27種類のスクリーンサイズを提供するSamsung、4種類を提供するApple

NewImageSamsungが提供するAndroidデバイスは実に27種類のスクリーンサイズをカバーしています。これを紹介したDerek Kessler氏のTweetがTwitterで盛んにRTされました。

これに対してAppleのiOSは3.5, 4, 7.9, 9.7インチの4つのスクリーンサイズしかありません。

どっちの戦略が正しいのか、様々な議論があると思います。しかし忘れてはならないのは、Appleも昔は目もくらむほどの多数ので製品を販売していたことです。

Everymac.comには過去に販売されたMacの情報がすべてアーカイブされています。Steve Jobs氏が復帰する前の1996-7年頃には、デスクトップだけでも以下の製品ラインがありました。

  • Macintosh Performa 5260, 5270, 5280, 5400, 5410, 5420, 5430, 5440, 6410, 6400, 6420
  • Power Macintosh 4400, 5260, 5400, 5500, 6300, 6400, 6500, 7200, 7220, 7300, 7600, 8500, 8600, 9500, 9600

それをバサッと整理して、有名な4製品グリッドに絞ったのです。

近年のマーケティング戦略に関する本を読むと、顧客の趣向が多様化し、多品種少量製品が重要になってきているという主張が多いのではないかと思います。1990年代のApple社は、当時の競合他社と同じようにこの戦略を採っていました。Samsungの現在の戦略もこれを継承しているように思います。

NewImageSteve Jobs氏の戦略はこの真逆でした。思いっきり製品を絞り込んで、少数の製品にフォーカスしました。しかも興味深いことに、一般的なマーケティングでは真っ先に登場する「予算」という切り口は使わず、プロフェッショナルとして使用するのか、およびノート型かデスクトップ型かの2つの切り口しか使いませんでした。

Appleが成功し続けるためにはより大きな画面をもったiPhoneが必要だとか、低価格のiPhoneを作らないと新興国市場で勝てないという外野の意見はますます大きくなっています。しかしAppleの幹部の多くはSteve Jobs氏が4製品グリッドを導入した時期も経験しています。製品が多すぎてフォーカスを失い、死にかけたApple、そして製品ラインを4つに絞り込んで復活を遂げたAppleを知っています。

Appleは別に宗教のように少数の製品にフォーカスをしているのではありません。それほど遠くない昔には多品種少量生産をし、そして臨死体験をしたのです。Appleは実体験に基づいて、少量多品種の危険性を知っています。そう、たぶんSamsung自身よりも。

Facebook Homeが流行るかどうかを考えてみる

Facebook Homeが発表されました。

見た感じ、特にデザイン的な完成度が非常に高そうで、興味をそそられます。

ただしネットを見ていると大部分の技術評論家たちは懐疑的な意見を述べていて、その主たる根拠は「俺の生活はFacebookだけじゃない」のようです。まぁ技術評論家の生活スタイルおよびFacebookの使い方は一般人とは全然違いますので、彼らの意見が正しいと考える理由はこれっぽっちも無いとも言えます。

このような製品が成功するかどうかを予想する上で大切なのは、マーケティングの4Pで言うところのProduct(製品)ではなく、おそらくPlace(流通)とかPromotion(プロモーション)だろうと思います。なぜかというとFacebookは非常にユーザ数が多いので、流通やプロモーションの切り札がたくさんあるからです。

例えばこの記事にも書いてあるとおり、FacebookやFacebook Messengerがインストールされていれば、Homeの通知がきます。ほとんど製品アップデートのような感じで通知が来ますので、大部分のユーザがアップデートと誤解してインストールするのではないかと私は予想しています。

非常に普及が早いアップデートの例

アップデート通知の威力、浸透力の強さはiOSで証明されています。例えばiOS 6.1の浸透度を調べたChitikaの調査によれば、iOS6.1は公開からわずか2週間で50%のデバイスにインストールされました。アップデートの通知が目立つように表示され、そこから数タップでアップデートが完了してしまうという手軽さは非常に効果的で、Place(流通)やPromotion(プロモーション)としては驚異的な威力を発揮することがわかります。

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製品の評判が良くても普及しない製品の例

それに比べて、製品がどれだけ技術評論家の間で評判が良くても、プロモーションの仕組みがしっかりしていなければ全くダメな例もあります。その好例がAndroid用のChromeブラウザです。

同じChitikaのデータで、Androidユーザの間でのChromeの普及率が著しく低いことを示しているデータがあります。

2012年9月のデータによると、Android OSユーザのわずか2.34%だけがChromeブラウザを使用していました。デフォルトのAndroidブラウザが91.26%でしたので、Androidブラウザ使用者の1/38しかChromeブラウザに切り替えていない計算になります。

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StatCounterのデータを使ってUSの直近2週間を調べても、Chromeブラウザの使用率はAndroidブラウザの使用率の1/13です(全モバイルブラウザのうち、Androidブラウザが36.78%、Chromeブラウザが2.93%)。またグラフは示しませんが、StatCounterで全世界のデータを取っても、やはりChromeブラウザの使用率はAndroidブラウザの1/14しかありません。

StatCounter mobile browser US weekly 201312 201313 bar

ChromeブラウザはAndroid 4.0以上じゃないとインストールできないというハンディがありますが、GoogleによるとAndroid 4.0以上の普及率は54.3%ということですので、上述の数字と合わせると、Android 4.0以上に限定してもChromeブラウザの普及率はAndroidブラウザのたった1/7という結果になります。

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どう見てもChromeブラウザの普及率は悲惨な状態です。

アップデートと新製品の違い

iOSのアップデートとChromeブラウザの普及率がこれほど開いた理由は製品の善し悪しではありません。少なくとも技術評論家の間の評判でいえば、Chromeブラウザは絶賛され、一方iOSのわずか0.1のバージョンアップは大して話題になりませんでした。

違いはアップデート、つまり「通知」が送られてくるものであるか、あるいは別の製品であるかにあります。

iOSの場合はアップデートです。インストールの精神的ハードルが低く、「通知」が来てからわずか数クリックでインストールが完了します。

それに対してChromeブラウザは別製品です。インストールの精神的ハードルはかなり高く(技術評論家にとってはインストールの敷居は低いのですが、一般人にとっては意外と高いものです)、手間もかかります。

アップデートか新製品かということで、雲泥の差があります。

Facebook Homeは新製品だけど、アップデートと同じプロモーションの仕方をしている

さてFacebook Homeに戻ると、これは明らかにアップデートのプロモーションスタイルです。もちろん大がかりな広告やプロモーションはするのでしょうが、一番威力を発揮するのは「通知」です。ほとんどの人はFacebook Homeを単なる製品アップデートだと思ってしまうでしょう。ですからあっという間にものすごい普及率になりそうです(ただインストール可能なスマートフォンの機種を絞っていますので、それは考慮しないといけません)。

Facebook Homeのできが良いか悪いかは、一端インストール後にどれだけのユーザがFacebook Homeを外すかに影響しますが、最初のインストール数にはあまり関係がないはずです。つまり技術評論家の意見は普及率とは無関係です。

Facebook Homeの破壊力

Facebook HomeはAndroidの乗っ取りです。Facebook HomeをインストールしてもGoogleのアプリは使えます。しかし主従関係は逆転します。Facebookが主でGoogleが従になります。

Facebook Homeのコンセプトは他社でも真似ができます。Twitterでも同じことができますし、Amazonだって似たことができるはずです。Android上の単なる1アプリとしての存在では無く、また1ウィジェットとしてでは無く、ランチャーを乗っ取ることができます。

Facebook Homeの破壊力は、他社でも簡単に真似られることです。Androidはウィジェットという仕組みを提供していますが、それでは不十分だというところは今後Facebook Homeのようなランチャーを出してくるでしょう。ランチャーの奪い合いというすさまじい戦いがAndroid上で繰り広げられる日が近いかも知れません。

まとめ

Facebook Homeが普及するかどうかはその製品コンセプトの善し悪し、あるいは技術的なできの善し悪しとはほとんど関係がありません。むしろ「アップデート」を装うというプロモーション戦略の方が圧倒的な影響力があり、Facebookアプリのインストール率が極めて高いことを考えると、Facebook Homeがかなり普及すると予想できます。

またランチャーを乗っ取るという戦略はFacebook以外の他社も真似られる戦略です。これに対してGoogleが何らかの制限をかけて、防御に回る可能性があります。そうしないとAndroidランチャーの陣取り合戦が始まるかも知れません。

最後に、Facebook Homeは「Googleばなれ」のトレンドを加速させます。いままではSamsungやHTCに代表される携帯メーカーの「Googleばなれ」が見られましたが、サービスプロバイダー側の「Googleばなれ」は新しいトレンドとなる可能性があります。2013年は「Googleばなれ」が顕著になるというのが私の予想ではありますが、想定以上の早さでこれが進んでいるという印象を強く受けます。

Androidの方向転換予想:Andy Rubin氏の降格を受けて

アップデート
2013/4/14: 破壊的イノベーションとの関連についての考察を追加しました。

3月の初旬に、最新のAndroidがローエンドマシンに向かないという話をしました。そして今では古いバージョンのAndroidで満たされているローエンドマシンの市場にFirefox OSなどが食い込む余地があることを紹介しました。

特に「Firefox OSって破壊的イノベーションになるかもと思う理由」の書き込みでは、AndroidチームのリーダーであったAndy Rubin氏の次の言葉を引用しました。

There are places where Android can’t go,” he said, referring to memory and other hardware requirements. Firefox can help reach those. “For certain markets, it makes sense.

そしてこれをもとに私はこう結論しました。

つまりFirefox OSはローエンド市場にとって魅力のある製品であり、なおかつAndroidは(このままだったら)このローエンド市場に入り込む予定がなさそうです。

完璧に破壊的イノベーションの要件、a) ローエンド市場から入ること、b) 既存のプレイヤーが危機を感じていないこと、が満たされています。

しかし3月13日にAndy Rubin氏がGoogleの人事異動で事実上降格され、Androidの開発を離れることになりました(1, 2)。

問題はこの人事異動の結果、Androidはどのような方向に向かうのか、そしてFirefox OSなどの新規参入OSはどうなるのかです。またiPhoneとの関係についても気になります。それについて考えたいと思います。

Andy Rubin氏が降格された理由についてのアップデート

Andy Rubin氏が降格された理由についていろいろな憶測がありますが、現状ではNicholas Carlson氏によるこの書き込みが一番正しいように感じます。

What we heard is that Larry Page doesn’t mind employing gruff types … so long as they serve his purpose.

Page must have decided that the way Rubin was running Android no longer served his purpose, and that an Android run by Sundar Pichai would.

….

Rubin’s comments indicated a view of Android as something to preserve and protect.

Our source believes that Larry Page isn’t nearly so worried about Android itself. This source says that Page views it as a means to an end.

He says Page views Google as “a cloud services company,” built on cornerstone products like Search, Maps, Mail, and YouTube.

He says Page views Android as a way for Google to partner with hardware-makers to make these services more available to consumers.

自分なりに解釈すると、Andy Rubin氏にとってはAndroidそのものが大切で、これを発展させて守ることが一番重要でした。

それに対してGoogle CEOのLarry Page氏はAndroidそのものはあまり感心がなく、Androidは単なる手段としか考えていません。Larry Page氏はGoogleをSearch, Maps, Mail, YouTubeなどのクラウドサービス会社と位置づけていて、これをなるべく多くの人に利用してもらうための手段の一つとしてAndroidがあると考えているようです。もしAndroidではなくSamsung OSを介してGoogleのサービスを利用するユーザが多くても、それはそれで結構と。

あくまでもAndroidを発展させ、守っていきたいと考えるAndy Rubin氏と、Androidを一手段としか考えないLarry Page氏との間で埋めがたい溝があったと考えるべきでしょう。

Androidを一手段とか考えないというのはどういうことか

Androidを一手段としか考えないということは、おそらく以下のことを意味しています。

  1. Androidのマーケットシェアは重要ではない。
  2. GoogleがAndroid陣営を強くコントロールする必要はない。
  3. iPhone, Firefox OS, TizenなどのOSが勢力を伸ばすのは問題ない。ただしGoogleのサービスを載せてもらうことが大切。
  4. Androidが一番魅力的なOSである必要はない。
  5. なるべく多くの人にスマートフォンを利用してもらうことが新しいAndroidの使命。

Andy Rubin氏の元では、Androidを如何にiPhoneと同等にしていくか、如何にiPhoneに追いついて、追い越そうかが開発の主眼でした。しかしAndroidを一手段として考えると、iPhoneがカバーしているハイエンド市場はiPhoneに任せても良いのではないかという判断が可能です。あるいはSamsungが独自開発するのに任せることもできます。その代わりGoogleとしては、まだまだ未開拓なローエンド市場に目を向けるべきではないかという考えになってきます。

どんなことが予想されるか

AndroidとChrome OSの統合はもちろん重要な柱ですが、それ以外のことをここでは話します。

ネイティブアプリからHTML5にシフト

まずAndroidが一番魅力的なOSである必要はないと考えれば、ネイティブアプリへのこだわりが捨てやすくなります。ネイティブアプリの最大の特徴は滑らかで豊かなUIですが、ネイティブアプリじゃなくてもGoogleのサービスは十分に使えます。Android上でも徐々にネイティブアプリを奨励しない方向が出てくると予想されます。

Apple特許の利用を減らす

Googleのサービスを広く利用してもらうことについていえば、Appleとの競争関係はマイナスに働いています。お互いにとって、法廷争いを続けることは利益になりません。

Appleがこだわっているのはユーザインタフェースの重要な部分を真似られたからです。例えば米国で行われ、アップルの勝訴の判決が出た裁判では、”bounce-back effect”、”tap to zoom”, “home button, rounded corners and tapered edges”, “on screen icons”などの特許が争われました。このうち、スマートフォンの動作に必要不可欠なものは何一つありません。iPhoneよりも多少劣るもので良ければ、これらのAppleの特許を侵害することなくスマートフォンが作れます。

Appleの特許はまだ審査中のものもたくさんあり、これからも出てきます。しかし今後のAndroidのスタンスはおそらくAppleの特許を避け、結果としてUIが多少劣ったとしてもそれはそれでしかたないというものになるでしょう。現状でもSamsungに比べ、Googleの方がApple特許に対して慎重な姿勢を見せていますが、今後はますますそうなるでしょう。

ローエンドマシン

より低いスペックのスマートフォンでも十分に動作するように工夫をしていくでしょう。Android 4は高いハードウェアスペックを要求するため、未だにローエンド機はAndroid 2.3を搭載して販売されています。ローエンド市場を積極的に開拓していくために、スペックの低い機種でも十分に動作する新しいAndroidが開発されると予想されます。

以上が現時点での私の予想です。大きくまとめると、今後のAndroidはiPhone, iPadと対抗することを主眼とせず、市場を広げることに注力していくだろうと思います。フォーカスを切り替えた結果、Androidはローエンドからの破壊的イノベーションに対抗できるようになります。逆にFirefox OSが成功する可能性が低くなります。

Samsungの強みと技術評論家の弱み

AsymcoのHorace Dediu氏が一端アップして、その後取り下げたブログポストにSamsungの強みについて書いてありましたので取り上げます(Horace Dediu氏もTwitterでGoogle Cacheにリンクしていましたので、別に見せたくないわけではなさそうです)。

インタビュー形式(聞き手はRafael Barbosa Barifouse氏)です。太字は私が付けています。

Rafael Barbosa Barifouse氏

Does it make sense to create a new mobile OS when it has had so much success with Android?

Horace Dediu氏

Samsung would argue that the success it’s had is not due to Android but to its products. Arguably they are right because if Android were the valuable component in a phone then buyers would buy the absolute cheapest device that runs Android regardless of brand. That is not the case. People still seek out a particular brand of phone because of the promise it offers. Consumers have been buying more Galaxies than no-name Android phones.

Rafael Barbosa Barifouse氏

Why is Samsung the most successful company between the Android devices makers?

Horace Dediu氏

In my opinion it’s due to three reasons:

  1. Distribution. Success in the phone business depends in having a relationship with a large number of operators. Samsung had these relationships prior to becoming a smartphone vendor [because it sold all other kinds of phones]. Few alternative Android vendors have the level of distribution Samsung has. For comparison Apple has less than half the distribution level of Samsung and most other vendors have less than Apple.
  2. Marketing and promotion. Samsung Electronics spent nearly $12 billion in 2012 on marketing expenses of which $4 billion (est.) was on advertising. Few Android vendors (or any other company) has the resources to match this level of marketing. For comparison, Apple’s 2012 advertising spending was one quarter of Samsung’s.
  3. Supply chain. Samsung can supply the market in large quantities. This is partly due to having their own semiconductor production facilities. Those facilities were in a large part built using Apple contract revenues over the years they supplied iPhone, iPad and iPod components. No Android competitors (except for LG perhaps) had either the capacity to produce components or the signal well in advance to enter the market in volume as Samsung did by being an iPhone supplier.

私はAsymcoを注意深く読んでいますので、その影響もあってか以前よりSamsungの強みについて同様に考えていました。

つまり、Samsungがスマートフォンで成功しているのはGoogleのAndroidのおかげではなく、Samsung自身の力によるものです。そしてSamsung自身の力というのは、単なる技術的優位性ではなく、以前からのキャリアとの関係、強力なマーケティングとプロモーション、そしてサプライチェーンの強さです。

技術評論家のほとんどは製品しか見ません。製品が技術的に優れているか、使いやすいか、デザインに優れているかだけを見ます。しかし製品が実際によく売れるかどうか、ヒットするかどうかを判断する上では、このような評論家の見方は極めて二次的です。ものが売れるかどうかの主因とはなりません。

理由は簡単です。大部分の消費者は製品そのものよりも、広告や小売店の営業担当の言葉、あるいは友人の言葉、そしてブランドを頼りに購入判断をするからです。

市場勢力の急激な変化は、末端の小売りの影響力が強いサイン

Neil Hughes氏はスマートフォン市場のシェア推移を見ています(Market shares collapse with ‘brutal speed’ in cyclical smartphone industry)。

その中でNeedham & CompanyのアナリストCharlie Wolf氏の言葉を出しています。

The most important reason for these changes, Wolf believes, is the fact that carriers have “exceptional influence” on the phones customers buy. He said this strategy has worked particularly well for Android, because Google offers carriers and their retail staff incentives to push the brand.

このような急激な変化が起こるのは、携帯電話の市場ではキャリアの影響力が極めて強いためだというのです。私もチャンネル営業を担当したことがありますので、同感です。

ブランド力は急には変わりません。また極めてインパクトのある広告で無い限り、マーケティングメッセージは通常は緩やかに浸透します。一方、市場勢力を急激に変えるポテンシャルを持つのは末端の小売りです。小売りは営業インセンティブの与え方次第で一気にひっくり返ってくれます。

ただし営業インセンティブをしっかり与えられるためには、末端の小売りとの既存のパートナーシップが不可欠です。急に登場して、大きなインセンティブを与えても小売りは動きません。ですからWolf氏のコメントは一つだけ間違っています。キャリアや小売りスタッフにインセンティブを与えたのはGoogleではありません。Googleにはインセンティブを与える力はないからです。代わりにインセンティブを強力に与えたのはSamsungなのです。

こういう営業の仕組みを全く理解できていないのが技術評論家の最大の弱みで有り、だからしばしば市場を読み間違えるのです。

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USの携帯電話顧客満足度調査の結果

J.D. Powerの”2013 U.S. Wireless Smartphone Satisfaction Study”が公開されて、簡単な総括がウェブで公開されました。

Appleが圧倒的な顧客満足度を獲得

結果を見ると、Appleがその他のメーカーを完全に圧倒しています。他のメーカーがすべて790点前後なのに、Appleだけが855点と、完全に孤高の存在。

スマートフォンはまだ市場が若く、買い換え需要よりもフィーチャーフォンからの乗り換え需要の方がまだ多い段階です。顧客満足度というのは当然ながら買い換えの時に効いてきますので、この圧倒的な顧客満足度が売り上げに反映されるのはこれからです。これだけの大差があるとどうなるのか、かなり気がかりです。

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Samsung Galaxy S4のローンチでもAndroidのことがほとんど触れられなかったことのまずさ

Samsung Galaxy S4のローンチイベントがあまりにも退屈だったので私はちゃんと見ませんでしたが、どうやらAndroidやGoogleのことについてはほとんど触れられなかったようです。

Android携帯メーカーのGoogleばなれについてはここ数ヵ月間でかなり顕著になっていますが、私が予想していたよりも速いペースで進んでいるのが驚きです。

AndroidのリーダーだったAndy Rubin氏が降ろされましたが、Googleはこの状況にかなり危機感を抱いている可能性があります。今年の前半に具体的な策がGoogleから発表されるかも知れません。例えばスマートフォン用のChrome OSの発表などが考えられます。Samsungしか利さないAndroidの開発終了も現実的なオプションとして検討されていることでしょう。

Androidのリーダー、Andy Rubin氏が降ろされた件

アップデート: 3/19日、Satoshi Nakajimaさんのブログに関連した書き込みがありました。単純に人事を根拠に議論しています。そしてどうしてChrome OSとAndroidの統合を急ぐかについては『「すべてをウェブ・アプリケーションとして提供する」というGoogleのビジョンには Chrome OS の方が相性が良い』と書くにとどめています。しかし結論は同じです。AndroidとChrome OSは統合される予定であり、それもChrome OSを優先した形になるということです。私も同意見です。人事を見ただけで十分にこの結論に至ります。

Androidの開発を指揮していたAndy Rubin氏が役割を降ろされ、別の部署に移されることが発表されました。

5月にAndy RubinがD11会議で話す予定だったそうなので、今回の話は比較的唐突だったようです。

いまのところどうしてこうなったのかは全く情報がありません。わかっていることはAndy Rubin氏の代わりにAndroidを指揮するのがSundar Pichai氏だということだけです。Sundar Pichai氏はChromeおよびChrome OS、Google Appsを担当しています。したがって今回の人事発表を素直に解釈すると、GoogleはAndroidとChrome OSの統合を急いでいると推察ができます。それもAndroidを優先させた統合ではなく、Chrome OSを優先させた統合となりそうです。

果たしそんなことは合理性があるのでしょうか。

Googleの最近の動きをまとめてみる

どうしてそんなことをするのか、どんな意味があるのかは全くの推察ですが、今月のGoogleの動きをいくつか列挙して、その傾向を見てみます。

  1. Andy Rubin氏の代わりにSundar Pichai氏がAndroidの指揮することになった。
  2. Chrome for Androidにdata compression proxyという機能が追加されました。まだ試用段階ですが、実現すれば、Androidのすべてのウェブトラフィックは一端Googleのサーバを経由することになります。
  3. Google RSS Readerの廃止
  4. Google、Play Storeから広告ブロックアプリを一斉削除

3と4から読み取れるのは、Googleの収益の9割をしめる広告収入へのこだわりです。広告収入に十分に貢献しないサービスは終了させ、広告収入を脅かすアプリは排除するという動きです。Googleが広告収入に完全に依存しているのは今に始まった話ではありませんが、広告ブロックアプリを一斉削除するなどの強硬姿勢を見せたのは初めてです。

さて、この強硬姿勢と上記の1, 2には関係はあるでしょうか?

Data compression proxyがあれば、Googleはユーザが閲覧するウェブサイトをすべて把握できる

2のdata compression proxyという仕組みはChromeのネットワーク接続をすべてGoogleサーバ経由にする仕組みです。ユーザにとってはスピードの向上というメリットをうたっていますが、それ以上にGoogleにメリットがあります。Googleのサーバを経由する情報を解析すれば、Googleは各Androidユーザがどのようなウェブサイトを見てるかを完全に把握することが可能で、その情報を元にターゲティングされた広告を流すことができるようになります。これは既にGMailでGoogleが行っていることではありますが、メールだけでなく、今度はウェブも対象に含めようという話です。したがって2の動きについても、Googleの広告強硬姿勢とマッチしています。

Chrome OSとdata compression proxyの組み合わせで、Googleはスマホの全活動を把握できる

1のAndy Rubin氏降ろしはどうでしょうか。このためにはChrome OSのGoogleにとってのポテンシャルを考える必要があります。

まずは以下の思考実験をしてみます。

もしGoogleがFirefox OSのようなChrome OSをスマートフォンで普及させ、すべてのネットトラフィックがdata compression proxyを通るようになったらどうなるでしょうか?

Firefox OSではネイティブアプリもHTML, Javascriptで書きますので、ウェブアクセスは原則としてブラウザ経由となります。そのブラウザがdata compression proxyにつながっていれば、ネイティブアプリのネットワーク接続もすべてdata compression proxyを通るようにできます。

スマートフォンではウェブよりもアプリの方が話題になっていますが、モバイルアプリ上に表示される広告はGoogleの弱点です。競合にたくさん入られてしまっています。しかしモバイルアプリを含めてすべての広告がGoogleのサーバを経由し、情報がすべてGoogleに筒抜けになれば対応が可能です。

つまりこのFirefox OS的なOS、Googleの場合はChrome OSの方がGoogleの広告モデルにとって有益です。

こう考えると、1のAndy Rubin氏外しも広告強硬姿勢と一貫します。

ということはAndroidからChrome OSへの切り替えが起こる

もしもGoogleの経営陣がAndroidからChrome OSへの切り替えを考えているのならば、タイミングは今です。急がないといけません。理由はFirefox OSです。すでに多くのキャリアがFirefox OSのサポートを表明していますので、Firefox OSが成功する可能性があります。先に成功されるのはまずいのです。同じアプローチを採るChrome OSとしてはローンチで大幅に遅れるのは致命傷です。

ちなみにAsymcoのHorace Dediuも最近Androidの開発が止まることを想定し始めています

北米における2013年2月のタブレットの使用統計

Chitikaより北米における2月のタブレットの使用統計が発表されました。

Chitika February 2013

特に今回は2012年12月、2013年1月のデータを並べて、ここ3ヶ月の傾向を見ています。

Chitika 2013 trends february

私が思うところでは、ポイントは以下の通り;

  1. Kindle Fire, Samsung Galaxy, Google NexusおよびBarnes & NobleのNookはいずれも年末商戦で大きく使用率が向上しました。しかし、どれをとっても2月には微増または微減となっています。Androidのタブレットはなぜ年末商戦でしか売れないのか?が気になります。
  2. Google NexusはKindle Fire, Samsung Galaxyから遠く離されたままで、その差を埋める様子は特にありません。評論家からあれだけ絶賛され、Googleが赤字で売っているとも言われている機種が、どうして販売が伸びないのかが不思議です。

仮説としては以下のことが考えられます;

  1. Androidのタブレットは贈呈用には人気ではあるが、自分のために買う人はあまりいない可能性。
  2. 何かを買うとき、通常は「必要かどうか」を考えて買います。しかしクリスマス商戦というのは、「必要かどうか」または「欲しい」ではなく、「何かをプレゼントしなければならない」という状況下における購買活動です。「必要かどうか」という基準ではAndroidは弱い可能性があります。
  3. Google Nexusのブランドは評論家に絶賛されることが多く、これはNexus 7のみならず、Nexus 4についても言えます。しかし実際の購買になると、Kindle FireやGalaxy Tabに負けています。Kindle Fireはamazon.comのトップページにずっと表示されていますし、すべてのページの右上にKindle Fireの広告があります。逆に言うと、それぐらいのことをやらないとAndroidタブレットは売れないとも言えます。
    Amazon top bar 2
  4. Samsung Galaxy Tabの強みはおそらくはマーケティングとチャンネル管理の強力さだと思われます。

長期的視点では以下のことが気になります;

  1. プレゼントとして買われたものが、どれぐらいの顧客満足度を維持できるのか?
  2. 顧客満足度が高ければ、自分用に買う人が増え、年間を通して売れるようになるはずです。果たしてそうなるのか?

策略論・陰謀論が好きな人は本質を見失う

策略の観点から見たスマートフォンの市場

どうしてだかわからないが、世の中の人はものすごく策略や策略が好きです。大辞林を引用すると、策略とは

物事をうまく運び,相手を巧みに操るためのはかりごと。計略。 「 -を用いる」 「 -をめぐらす」 「 -にかける」

だそうです。

ここではスマートフォン事業における各プレイヤーの戦略と、それを解説するメディアについて考えます。

例えば本日「Tizen、Firefox OS……モバイルOSで新勢力が登場する背景にあるもの」という記事を佐野正弘氏が投稿しました。その中で新勢力が登場する背景として

  1. キャリアやメーカーが端末に独自のサービスを導入したいと思った場合でも、iOSのようにプラットフォーム側の制約を強く受けることなく、自由にできる。
  2. Androidは、当初こそオープンな姿勢が強かったものの、シェアを伸ばすに従って、開発の中心的な役割を果たしているグーグルの影響力が強くなっている。その結果、提供するアプリケーション、端末などさまざまな面において、独自性が出しにくくなってきている。
  3. つまり、プラットフォームを掌握する特定企業の影響力が大きくなることで、ビジネスの根幹にかかわる部分を握られてしまうことに対するキャリアやメーカーの懸念が、新OSの台頭に結び付いているといえそうだ。

佐野氏のような人の考え方は、スマートフォン市場を群雄割拠の戦国時代と見立てて、それぞれが領土争いをしている観点に立ったものです。そして他の企業に弱みを握られてしまわないように、製品の優劣とは別のところで策略を立てるのが企業のやり方だとするものです。

マーケットと製品から見たスマートフォン市場

本来、スマートフォン市場では製品の優劣で勝負がつくはずです。裏でメーカーが勢力争いをしたり、お互いの弱みを握ろうと策略するのは関係が無いはずです。TizenやFirefox OSなどの新勢力の登場についても、まずは製品の優劣の議論をし、それでどうしても説明がつかない場合に策略による解釈を試みるべきです。それなのに現実は、最初から策略の議論をしてしまっています。これは大きな間違いです。

私がここ何日か議論しているように、TizenとFirefox OSが登場するにはマーケティング上、そして技術上の必然性があります。それに沿って、私なりに「モバイルOSで新勢力が登場する背景にあるもの」をまとめます。

  1. 今後もスマートフォンが成長していくためには、ローエンドの市場を取り込む必要がある。これは新興国のみならず、先進国においても高額な固定データプランを払いたくない人(フィーチャーフォンを継続して使っている人)が多いからである。
  2. AppleはiPhone 4などの2年前の製品を継続して販売することでローエンド市場をカバーしている。またGoogleは事実上Android 4.0の製品ではローエンド市場をカバーできず、Android 2.3でローエンド市場をカバーしている(Android 4.0以上は1GBのRAMと1GHzのCPUを必要とするため、ローエンドに向かない)。
  3. つまり、各メーカーが自由に使え、低速CPUおよび少ないRAM (256MB~)で十分に動作するスマートフォン OSが必要になってきた。それを実現しようとしているのがFirefox OSでありTizenである。

今後のマーケット展望と既存の技術のミスマッチを考えれば、Tizen, Firefox OSの登場は十分に説明できます。策略を考慮する必要はありません。

見方が違うと展望が変わる

策略の視点に立つか製品・マーケットの視点に立つかで、いろいろなものの見方が変わってきます。

性能・品質にばらつきが出るのはオープンだからではない

佐野氏は

オープン性に伴う自由度が高いだけに、Androidで問題となっている端末のサイズ・性能や、アプリ品質のばらつきなどが生まれやすい。それがユーザーの使い勝手に悪影響を与えれば支持は得られないし、提供するハードウエアやプラットフォームの分散化を嫌うアプリのデベロッパーからの支持も獲得しにくくなる。

としています。勢力争いの観点でものを見ていますので、各キャリアやメーカーを取り込むためにはオープン性が有利だし、不可欠条件だと考えています。そしてオープンさは諸刃の刃で端末のサイズ・性能のばらつき、アプリ品質のばらつきを招いていると考えています。

しかし製品視点に立つと違います。製品の優劣においてはオープンかクローズドは無関係だからです。製品視点に立てば、性能のばらつきが起きたのはAndroidの必要スペックが一気に上がったためと推察できます。tsuchitani氏の記事を引用すると

2010年春に発売されたAndroid 1.6搭載のIS01がメモリ256メガバイトで動作していたのに、約半年後発表でAndroid 2.1.1搭載のIS03以降ではメモリ512メガバイト搭載が標準となり、その後しばらくこの容量で推移したものの、2012年初頭にはAndroid 4.x系へのアップデートを睨んでISW11SC(GALAXY S II)以降メモリの1ギガバイト搭載がはじまり、年末に最初のAndroid 4.1搭載機として発売されたHTL21(HTC J butterfly)からはフルHD液晶の搭載もあって遂にメモリ2GB搭載となりました。

そして、在来機種のOSバージョンアップの可否は、ほぼ例外なく搭載メモリ容量によって決定されてしまっています。

つまりAndroidの要求スペックが急速に高くなったため、2年前に購入した人と最近購入した人の製品スペックが全く異なります。またOSのバージョンアップをしたくても、1年前に購入した人ですらAndroid 4.x系にアップデートできず、Android 2.3の製品がまだ多く使用されています。

Androidのフラグメンテーションはオープンさに起因するのではなく、急激な要求スペック向上に起因すると考えた方が良さそうです。

クローズドでも性能・品質にばらつきが出る

例えばパソコンの世界では、未だにWindows XPの使用率が高いなどの性能・品質のばらつきが出ています。日本でのWindows XPの使用率を見ると、未だに全ネットユーザの15%を越えています。特に企業ではWindows XPを使い続ける傾向が強く、数十パーセントの利用率となっています。Androidに比べて圧倒的にクローズドなWindowsの世界でもこのようなフラグメンテーションが起こります。Windowsでフラグメンテーションが起こった理由は様々ですが、一般消費者の場合は価格やアップグレードの手間の問題、さらにWindows Vistaの要求スペックが高く、ネットブックでWindows XPを使わなければならなかった問題が挙げられます。企業サイドで言えば、既存のカスタムメイドソフトとの互換性の問題がしばしば話題になりました。

一方で2009年に発売されたiPhone 3GSは最新のiOS 6が搭載できます。iPhoneもAndroid同様に製品のスペックは劇的に向上していますが、それでも要求スペックは4年前の機種をカバーできるようにしています。iOSは85%のユーザがiOS6に移行していて、OSバージョンのフラグメンテーションがほとんど起こっていませんが、これはクローズドだからではなく、効率の良いOSをしっかり作ってきたおかげ、つまり製品が良いおかげと言えます。加えてOSのアップグレードを無償にしています。

こう考えるとiOSでフラグメンテーションが起こらないのは、クローズドであることが主な要因ではなさそうです。むしろ低スペックマシンにも対応できる、しっかりしたOSの土台を持っていること、アップグレードを非常に簡単にし、かつ無償にしていることがむしろ大きい要因と考えられます。

ダメうちでもう一つ例を挙げます。Mac OS Xです。Mac OS XはOSアップグレードの価格が安く、最近はDVDを購入することなく、オンラインですべてアップグレードできるため、アップグレード率が非常に高くなっています。しかしMac OS Xのアップグレード率の問題が一つだけあります。それはMac OS X 10.6 (Snow Leopard)を使用しているユーザがまだ30%ほどいることです。理由は簡単です。PowerPC用のソフトが動くのはSnow Leopardが最後だからです。Mac OS X 10.7からはPowerPCエミュレータのRosettaが外されています。つまり既存のソフトとの互換性が、フラグメンテーションの大きい要因となっているのです。

わずか1年前のスマートフォンでもAndorid 4.0にアップグレードできないなど、既存のデバイスとの互換性を完全に無視してしまったAndroidの世界でフラグメンテーションが起こり、様々なばらつきが出てしまうのはもう完全に必然です。オープンとクローズドとは全く別の話です。

上記を考えれば、「Firefox OSやTizenはオープンだから品質確保に苦労する」というのは誤りです。そうではなく、もしFirefox OSやTizenがしっかりとしたアーキテクチャーで作り込まれていて、低スペック機種から高スペック機種までをしっかりカバーできれば、品質確保では苦労しない」というのが正しい結論です。

Firefox OSのチームが最初はローエンドを狙うそうですが、これが大正解と言えるのはこのためです。

SunSpider Javascript Benchmarkでスマートフォンに必要な最低スペックについて考えてみる

数日前からFirefox OSのことについて調べていく中で、Androidというのが非常に効率が悪く、高いスペックのハードウェアがないと十分な性能が出なさそうだという話をしました。そして一方でローエンドをターゲットするFirefox OSが、わずか256MBや512MBのRAMでも十分な性能が出るかも知れないという話をしました。

Firefox OSのベンチマーク結果がまだインターネット上では見られないので、ここでは2009年発売のiPhone 3GS (CPU: 600MHz シングルコア、RAM: 256MB)を参考にしてみます。CPUとRAMを見る限り、iPhone 3GSはFirefox OSがターゲットする最低スペックのマシンとほぼ同等か若干それを下回る感じです。

iPhone 3GSのSunspiderベンチマーク結果(Arstechnicaより)。ちなみにiPhone 3GSは最新のiOS 6をサポートしており、古いOSと比べてもスピードは落ちないそうです。むしろ以下のベンチマークを見る限り、速くなっています。

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これとAnandtechで行われたベンチマークを一緒に見ます(iPhone 4sの数値が似ているので、比較ができると思います)。

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Arstechnicaのデータで見るとiPhone 3GSはOS5.1で約4,700msというスコアを出しています。一方Anandtechのデータを見ると、これよりも遅いAndroid機種が3つ掲載されています。

  • Google Nexus S (CPU: 1GHz シングルコア, RAM: 512MB)
  • HTC Sensation 4G (CPU: 1.2GHz デュアルコア, RAM: 768MB)
  • HTC Desire C (CPU: 600MHz シングルコア, RAM: 512MB)

またiPhone 3GSより速く、iPhone 4よりも遅いのが2機種あります。

  • LG Optimus 3D (CPU: 1GHz デュアルコア, RAM: 512MB)
  • T-Mobile G2x (CPU: 1GHz デュアルコア, RAM: 512MB)
  • HTC One V (CPU: 1GHz シングルコア, RAM: 512MB)

なおiPhone 4のスペックは CPU: 800MHz シングルコア, RAM: 512MBです。

圧倒的にハードウェアスペックで劣るiPhone 3GS (CPU: 600MHz シングルコア、RAM: 256MB)が非常に検討しているのがわかります。逆にAndroid機が高いハードウェアスペックを誇るにもかかわらず、遅いです。

Firefox OSが入り込むスキはここです。