「iBooks Authorをバイオのメーカーはどう活用できるか」というブログをバイオの買物.com公式ブログにアップいたしました。
iBooks Authorはデジタル教科書の制作で注目されていますが、いろいろなマルチメディアコンテンツの制作もできます。とても使いやすく、できあがったものは非常に魅力的です。
メーカーならば製品プロトコルだと季刊誌などに活用できると思います。是非ブログを読んでみてください。
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It’s the difference between “What’s the best we can do within the constraints of the current ePub spec?” versus “What’s the best we can do given the constraints of our engineering talent?” — the difference between going as fast as the W3C standards body permits versus going as fast as Apple is capable.
2012年1月18日に行われた Apple Education Eventで iBooks Textbooksが発表されました。詳しくはAppleのウェブサイトにありますので、ご覧ください。
とにかく今の子供がうらやましいですね。こんな教科書で勉強できるのなら、楽しくて仕方が無いでしょう。難しいコンセプトもどんどん理解が進むでしょう。何よりもこれだけ勉強が楽しくなるのならば、興味の幅がすごく広い子供がたくさん育ちそうです。受験のための教科だけを勉強するのではなく、興味の赴くままにいろいろな科目を勉強する子が出てくること。これが何よりもうれしいです。
さてiBooks Textbooksに対する批判の多くは、iPad版しか無いこと、そしてiBooks Textbooks用の電子教科書を作成するにはMacを使わなければ無いことに問題視しているようです。
でもイノベーションっていうのは、どうしてもこうなっちゃいます。Apple社も別に囲い込みたいからと言うだけでなく、イノベーションを続けるためにやむなくこういう統合された環境にしているのです。
逆に言うと、iPad版に限定すること、そしてMacで著作するようにしているからこそこれだけイノベーティブなものが作れるのです。
当然ながら今回でiBooks Textbooksは始まったばかりで、今後新しい機能はどんどん追加されます。それに応じてファイル形式も変更されていくでしょう。新しい機能が自由に追加できるのは、このファイル形式をApple社が完全にコントロールしているからこそです。例えばePub形式とかHTML5のような業界標準のファイル形式を採用してしまうと、これらで表現しきれない機能をiBooks Textbooksに追加できなくなってしまいます。つまりイノベーションの自由度が下がってしまうのです。
もし電子教科書はePubの機能で十分であり(つまり静的なコンテンツで十分と考えている)、iBooks Textbooksのイノベーションには価値がないと考えているのなら、業界スタンダードのePubを使えば良いわけで、これならAndroidでも読めます。
もしインタラクティブなコンテンツがとても作りやすくなっているiBooks Textbooksのイノベーションがとても重要で、これからもイノベーションを続けてもらいたいのならば、当面はApple社のシステムを取り込むしかありません。イノベーションが速いペースで進むためには、垂直統合はやむを得ません。
垂直統合はイノベーションの代償です。どっちかを選ぶしかないのです。
昨日、「AmazonのAndroidタブレット Kindle のビジネスモデルは甘いんじゃない?」という題で、「ハードで赤字を出してソフトで儲ける」という戦略はKindle Fireには適応できないという議論をしました。したがって短期的にKindle Fireの売り上げは伸び、いったんは成功したように見えたとして、長期的には成功しないと判断しました。
昨日、AsymcoのHorace Dediu氏がブログを更新し、別の角度からKindleがタブレット市場に破壊的イノベーションをもたらさない理由を紹介しました(“The case against the Kindle as a low end tablet disruption“)。要点は以下の通りです。
Horace Dediu氏の分析はClayton Christensen氏のイノベーション論に基づいていますが、非常に的確であると思います。Kindle Fireが破壊的イノベーションとしてiPadの脅威になるとは思えません。
僕はさらに一歩踏み込んで、Kindle FireがAndroidのイノベーションを大きく阻害する危険性が高いことを以下に論じます。その一方でAppleはiPadのイノベーションを阻害することは考えにくいので、iOSとAndroidの差がますます広がるだろうと考えています。 Continue reading “Amazon Kindle FireがAndroidのイノベーションを阻害する理由”
GoogleのモバイルOS Androidが特許を侵害しているとして非常に多くの訴訟に巻き込まれ、またSamsungがGalaxy TabおよびGalaxy S IIで意匠権を侵害しているとして販売差し止めの訴えをAppleより起こされていることは、このブログで何回も取り上げています。
8月9日にはEUでSamsung Galaxy Tab 10.1がEUで販売仮差し止めになったということが報じられ、8月1日には同様の判断がオーストラリアでもくだされました。ヨーロッパではMotorola Xoomも同じく意匠権で販売差し止めの訴えを起こされているようです。
一方でGoogleはこのような特許訴訟がイノベーションを阻害しているとブログで訴えています。ただGoogle自身が強力な特許に守られながら大きくなった会社であることや、特許以外の知的所有権に対するGoogleの姿勢にも甚だ疑問があることなどをあげて、Googleは単に自分に都合の良いことを言っているだけではないかという意見もあります。
携帯電話やソフトウェアに関する特許は確かに複雑なようで、各製品には多数の特許が含まれ、メーカーは互いに複雑なクロスライセンスをしているという現状はあるようです。そもそもソフトウェアには特許を与えるべきではないという議論もあるようです(私自身はその根拠が理解できませんが)。
さて私自身は製薬企業にいるときに、間接的に出はありますが、1990年代の半ばの遺伝子特許の問題を見てきました。この時代はシーケンス技術の発達のおかげでヒトゲノムプロジェクトなどが本格的に開始された時期です。それまでの時代と大きく変わったのは、A) 生命現象があって、それからその原因となっている遺伝子を特定するという研究のやり方に変わって、B) まずはシーケンスを闇雲にやり、遺伝子を片っ端から解読し、配列から有望そうだと推定されたものについて生命現象との関係を探っているというやり方が台頭してきたことです。いわゆる逆遺伝学(reverse genetics)と呼ばれる手法です。
しかしB)のreverse geneticsを行う際に、最後まで遺伝子と生命現象との関係を見つけるのは意外に困難です。1990年代半ばはRNAiもまだ知られていませんでしたので、ほ乳動物の細胞で遺伝子を欠損させるにはノックアウトマウスを作るしかなかった時代です。したがって現実的にせいぜいできることは、細胞に遺伝子を強制発現させることぐらいでした。遺伝子はいくらでも見つかるのに、その機能がわからないというものが山ほど出てきました。
それでも製薬企業にいる以上、見つかった遺伝子の特許が早く取りたいのです。でも特許は「有用性」が言えないといけません。そこで遺伝子配列からバイオインフォマティックスで導かれた推定機能だけで特許を申請してしまう企業も多く現れました。
果たしてそんないい加減な特許(つまり「有用性」がしっかり書かれていない特許)が成立してしまうのか。法律の世界は簡単に白黒がつくものばかりではないので、企業としては非常に不安でした。多分成立しないと思うけど、成立したら大変なことになってしまう。関係者はそんなことを案じていました。
なぜそんなに不安になるかというと、遺伝子配列そのもので特許を取られてしまうと、特許を所有している企業が非常に有利になると考えられていたからです。特許を申請するときは可能な限り多くの権利(クレーム)を書くことが当たり前のことですが、当時の遺伝子特許には i) その遺伝子配列から生産されたタンパク質はもちろんのこと、ii) そのタンパク質に結合する他のタンパク質を免疫沈降などで発見する実験、iii) そのタンパク質と結合する化合物(医薬品候補)をスクリーニングする実験さえもクリームされていました。したがって遺伝子配列の特許を持っていれば、他の製薬企業がそのタンパク質に作用する医薬品を発見したとしても(それがどんな方法で見つけたにせよ)、ほぼ特許侵害で訴えることができる訳です。
実際に遺伝子特許問題がどのように収束したかは、私もほどなくしてその分野から去ってしまいましたので詳しくは知りません。まだいろいろな問題が残っているという印象は受けています。
ただそういう問題を見てきた人間として感じるのは、ソフトウェア特許以外にも特許制度は非常に難しい問題を抱えているということです。もちろん独創的な発見やイノベーションを行った個人や企業は多いに奨励されるべきですし、特許のような強力な独占権を与えることも場合によって必要だとは思います。しかし科学技術の発展が速いだけに、また様々な利害関係が対立するだけに、法律が時代に追いつくのは難しいのです。そういう状況を考えれば、特許制度は決してベストが実現可能ではなく、「無いよりかなりマシ」ぐらいの存在であるような気もします。
遺伝子特許を議論していた印象からすると、Googleがやった行為が問題になるのはきわめて当たり前ですし、もしあれが許されるのであれば製薬企業やベンチャーが基礎研究をする価値はほとんど失われてしまうとさえ思えます。ベンチャーにとっての最大の資産が特許ということも珍しくないでしょうから、特許侵害まがいの行動が許されてしまったら、製薬産業のイノベーションの構造が覆されるでしょう。
私はそういう目でAndroidの訴訟を見ていますので、どうしてもAppleだとかMicrosoft, Oracleの側に立ちます。
Androidタブレットの中でも最も評論家の評判が良かったGalaxy Tab 10.1。Appleとの特許訴訟を背景にGalaxy Tab 10.1のオーストラリアでの販売が中断されました。
同様の訴訟は9つの国で11の裁判所で起こされていて(東京の裁判所も含まれています)、一番注目される北カリフォルニアのものは10月中旬に結論が出る予定だそうです。Samsungが立場を逆転させる可能性はゼロではないのでしょうが、かなりSamsungは弱気そうだというのが専門家のFlorian Muellerの見解のようです。
何しろ市場規模が大きいので多くの人が注目していますが、ライフサイエンスの研究用製品の世界でもこのようなことは米国で割とあります。販売中止とか輸入禁止とか、一見すると極端な結末ですが、そういうことは十分にあり得ますし、今回はそのレベルにまでエスカレートしている印象です。
つまりAndroidタブレットの一番の人気モデルが、iPadにそっくりすぎるという理由で日本でも販売が中止になるかもしれません。それもかなり高い確率で。
そうなると表題の「Androidタブレットの終わりの始まり」です。
Microsoft Windows 8がARMをサポートするというニュースがありました。
Clayton Christensen氏のイノベーションに関する一連の理論に照らし合わせて、これが一体どういう意味を持つのかを、Horace Dediu氏が解説していました。
“Who killed the Intel microprocessor?”
以下その中の議論を元に、自分の意見をいろいろ述べたいと思います。
ARMはCPUのライセンスを提供し、NokiaとかAppleがBluetoothや音楽デコーディングの回路をCPUと同じ半導体上にデザインし、SOC (System on a chip)と言われるものを設計します。何を組み込むかは最終的な製品に合わせて、Appleなどが決定します。そしてSOCのデザインを元に、Samsungなどがこの半導体を製造します。
すなわちARMのライセンスは、最終製品に最適化された、統合された半導体のデザインと製造を可能にします。
それに対してIntelはデザインから製造までをすべて自社で行い、最終製品を販売します。どのような付加的な回路を組み込むかを選択することはできません。Bluetoothや音楽デコーディング用の回路を組み込むか否かはIntelが決め、変えることができません。
IntelのようにCPUに関わるすべてを自社で行うことは大きなメリットがあります。最高に高性能なCPUが作れるというのがそれです。製造工程を含め、CPUに関わるすべてのコンポーネントを最適化できます。例えばトランジスタ数が増やせるような製造工程の改善が行われれば、コア数を増やしたりキャッシュを増やしたりして性能の向上に役立てることができます。
しかしもはやCPUの性能だけが問題ではなくなっています。逆にCPUの性能はそこそこでも、デバイス全体の消費電力が低いことだとか、サイズが小さいことだとか、カスタムの回路を自由に組み合わせられるということの方が重要になってきています。
特にiPadやiPhoneに代表されるデバイスでは、サイズと電池の寿命が一番重要であり、まだまだ十分なレベルまで達していない、未解決の課題として残されています。このような状況では、それぞれのコンポーネントを互いに最適化させ、統合し、最後の一滴まで性能を搾りとることが優先されます。ARMのように、CPUを含めて統合が可能なビジネスモデルが好まれるのはこのためです。
Apple社の垂直統合モデルが成功するのか、Wintel連合の水平分業モデルが成功するのかという議論があります。多くの評論家は最終的には水平分業モデルが勝つという意見を持っているみたいですが、この人たちの理屈は決まってApple社の成功を説明できていません。Apple社の成功の理由を理解できずに、それでも水平分業が勝つと言い切っているのは、いつ聞いても不思議です。
Christensen氏の理論を理解するとApple社が成功理由は簡単です。
Apple社は既存の技術ではギリギリ作れるか作れないかという製品を世の中に提案し、それを消費者に新しい夢を見せ、消費者に渇望させ、垂直統合によるギリギリの最適化でそれを実現しています。常にレベルの高いものを消費者に提案することによって、垂直統合が栄えやすい土壌を作り上げています。
iPhoneは全く新しいコンセプトでした。同時にiPhoneはソフトウェアもさることながら、ハード面では電池消耗とCPU性能はギリギリのバランスでした。電池がギリギリ一日持つようにCPU性能は制限されていましたし、当初はマルチタスク等が出来なかったのは単純にこのためでしょう。
iPadは業界筋の大方の予想の半分の価格で市場に出ました。あれが10万円する製品だったらあれだけ話題にならなかったでしょう。大部分のネットブックを下回る4万円台で発売されたことは大きな意味がありました。iPadではARMデザインのA4 CPUにより性能の部分と電池の持ちはクリアできていましたが、価格がギリギリです。一年経って現れた競合ですら、価格では全く勝てていません。この価格を実現するために、不必要な部分を削る様々な最適化が行われたことでしょう。
遡ってApple IIのディスクドライブの話に戻ります。これもApple社の垂直統合が大成功した例です。このときSteve Wozniakが天才的なデザインでディスクコントローラを作り上げたおかげで、フロッピーディスクの容量を拡大しつつ、安いコストで製造することに成功しました。フロッピーディスクの容量がまだ90 kilobyteだった時代に、コントローラの改善で113 kilobyteに引き上げたのです。しかも半導体の数を数分の一に減らして、コストを下げています。
こう理解すると、Apple社の垂直統合が経ち行かなくなり、水平分業の方が勝つのはイノベーションが行われなくなったときだと言えます。コンポーネントによってもたらされる性能の向上に比べ、消費者の渇望を高めることが出来なくなったときです。こうなると垂直統合による最適化をしなくても、コンポーネントを普通に組み合わせるだけで顧客の用途を満たすだけの性能が実現できるようになります。水平分業でも十分な製品が作れるようになるのです。
Intelとしては、デバイスのイノベーションが盛んに続くだろうここ数年間は何をしても復活することは無さそうです。Intelのビジネスモデルがもたらす価値が市場に必要とされないからです。市場での影響力が低下するのは避けられそうにありません。
Asahi.comに『7インチの大画面スマートフォン「GALAXY Tab」のネット機能をiPadと比べた』という記事があり、BCNランキングなども紹介されていました。
発売直後の売れ行きは上々。「BCNランキング」の2010年11月の携帯電話ランキングでは、月末の11月26日発売ながら24位にランクイン。スマートフォンに限ると、auの「IS03」、ソフトバンクモバイルの「iPhone 4」の32GBモデル、同16GBモデル、NTTドコモの「GALAXY S」、「Xperia」、auの「IS01」に次いで、7位だった。
週次集計では、発売日を含む11月第4週(2010年11月22日-28日)は7位、翌週の11月最終週は8位と、2週連続でトップ10入り。特に11月第4週は、「iPad」のWi-Fi + 3Gモデルの販売台数を上回るほどだった。「LYNX 3D」などの新製品がランキング上位に並ぶ中、12月第1週(12月6日-12月12日)は11位にとどまったが、12月第2週(12月13日-12月19日)は26位にダウンした。
とは言うものの、何を言っているのかがよくわかりませんので読み解いてみました。

以下、携帯電話ランキングのみを抽出(スマートフォンの中での順位ではなく、携帯電話全体の中での順位)。斜体は私の私見です。
iPadはBCNランキングでは携帯電話ランキングではなくノートPCランキングに掲載されています。ノートPCランキングでアップル限定で絞り込むとiPadの機種ごとのランキングが分かりますが、iPad WiFiの方がiPad WiFi + 3Gよりもずいぶんと売れているみたいですので、「iPad WiFi +3Gの販売台数を上回る」と言ってもiPad全体の売上げの数分の一程度と推測されます。
どうやらスタートダッシュこそはiPad全体の売上げの数分の一でしたが、そこから急速に売上げは低下したようです。
DoCoMoのネットワークにつながるにもかかわらず、Galaxy TabはiPadと比べて大して売れていないみたいです。iPadを脅かす存在では全くなく、Steve Jobsが言っていた”Dead on arrival”は本当かもしれません。
まあこんなものではないかと思います。
GoogleのAndroid携帯は最近、日本でも大変盛り上がってきました。Samsungが製造しているGalaxy TabをNTT DoCoMoが大々的に宣伝したり、あるいはAUがようやくAndroid携帯を発売したりしています。SoftbankはiPhoneがありますので、本来はAndroid携帯を売る大きな理由はないと思いますが、それでも一応売っています。
世界でもAndroidは非常に良く売れているようです。
しかし2011年はAndroidが衰退していく年になるだろうと私は思います。
理由は非常に簡単です。特許です。
Androidがここまで人気が出たのは、iPhoneに遅れて3年で技術的に同等なものが作れたからです。iPhoneというのは非常に革新的で全く新しい携帯電話でした。それを3年でほぼ真似ることができたというのは大変なことです。Appleが米国でAT&Tとの独占キャリア契約をしてきたのは、有力な競合がしばらく出て来ないことを想定したものだったと思いますが(つまりキャリアに対して圧倒的な交渉力を維持できる)、Androidの躍進はAppleの想定よりもずいぶんと早かったのだろうと思います。
開発が早かった理由はGoogleの技術者が優秀だったということもあるかもしれませんが、多分それだけではありません。あっちこっちの特許を侵害する形で近道をしたというのもありそうです。
Androidの特許周りを総括しているブログ、FOSS PATENTS : Android caught in a crossfire of patentsでは以下のように書いています。
While I’ve been following patent disputes in our industry for some time, I can’t remember that any software platform has ever been under pressure from such a diversity of patents — held by several powerful competitors — as Android.
…
Given the well-known strength of the patent portfolios of Apple, Oracle and Microsoft, and considering those companies’ vast resources and expertise, the latter scenario (all patents valid, all of them infringed) is certainly a possibility. Even a fraction of that could already have meteoric impact.
Androidの特許を取り巻く環境はとりわけ厳しく、Androidが無傷で特許紛争から逃れることはまずあり得そうにないという話です。
I said before that if all those complaints succeed (even just the ones that have already been filed), Android would be reduced to uselessness. That’s because the patents asserted cover an impressive diversity of technologies that define the user experience — and, therefore, customer expectations — in today’s smartphone market.
Androidが侵害していると既に訴えられている特許は非常に広範な技術をカバーするそうです。Java VM、UI、電力管理、ネットワーク接続、フラッシュメモリ管理、プログラミングテクニック関係、データのシンクロ関連などなどです。一部だけでもAndroid側が敗訴すると、Android携帯はほとんど使い物にならなくなるそうです。
Googleがどのような対応を取りそうか、それはOracleからの訴えに対する反論にもあります。
Google, メーカーを訴えてくれ:AndroidのJava特許侵害
そうじゃないとしても、Apple, Microsoft, OracleがGoogleではなく、携帯メーカーのHTCやMotorolaを訴えるのは全く自由です。Googleが積極的に和解金を払いながら問題を解決していくとも思えませんので(そもそもAndroidは無償で提供していますし)、2011年は引き続き多くのAndroid関連訴訟が起こされるでしょう。
携帯メーカーとしては非常に困ったことです。こんな訴訟に巻き込まれるようなOSを使い続けるよりも、他に使えるものがあるのならぜひ使いたいというのが本音でしょう。訴訟が怖いのでAndroidは使いたくないのに、残念ながらいままでは選択肢がなかったのです。
しかしようやくその選択肢が登場します。2011年にはWindows Phone 7が本格的に売り出されていきます。Windows Phone 7はまだ未完成ではあるものの、かなり有望だというレビューも多く(他にここも)、訴訟を警戒するメーカーはかなり積極的に使うはずです。最悪でも訴えられたときのバックアップとして、各メーカーはWindows Phone 7をラインアップに加えるでしょう。そしてWindows Phone 7が徐々に完成度を高めていってくれれば、携帯メーカーがAndroidに投資し続ける理由はなくなってきます。
OracleとMicrosoftそしてAppleを同時に敵に回すよりは、Microsoftの傘の下でビジネスをやる方がよっぽど賢明そうです。
2011年はそういう年になっていくと思います。
GizmodoのSamsung Galaxy Tab Reviewが出ていました。かなり辛口です。
“Samsung Galaxy Tab Review: A Pocketable Train Wreck”
Samsungの技術力や製品企画力がどうのこうのではなく、そもそも7インチのタブレットは意味があるのかという観点での議論が多いです。
If you take iPhone apps and simply scale them up for the iPad, most of them don’t feel right. If you take Android apps and scale them up for the Tab, the majority of them—Twitter, Facebook, Angry Birds—work perfectly. (Except for when they don’t, like The Weather Channel.) That’s because the Galaxy Tab is small enough that apps simply blown up a little bit still fundamentally work. Which means, conversely, that there’s almost no added benefit to using the Tab over a phone. It’s not big enough. Web browsing doesn’t have greater fidelity. I don’t get more out of Twitter. A magazine app would be cramped.
現時点ではスマートフォン用のアプリを拡大表示したものしかありません。でもスクリーンが小さい分、拡大率も小さく、結果としてあまり問題がありません。議論を裏返すとスマートフォンを使うのと比べると、Galaxy Tabを使うメリットはほとんどないという結論です。
In other words, you get the worst of a phone’s input problems—amplified.
文字入力に関してはスマートフォンの入力のしにくさをそのまま引き継いでいるということです。しかも一段と悪くなっているとまで言っています。
The browser is miserable, at least when Flash is enabled. It goes catatonic, scrolling is laggy, and it can get laughably bad.
Flashをオンにしている状態では、ブラウザは惨めそのものだと言っています。技術的に言えばFlashは迷惑なんですね。マーケティング的にはiPadとの差別化のために含めたくなるのでしょう。
Typically, the point of a compromise is to bring together the best of both sides. The Tab is like a compromise’s evil twin, merging the worst of a tablet and the worst of a phone. It has all of the input problems of a tablet, with almost none of the consumption benefits.
スマートフォントとタブレットの妥協点を探った製品ゆえに、問題が噴出しているという結論です。
ただし、妥協点を探った中間的な製品が難しいというのは、現実社会でマーケティングを見つめて来た人には当然分かる話です。たぶん最初から「妥協」狙ったのではなく、以下のように製品企画の議論は進んだと思います。
要はSamsungだってバカじゃないし、マーケティング部隊はすごいという話なので、市場からかけ離れた間抜けな発想はしないはずです。それでも7インチという中途半端な製品を作ることになったのは、iPadの価格設定が安すぎたこととGoogleの準備ができていなかったということで、Samsungには他に選択肢が残されていなかったからだと思います。
持ち運びがしやすいというメリットを最初から積極的に考えていた訳ではないと思うのです。
Samsungの人、気の毒….
ようやくiPadに対応し得るタブレットとしてSamsung Galaxy Tabが注目されていますが、評論家の意見を読んでいるとなんだか論調がぶれているような気がします。
要は、Galaxy TabはiPadの競合なのか、それとも新しいカテゴリーなのか。あるいはスマートフォンと競合するのか。
But the Galaxy doesn’t feel like a cramped iPad. It feels like an extra-spacious Android phone.
The Tab requires some retraining in the way you use a mobile device — it’s somewhere between a phone and a regular tablet — but once you get it, it’s a pleasure to use. The Tab ultimately reveals itself not as a competitor to the iPad but as a new class of mobile devices: a minitablet that is designed to go everywhere you do.
Read More http://www.wired.com/reviews/2010/11/galaxy_tab/#ixzz14zdHpWy9
「ヘー、新しいカテゴリーなの」って聞くと聞こえはいいのですが、問題はそんな新しいカテゴリーにニーズがあるのかないのかです。
Steve Jobs氏の大失敗作、G4 Cubeを思い出してみるといいと思います。Steve Jobs氏がAppleに戻ったとき、あまりにも製品ポートフォリオが訳が分からなかったのでばさっとシンプルにしました。Consumer <-> Pro, Desktop <-> Portableの軸で割って、4つのカテゴリーに区切ったのです。(YouTube Macworld NY 1999 09:30頃)

なのに翌年にSteve Jobs氏は中途半端な製品を発表してしまいます。それがG4 Cubeです。

PowerMacとiMacの良さを兼ね備えた製品というのが売りです。

でも売れなかったので、発表から1年半で販売中止になりました。
G4 Cube販売中止のプレスリリースがこれです。中間的なマーケットセグメントには熱狂的な顧客がいなかった訳ではないのですが、いかんせんマーケットサイズが小さすぎたという主旨です。
Apple® today announced that it will suspend production of the Power Mac™ G4 Cube indefinitely. The company said there is a small chance it will reintroduce an upgraded model of the unique computer in the future, but that there are no plans to do so at this time.
“Cube owners love their Cubes, but most customers decided to buy our powerful Power Mac G4 minitowers instead,” said Philip Schiller, Apple’s vice president of Worldwide Product Marketing.
The Power Mac G4 Cube, at less than one fourth the size of most PCs, represented an entirely new class of computer delivering high performance in an eight-inch cube suspended in a stunning crystal-clear enclosure.
G4 Cubeの教訓は何か。それは非常に売上げが好調な2つの製品カテゴリーがあるからと言っても、その真ん中にも大きなマーケットニーズがあると思ってはいけないということだと思います。
むしろ好調な2つの製品カテゴリーに挟まれていると、顧客はどちらから一方に吸い寄せられてしまい、真ん中のセグメントはサイズが小さくなると思います。
そのとき、中途半端な製品のスペックを上げる改良を今更加える訳にもいきません。そこで結局は利益を犠牲にしてでも価格を下げ、下の方のカテゴリーの顧客に売り込むことになります。G4 Cubeもそうでした。
僕がいたバイオ業界の話になりますが、前社の新しいリアルタイムPCR装置がそうでした。ABIのフラグシップモデルを狙う訳でもなく(勝つのに必要なサポート体勢がありませんでした)、Takaraなどの安いモデルを狙う訳でもなく、真ん中のカテゴリーを目指すのが狙いだったのです。しかしふたを開けてみると中間のマーケットセグメントはわずかなサイズで、大部分の商談はTakaraとの競合になってしまい、価格をがんがん下げることになってしまいました。それはそれはもう社長まで値下げの号令を出す、本当にびっくりするような値下げの仕方でした。
Appleの話ばかりで恐縮ですが、Appleが新しく生み出した製品カテゴリーを思い出してみるといいと思います。成功したもので「中間」は一つもありません。
Apple以外で言えば
成功する新しいカテゴリーは、基本的に既存カテゴリーの上位か下位のどちらかにしか生まれません。中間はうまくいかないのです。
その流れが今回も当てはまるのならば、Galaxy Tabの運命は割とはっきりしています。
まともにiPadに勝負に挑むのならば、中間を狙うのではなく、上か下かを狙うしかありません。
上を狙うというのは圧倒的な付加価値を付けるということです。カメラ程度では厳しいでしょう(近いうちに発表されるiPad 2にはついてくるでしょうし)。Flashでもだめです(というかそもそも実現不可能みたいだし)。
いまのところはキラーアプリとしてMicrosoft Officeが動くこととかしかないと思うのですが、Android用にMicrosoftがOfficeを移植する可能性はゼロに等しいでしょう。Android用のOpenOfficeみたいなやつはありますが、それが仮にMS Officeとの互換性が100%であったとしても、Microsoft公認のOfficeがあることに比べれば末端顧客へのインパクトは全然足りません。ですからMicrosoftがタブレット用のWindowsを開発するまでは、上から狙うのは無理そうです。GoogleもAndroid限定のキラーアプリを開発して上から狙えるようにするよりは、iPadでも使えるようなウェブアプリを作って、なるべく多くの人に使ってもらうのが全社戦略にマッチするはずです。
下を狙うのであれば価格を圧倒的に安くすることです。しかしMacintoshの時と異なり、Appleは積極的な価格設定と厳密な製造コストのコントロールをしています。まず圧倒的な差をつけるのは常識的には無理です。
10ヶ月前にも言いましたが(” iPadのこわさは、他のどの会社も真似できないものを作ったこと” )、iPadの独走はしばらく続きそうです。