発の経験を積んでいたMicrosoftは一気にPCの世界でもオフィスソフトウェアのトップメーカーになりました。

Bill Gatesが自ら語ったように、10年後の画期的なGUIの変化にともなってMS-Officeが一躍スタンダードになったのです。

このようなパラダイムシフトは今、PCの世界では起こっていません。Chrome OSがそれを起こす力もありません。

Galaxy Noteなど Phabletの真の価値

2012年に予想外に売れたモバイルデバイスといえばPhabletです。Phabletは5インチから6インチ程度のディスプレイを持ち、なおかつスマートフォンのようの電話ができるものです。2012年にSamsungがGalaxy Noteシリーズでこのカテゴリーを開拓しました。

大きすぎて電話として使えないという意見がある一方、絶賛する意見も多く、両極端に割れている製品です。毎月100万台売れているという推測もあり、ヒット製品なのは間違いありません。

Phabletが本当に新しいカテゴリーなのか、今後本当にヒットを続けるのかは不明です。私が一番気になるのは、売れている理由がイマイチはっきりしないことです。

Phabletの売りは画面サイズではない?

例えば価格.comのレビューを見る限り、一番のメリットは電池の持ちの良さという意見が多いです。次いでスピードが多く、画面のサイズはさほど多くない印象です。

画面の大きさは実質的な差になっていない

実際、画面が大きいとは言え、タブレットのようにPC向けのウェブサイトをストレスなく見られるほどには画面は大きくありません。頻繁にズームする必要があるのはスマートフォンと変わりません。またアプリはタブレット用のものではなく、スマートフォン用のものを使います。同じレイアウトの画面が引き伸ばされて表示されます。大画面のメリットはそれほど大きくないのではないかとも言えます。

以下はiPhone 5 (4インチ), Galaxy Nexus (4.65インチ), Galaxy Note 2 (5.5インチ)で同じウェブサイトを見たスクリーンショットです(寸法を合わせています)。Galaxy Note 2では確かに文字が大きく見えますが、小さい文字が読めないのは同じで、結局ズームする必要があります。

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アプリの方がさらに差がありません。Galaxy Note 2はGalaxy Nexusの画面をそのまま拡大しただけです。フォントは大きくなっているので老眼の人には優しいのですが、表示されるメール件数もほとんど差はありません。iPhone 5と比べても差が無いと言えます。

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電池の持ちは良い

LTE対応スマートフォンの電池の持ちの悪さはかなり厳しく言われており、Galaxy Note 2などのPhabletの電池の持ちが大きなセールスポイントになるのはうなずけます。

例えば電池の持ちが非常に悪いということで評判の悪かった富士通のArrows X LTEは電池容量が1460mAhです。画面サイズは4.3インチ。それに対して、画面サイズが4.5インチのGalaxy S II LTEが1850mAh。画面サイズが4.8インチのGalaxy S IIIは2100mAh、5.3インチのGalaxy Noteで2500mAhとなっています。

また連続待ち受け時間についてはこの記事にまとめがありますが、待ち受け時間はGalaxy SII LTEが250時間、Galaxy SIIIで270時間、Galaxy Noteで310時間と改善されています。

価格.comのレビューを見る限り、この電池容量の違いは大きな違いとなっているようです。

UIのスピード

UIのスピードが遅いのは長らくAndroid機の大きな悩みでした。最新のAndroid機はこれはOSのバージョンアップとCPUのマルチコア化でこれを解消してきています。Galaxy Note IIは4つのCPUコアを持ち、またGalaxy SIIIの最新モデルも4つのコアを持っています。UIは大きな改善をしています。

上記より、phabletカテゴリーは画面サイズで規定されていますが、訴求点は画面サイズではない可能性が高いと私は考えています。

これはネットブックと同じ状況

ネットブックの時も、売れている原因とネットブックの定義が合いませんでした。

ネットブックの定義はAtomなどの低パワーCPUを心臓とし、画面サイズが10インチ以下のラップトップでした。これは人工的に押し付けられた制限であり、このスペックに収めない限り、Windowsを低価格で搭載することができませんでした。またインテルも制限を課していて、画面サイズが10.2インチ以下でないとそもそも低価格のAtom CPUが搭載できませんでした。

ネットブックの定義は画面の小ささとCPUスペックの低さでしたが、訴求点はこれではなく価格の安さでした。ネットブックの定義は低価格を実現するための手段に過ぎず、あべこべな状態でした。

参考:ネットブックとラップトップの比較 2009

Phabletも訴求点と定義があべこべ

Android携帯がiPhoneに追いつくためにまず必要だったのは、UIの滑らかさでした。AndroidはCPUパワーの使用効率が悪いため、iPhoneと同じ滑らかさを実現するためには強力なCPUが必要でした。しかしそのためには消費電力が犠牲になりました。それを補うために電池容量を拡大し、それを納めるために電話全体のサイズを大きくしました。

またLTEが登場しAndroid機はいち早くこれを採用しましたが、LTEは3Gよりも消費電力が大きくなります。消費電力増大を補うために各メーカーは電池を巨大化する必要があり、スマートフォンのさらなる巨大化でそれを補いました。

なおiPhoneの場合は、消費電力増大および電池容量増大を嫌って、LTEの消費電力がより少なくなる部品が供給されるようになるまでは採用せず、一年間見送りました。

このようにAndroidスマートフォンの巨大化は電池容量の問題と密接に関係しており、Phabletもその延長線上にあると考えることができます。そうなるとPhabletの真の訴求点と、Phabletカテゴリーの定義があべこべになっていると言えます。

カテゴリーの定義と訴求点がひっくり返っていることの危うさ

カテゴリーの定義と訴求点があべこべですと、ちょっとした技術革新でカテゴリーが消滅する可能性があります。例えばAndroidスマートフォンの電池の持ちを改善する技術が生まれると、Phabletカテゴリーが急速に魅力を失う可能性があります。これがあべこべな状態の危うさです。

ネットブックの場合、画面の小ささは一つの魅力でしたが、最大の魅力は低価格でした。しかし今販売されているノートパソコンを見ると、今ではネットブックと価格差がありません。Atomと1GB RAM, Windows 7 Starterのネットブックを買わなくても、5,000円追加するだけでWindows 8を搭載したAMD CPUのラップトップが買えますし、2万円を追加すればCore i3, i5と4GB RAM, Windows 8を搭載した機種が変えます。人工的な制限があるネットブックには全く魅力がなくなっています。

Phabletも同様です。画面サイズの大きさは、本当にあるニーズを満たすものではなく、電池容量を稼ぐために「人工的」に追加された機能と考えることができます。

本当の必要なのは電池容量です。

小さくても十分な電池容量の機種は近いうちに登場するか

Androidは常にiPhoneを追いかけています。そしてUIの滑らかさなど、最新の機種では追いつきつつあります。しかしCPUパワーの使用効率は明確に悪く、Galaxy SIII αの場合は4コアCPUを1.4GHzで動かしています。それに対してiPhone 5は2コアCPUを1GHzで動かしています(参考資料:ただしCPUのクロック数は可変のため一概に比較が難しい)。電池容量はGalaxy SIIIが2,100mAhに対してiPhone 5が1,440 mAhですが、電池の持ちのテストでは拮抗しています。

このように、AndroidでiPhoneと同様のUIの滑らかさを実現するためには、まだまだ大きな電池が必要なようです。

しかししばらくすれば、十分なCPUパワーを低消費電力で引き出せる製品はでてきます(ムーアの法則により)。したがってより多くのCPUパワーを必要とするような技術革新が起きない限り、低消費電力化は自然と進みます。ただ電池容量の問題はまだまだ大きいので、それを補うだけの電力消費改善はしばらく時間がかかるかも知れません。

裏技

本当に必要なのが大画面化でなく、電池の持ちであるならば、別の裏技が生まれる可能性があります。HTC miniはその一つの可能性を提示しているように思います。

電池を持たせることが主で、大画面が従であるならば、本体を大きくしつつ、手元の子機を小さくする発想が生まれます。無駄に大画面の電源を入れる必要も無く、電池の持ちはより一層長くなります。

今後、もっと割り切ったような製品も登場してくるかも知れません。

それもある意味、楽しみです。

2013年はAndroidタブレットの赤字合戦

ドコモがAmazonに対抗して9975円のタブレットを販売するという話で、もう訳がわからなくなってきました。

AmazonやGoogleが赤字で売るようになった訳ですから、Androidタブレットの値下げ合戦は歯止めが無くなっています。もともとAmazonやGoogleはコンテンツ販売で設けるという戦略を立てていたようですが、コンテンツ販売に社運をかける会社が増えれば、当然これにも値下げ合戦が飛び火します。

コンテンツ販売についてはAmazonに一日の長があるような印象を受けますが、それは送料無料や当日発送などで差別化が可能な物理的な商品の場合であって、電子的な取引では特にAmazonに利があるわけではありません。Amazonも価格で下をくぐられてしまえば、対抗せざるを得ません。

ということで2013年はAndroidタブレットの値下げ合戦を越えて、コンテンツの値下げ合戦が始まりそうです。それもGoogleと同じようにコンテンツ販売が本来の商売では無いものの、仕方なくこれに参入してくる、体力のある企業が多くなりそうです。

ポストPCってどんなイノベーション?

「イノベーション」という言葉はかなり意味が広くて、乱用されています。「イノベーション」という言葉は非常にイメージが良いので、ビジネスのロンダリングにも使われます。つまり本当は道徳的に問題のあるビジネスであっても、「イノベーション」という言葉を使えば良く聞こえます。ですから一年前にブログの中でGoogle、Amazon、Appleの「イノベーション」を簡単に区別し、分類しました

一年経ってまた読み直してみると、方向性は同じももの、違いがより極端になったと感じます。

Googleのイノベーション

前回のブログでは、現在のGoogleのイノベーションはかなりつまらなくなっていて、他の企業が成功させたビジネスを真似て、無償で配ることだと紹介しました。GMail, Google Apps, Androidを例に出しました。

2012年で変わったのは、「無償」では足りなくなってしまったことです。2011年の間に、「無償」だけではiPhone, iPadに対抗できないことがわかってきました。そこで2012年の後半からは「赤字で売る」ということをGoogleは始めました。Nexus 7を赤字で売って、何とかタブレット市場にAndroidを浸透させようとしています。

その一方でAndroidで直接利益が出せているのはSamsungだけという不思議な関係が生まれています。(GoogleもMotorola買収によるハードを作るようになりましたが、赤字)

Amazonのイノベーション

AmazonのイノベーションもGoogleと同じように「赤字で売る」ことにかなり注力するようになってきました。もともと超薄利多売で、会社規模の割にはほとんど利益が出ない会社ですが、それがどんどん顕著になってきています。

2012年はGoogleもAmazonも「赤字で売る」ことに懸命になっていた一年でした。

Appleのイノベーション

Appleのイノベーションは、今まで存在しなかったものを作り上げ、分かりやすく一般消費者に浸透させることです。もちろん毎年iPhone, iPadのような画期的な製品は作れませんが、驚異的に薄いiMacを発表したりするなど、今までのやり方を継承しているように見えます。また競合が「赤字」に懸命になっていても、引き続き良い製品を作ることに集中しているように思います。

本当にイノベーション?

赤字で売るというビジネスモデルは昔からあり、悪用されてきた歴史も有り、不正競争防止法などで規制の対象になっています。ハイテク分野だからGoogleやAmazonのやっていることはイノベーションと呼ばれることがありますが、かなり微妙だ思います。競合の排除をしているだけで、全体にプラスにならない可能性があります。

ポストPCについて思うこと

これだけスマートフォンやタブレットが話題になってくると、ポストPCという話題が当然出てきます。でもポストPCという言葉の定義ははっきりしていないし、「イノベーション」と同様に乱用されている言葉です。

同じような枠組みでポストPCを少し考えたいと思います。

既存の製品を代替するだけのポストPC

大半の評論家のイマジネーションはここでまでしかありません。ポストPC時代というのを、タブレットがラップトップPCに変わるものととらえています。あるいはもっとイマジネーションに乏しい人は、タブレットでメールをやったり、Facebookやったり、映画を見たりすることをポストPC時代と考えています。

でもこんなのメチャクチャつまらなくて価値のない考えです。既存のものに入れ替わるだけでは全然面白くありません。こういう評論家が考えていることは、スマートフォンもしくはラップトップで既に実現していることばかりです。ポストPC時代になれば、安価にそれを楽しむことができたり、あるいは歩きながらできたりするということだけが新しい価値です。

でもたぶんこういうことを考えているのは評論家だけではなく、Apple以外のどの会社もそうだろうと思います。どんな業界でもそうですが、独創性豊かなトップ企業と二番煎じ企業の間にはそれぐらい大きなギャップがあります。バイオの業界で言えば、ABIとRoche, Promega, Bio-Rad, Takaraらなどのギャップと同じような感じです。トップ企業がヒトゲノムをどう読むかを考えているときに、二番手以下はどうやったら価格でくぐれるかを考えています。

コンピュータの世界に戻ると、2013年はAppleが真剣にポストPCを模索し、GoogleとAmazonは「赤字販売」をどうやって継続するかを工夫していくのだろうなと思ったりしています。たぶんAppleが出していく考えは多くの人が考えているポストPCとは全く違うのだろうなと思います。

Androidバリューチェーンの力の関係: DoCoMoがSamsungと組んでTizen搭載スマートフォンを販売する話を聞いて

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読売新聞がDoCoMo、Samsungと組んでTizen搭載スマートフォンの2013年リリースを目指すと報じているそうです(TechCrunch)。

いろんな意味でこれはAndroidのバリューチェーンの中で、Samsungが如何に重要な位置を占めているかを表しています。

Androidエコシステムの中で一番力があるのはSamsung

Asymcoブログで、Google vs. Samsungの利益が紹介されています。Androidエコシステムの中でSamsungの一人勝ち状態であること、そしてSamsungの利益がGoogleを既に超え、その差が加速しつつあることが示されています。

Androidを開発したのがGoogleであり、オープンソースではありつつもいろいろな形でメーカーにGoogleが制限を課していることから、Androidエコシステムの中で一番力があるのは上流のGoogleではないかと考えがちです。しかし金銭的な利益で見る限り、Androidバリューチェーンの中でのSamsungの付加価値はGoogleを圧倒していると言えます。

これは一見すると矛盾しています。Samsungの携帯が売れているのはAndroid OSが構想ので普及したこと + Samsungのハードウェア技術に起因していると考えると矛盾です。Samsungの成功の主要な要因がAndroid OSであると考える限り、例えばSamsungだけが圧倒的に一人勝ちしている状況は説明できないのです。

この矛盾に対する答えはやはりAsymcoブログの中にあり、The cost of selling Galaxiesの中でHorace DediuはSamsungのマーケティング及び販促費が桁違い多いことを紹介しています。つまりSamsungが一人勝ちしている最大の要因は力任せのセールス&マーケティングであると考えられるのです。そうなると以下の論理が成立します。

Androidが売れているのはSamsungの携帯が売れているから

これはSamsungが一人勝ちしていることから言えます。

Samsungの携帯が売れているのはSamsungのセールス&マーケティングが強力だから

これはSamsungの経費から推測できます。

そして上記の2題が成立するならば

Androidが売れているのはSamsungのセールス&マーケティングが強力だから

が成り立つのです。

別の言い方をすれば、AndroidのマーケットシェアがiOSに迫り、追い越した理由はGoogleのおかげではなく、Samsungのセールス&マーケティングが強力だからということになります。

GoogleよりもSamsungの力が強いとTizenの開発にどう影響するか

AndroidがAppleの特許を侵害したため、Samsungは巨額の賠償金、そして販売停止の可能性に直面しています。GoogleがJavaの知的所有権を侵害したのではないかという訴訟も続いています。Androidがあれだけ早く開発できたのはもちろん優秀な技術者のおかげもありますが、それに加えてAppleやSunの知的所有権をかなり盗んだことも効いています。

今度はSamsungがAndroidを真似る番です。iOSよりもAndroidを真似るでしょう。なぜならばオープンソースであることに加え、GoogleにとってはSamsungは無くてはならないパートナーであり、Googleに弱みがあるからです。加えてGoogleのスマートフォン関連の知的所有権が弱いということもあります。

AndroidがiOSに迫るまでには4年かかりました。TizenがAndroidに技術面で追いつくのは多くて2年と見積もって良い気がします。

DoCoMoとSamsungの力関係

読売新聞の記事では

グーグルのOS「アンドロイド」のスマートフォンや、アップルのiPhone(アイフォーン)=OSは「iOS」=は、それぞれの仕様に合わせた応用ソフト(アプリ)が使いやすくなっている半面、ドコモの通信販売事業のように携帯電話会社が独自サービスを提供したり、独自に安全性を高めたりするのが難しい。  これに対し、タイゼンは基本技術が公開されていることに加え、携帯電話会社による独自サービスの提供を前提に開発が進められているのが特徴だ。

と解説されています。

つまりDoCoMoの強みとされている「独自サービス」を活かすためにTizen OSに投資するのだという説明です。

しかしこの代償として、DoCoMoはSamsungに大きな力を与えることになります。巨大とは言え、数ある中の一つの供給元に過ぎなかったSamsungだったのが、Tizenを通して「独自サービス」を供給できる唯一の供給元になる可能性があるからです。

DoCoMoが意識しているか意識していないかははっきりわかりませんが、展開次第では力関係は大きくSamsungに傾いてしまう可能性があります(既にかなり傾いているのに加え)。かなり危険な賭です。

そしてTizenは売れるのか?

スマートフォン市場で将来を予想するのは難しいのですが、2013年以降大きな傾向は一つ出てきます。つまり、今までのスマートフォン市場は主にearly majorityを対象にしていたのに対して、これからはlate majorityを相手にしなければならない点です。テクノロジーに詳しい顧客ではなく、これからはテクノロジーのことがよくわからない顧客がますます増えるのです。こういう顧客は事前に調査することがあまりできないので、店頭で販売員に聞きながら機種を選定することが多くなります。そしてSamsungの強みである巨額の販売促進費用が凄く効くのです。

SamsungもiPhoneを追いかけなければならないので、最初からハイエンドをTizenで攻めることはないでしょうが、テクノロジーに詳しくない顧客を起点に徐々にTizenを普及させていくのが王道だろうと思います。

思いの外に成功するのではないかと私は予想しています。

これから成功するタブレット

昨日のブログ“Androidタブレットの現状についての考察”でAndroidの7インチタブレットはマーケットシェアこそ高いと推測されているものの、実際にはあまり使われていないことを紹介しました。どうやら購入直後だけ使われて、数ヶ月でほこりをかぶるようです。

推測になりますが、タブレットの主要用途であるウェブを見ること、メールをすることにおいて、7インチタブレットは使い勝手が悪く、その結果として使われなくなるようです。

それではちゃんと売れて、そして使われるタブレットの条件はなんでしょうか。そのようなタブレットの代表がiPadですので、iPadのマーケティングコンセプトに立ち返りながら考えてみます。

新しいカテゴリーは両挟みのカテゴリーを超えなければならない

AppleがiPadをアナウンスしたとき、Steve JobsおよびApple経営陣が強調したのは、スマートフォンよりも、そしてラップトップよりも優れたものを作らなければならないということでしました。ウェブを見るのにラップトップよりも優れたデバイス。同様にメールや写真、ビデオを見るにも、そして音楽を聞くにも、ゲームをやるにしても、eBookを読みにしても、このすべてのタスクにおいてスマートフォンよりもそしてラップトップよりも優れたものを作らなければ、新しいカテゴリーは生み出せないというのがSteve Jobsの論点でした。そしてiPadはこの非常に高い基準を満たしているという主張でした(以下のビデオの7:00前後)。

普通に考えるとタブレットはスマートフォンとラップトップの中間に位置するカテゴリーです。少なくとも物理的サイズはそうです。したがってスマートフォンの特徴である持ち運びのしやすさと、ラップトップの特徴である画面の大きさや高い処理能力を併せ持つもの、しかしそれぞれを個別に取り出したときにはスマートフォンにもラップトップにも劣るものを作りがちです。持ち運びのしやすさはスマートフォンとタブレットの中間、そして画面の大きさも中間、処理能力も中間のものを作りがちです。物理的にそうせざるを得ないのです。しかしSteve Jobsが言うのは、これでは新しいカテゴリーとして成功しないということです。

Steve Jobsは、仮に物理的な処理能力が劣ったとしても、タブレットはラップトップよりもウェブを見るのが便利にならなければならないし、メールをやるのが便利にならなければならないと考えていました。そしてそれを実現しました。実際にiPadでウェブを見るとすごく快適です。ウェブページを表示する速さにしても一見するとラップトップに引けをとりません。Flashなど余計なものを外したおかげで、そして様々な最適化をすることで、非力なCPUでも高速にウェブページを表示できるようになっています。

またiPadの画面サイズはどうしてもラップトップにはかないません。しかしダブルタップするとウェブページの特定の部分を簡単にズームできるなどのソフトウェアの工夫をすることによって、画面サイズのハンディを乗り越える対策が随所にあります。

このようにiPadが成功したのは、中間的なカテゴリーだったからではありません。スマートフォンとラップトップの両市場の真ん中に大きな穴が開いていて、そこを埋めたからではありません。そんな穴はなかったんです。iPadが成功したのは、一般の人がラップトップを使う大部分の用途においてラップトップを超えたからです。

メディアタブレットの市場は存在しない

7インチタブレットはメディアタブレットであると考える人たちがいます。Amazonなどで販売しているビデオやeBookを読むのに適したものであれば、スマートフォンとラップトップを所有している人であってもメディアタブレットを購入するだろうという考え方です。

確かに一部のマニアはそうするでしょう。でも一般の人はメディア消費専用のタブレットは望んでいません。タブレットはウェブを見たり、メールをやるためのデバイスです。タブレットで映画を見る人はわずかしかいません。

繰り返しになりますが、スマートフォンとラップトップ市場の間に未開拓の新しいカテゴリーは存在しません。メディアタブレットは幻想です。

考えてみてください。スマートフォン + タブレット + ラップトップを持ち歩く人は、普通の人の視線から見れば変態です。

タブレットが成功するにはラップトップの代替になるしかない

タブレットがスマートフォンになることは物理的に不可能です。タブレットはポケットに入りませんから。耳に当てるのは馬鹿馬鹿しいから。

そして新大陸のような第三のカテゴリーは、水平線上の蜃気楼でしかありません。

したがってタブレットはラップトップの代替になるしかありません。ラップトップのパワーと大画面を持ちながら、同時に使いやすく、持ち運びしやすく、電池が持つものでなければなりません。ラップトップの機能の80%を持ちながら、ラップトップを超える便利さを持たなければなりません。それができなければ売れません。

こう考えると今後売れるタブレットの予想は簡単です。

成功するタブレットの条件

  1. ウェブを見ること、メールを読むことなどの主要タスクにおいて、ラップトップをほぼ完全に代替できること
  2. ラップトップユーザが無理なく、徐々にタブレットに移行できること
  3. 画面が小さいにもかかわらず、ズームが優秀だったり、スペースが無駄なく利用されているために、不便さがないこと
  4. CPUパワーがないにもかかわらず、写真やビデオ、ゲーム、音楽の管理などCPUパワーが必要な処理が可能であること
  5. 上記のいずれかにおいて、マーケットリーダーのiPadよりも明確に優れていること

マイクロソフトがWindows 8とSurfaceタブレットで狙っているのはこのリストの2番目です。ラップトップユーザは依然としてWindowsユーザが圧倒的に多くいます。ですからリストの2番目では、特に企業においてiPadを凌駕できる可能性が十分にあります。

Android? 提案できる新しい価値が何もないときは価格を下げるしかありません。Netbook戦略です。

iPad mini? 新しいカテゴリーではありません。あれはiPadです。13インチ MacBook Airと11インチ MacBook Airの関係です。

Steve Jobs in 2003

2003年、iPhoneを販売する前、iPadを販売する前、しかしおそらく頭の中にはiPadを描き始めていた頃、Steve Jobsはインタビューの中でタブレットのコンセプトをディスります(下のビデオの7:30以降)。

この中でiPadの製品コンセプトに関わる話がいくつか出てきます。メディアタブレットというコンセプト(ここではコンテンツを消費するためのタブレット。9:25ごろから)についても言及します。

教訓:中間的なカテゴリーは難しい

中間的なカテゴリーは製品を作るのは簡単です。両挟みのものを超えようと思わなければ。世の中はそういう製品であふれています。

マーケティング部門は、新しい製品アイデアが思いつかないと、すぐに中間的なカテゴリーを作り出します。

でも売るのは難しいのです。すごく難しいのです。両挟みのもので足りているから。

Androidタブレットの現状についての考察

かなり前からiPadのマーケットシェアに関するデータが気になっています。

iPadのマーケットシェアは68%?

2012年9月のAppleのプレゼンでiPadのタブレッド市場のマーケットシェアが68%だったというデータが紹介されていました。タブレット市場のマーケットシェアに関する情報は複数の調査会社が公開していて、おそらくそのどれかを使ったのだと思います。ただしタブレットの売り上げ台数を公開しているメーカーはAppleだけで、例えばSamsungはスマートフォンもタブレットも売り上げ台数は公開していないので、この市場調査委資料はかなり推測が含まれています。

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iPadの使用台数シェアは91%?

それに対して実際にインターネットにアクセスしたタブレットの数、つまり実際に使用されているタブレットのシェアを見ると全く様子が違います。91%がiPadであるというデータが出ています。これはおそらくはChitikaというネット広告会社が出しているデータを元にしているのだろうと思います。これも方法論的に難しいことがあるので、100%正しい数字ではなく、ある程度のバイアスがある数字だと考えることができます。

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いずれにしてもこの2つのデータの違いは相当に大きくて、いずれもそこそこ正しいと仮定するならば以下の結論しか合理的にあり得ません。

「Androidのタブレットを購入した人は、その後ほとんど使っていない」

以下、一部データを補足しながら、どうしてAndroidのタブレットは余り使われず、それに対してiPadは多く使われるのだろうかについて考察したいと思います。 Continue reading “Androidタブレットの現状についての考察”

分子生物学会の新しい抄録集システムの開発をしました

昨年の12月の分子生物学会に参加して、ITインフラをさんざんディスり、提案をしました。

  1. 学会にソーシャルをどうやったら持ち込めるか
  2. 学会の要旨集システムをゼロから考え直そう
  3. ソーシャルな要旨集システム:素案

そして今週あのときのブログ記事の思いを現実にするために半年間がんばった成果が日の目を見ました。

日本分子生物学会 第35回 年会 オンラインプログラムサイト(学会後しばらくしたら消えます)

まだβ版で、バグをとったり、修正したり、機能追加したりなどで仕事がたくさん残っているので詳しくは話しませんが、簡単に機能と技術について…

  1. 学会プログラムとしては世界で初めて、Facebook的な「いいね!」があります
  2. 学会プログラムとしては世界で初めて、著者名ごとにデータを整理しています
  3. PC版、スマホ版、ガラケー版の3つのサイトを完全に同調して作っています
  4. 学会プログラムとしては世界で初めて、コメントが書き込めます。著者自身も書き込めるので、例えば直前の変更とか、研究室ウェブページへのリンクはここにはれます
  5. まだ完全にスイッチオンしていませんが、ウェブサイトでありながら、オフラインでの閲覧を実現します
  6. 「夜ゼミ」という電子掲示板で、飲み会の参加募集ができます

結構、12月時点にブログで考えていたことが実現できました。

技術的には以下のことをやっています。

  1. 名寄せ支援システム:学会のデータは著者名ごとにIDなんて振っていないので、名寄せをしなければなりません。原則としてはマニュアルな作業ですが、それを支援するシステムを用意しています。
  2. モバイルおよびデスクトップを兼ねたJavascript framework, Kamishibai.js:スマートフォン向けのJavascript frameworkはいくつかありますが、オフラインでの閲覧をしっかりサポートしたものは皆無です。特に日本分子生物学会のように数千の演題があって、データが膨大なウェブサイトをサポートしたものはありません。1) 万以上のページがあっても平気、2) 部分的にオフラインでの閲覧が可能、3) Javascriptはあまり書かなくていい、4) メチャクチャ小さいのでレスポンスがいい、というJavascript frameworkです。ゼロから作りました。ページをスライドさせるイメージでKamishibai.jsと名付けています。

この2つの技術はいずれもバイオの買物.comを運営する上で重要でしたので、そこがうまく応用できました。

一番低く見積もっても世界一のことができました。

後は気を抜かず、完成させて、学会そのものがちゃんと成功するように注力します(あまりブログ書かないで)。

AppleがSamsungに勝訴したのを受けて思うこと

SamsungがiPhone, iPadのデザインを真似たとしてAppleがSamsungを訴えていたアメリカの裁判は、2012年8月24日に、Appleの勝訴でひとまず幕を閉じました。

その内容をカバーした記事はネットにあふれています。特に良いと思ったのはAllThingsDの特集でしたので、詳細を知りたい方は英語ですがご覧ください。

今回の裁判は一般人による陪審員裁判でしたので、特に興味深いのは判決の理由です。
陪審員の一人とのインタビューが紹介されていますので、ご覧ください。

陪審員の人が判決の中で一番重視した証拠を聞かれて、こう答えています;

The e-mails that went back and forth from Samsung execs about the Apple features that they should incorporate into their devices was pretty damning to me. And also, on the last day, [Apple] showed the pictures of the phones that Samsung made before the iPhone came out and ones that they made after the iPhone came out. Some of the Samsung executives they presented on video [testimony] from Korea — I thought they were dodging the questions. They didn’t answer one of them. They didn’t help their cause.

彼が言及しているのは以下の証拠と思われます。

  1. 「iPhoneとGalaxyを比較するとGalaxyのここがいけていない。よってiPhoneに似せるべし」というサムスンの内部資料。
  2. グーグルとのミーティングでグーグル側が「アップルとソックリすぎだからちょっと変えた方がいいんじゃないか?」と言ったというメール。

この判決に対する印象は様々ですが、私の印象は「相当に常識的な判断が下された」というものです。

この判決でAppleの力が強大になり、競合を閉め出し、結果としてイノベーションが停滞するのではないかという議論があります。特にネット関連の評論をしている記者やブロガーの多くがこの主張をしています。私は決してそうは思いませんが、彼らの言っていることは一理があることは否定はしません。

ただ陪審員が下した結論はもっと単純明快で

他の会社が何年もかけて苦労して開発した画期的な技術を、悪意を持って意図的に真似てはいけませんよ!

ということだと感じました。

良い判決だったと思います。

さて今後どうなるか。以下ではこっちの方を大胆に予想してみたいと思います。 Continue reading “AppleがSamsungに勝訴したのを受けて思うこと”