Google Insights for Searchとバイオ業界のSEO

Googleの新しいサービスであるGoogle Insights for Searchの紹介と、バイオ業界において日本語のウェブサイトが必要な理由を解説したビデオです。Google Insights for Searchを使うと、韓国や台湾では英語のウェブサイトで十分かもしれないけど、中国では絶対に中国語のウェブサイトが必要になることがよくわかります。

いまはYouTubeを使っていますが、画質を考えながら、ビデオを今後どのように掲載するかを考えていこうと思っています。

高画質バージョンはここからダウンロードしてください。

Affymetrixの時価総額が611Mドル。ロシュがパクリと一口で買えるレベルだ!

Affy.png
Affy chart.png
Yahoo Financeを見るとAffymetrixの時価総額が611.85M ドルになっていました。
ここのところAffymetrixの株価は急降下なので。

ロシュがNimblegenを買ったときは272.5M ドルを投じているわけですから、Affymetrixの時価総額はその水準に近づいてきたことになります。

ロシュはGenentechを完全子会社化するために 43,700M ドルを用意しているぐらいですから、お金はたっぷりです。

もちろん今後どうなるか、素人の僕にはさっぱりわかりませんが、注目してみていきたいですね。

バイオ業界の広告の費用対効果 (ROI) 推定

バイオの業界ではいろいろな方法で広告などを行って、研究者に製品を買ってもらおうとしています。

当然、効果の高い広告と低い広告があるのですが、どれぐらいの費用対効果(ROI)になるのかは、よく考えてみると、僕がメーカーでマーケティングをやっているときも計算していませんでした。経験とか感覚(これは結構当たっていたとは思いますが)を頼りに、効率の良さそうなものとそうでないものを選んでいたと思います。また一口に費用対効果と言っても、どういうメッセージを伝えたいかによっても大きく変わるので、じゅっぱひとからげに費用対効果を数値化するのも誤解を招くことがあります。

そうは言うものの、一回自分の経験をもとに、非常におおざっぱですが費用対効果の計算結果を紹介したいと思います。

「これはちがう!!」ということもあると思いますので、そのときはぜひコメントを書いてくださいね。

ではいきます。

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費用 問い合わせ数 単価
雑誌広告 ¥200,000 2 ¥100,000
チラシ ¥300,000 200 ¥1,500
バナー広告 ¥50,000 40 ¥1,250
メルマガ ¥150,000 ¥100 1,500
学会展示 ¥300,000 200 ¥1,500

これはとても大雑把な数字ですが、一応この数字を出している根拠を書きます。

雑誌広告

雑誌広告というと、グローバルの本社がNature, Scienceには出すので、Nature日本語版および実験医学などということになります。広告の費用はエー・イー企画のウェブサイトを参考にすれば良いと思います。この価格に加え、広告原稿を作るためにも結構お金がかかりますので、費用はこんな感じになります。

さて効果のほどですが、すばり、雑誌広告を見たと言って問い合わせてきたお客様というのは、何年間かバイオの業界にいて、ほとんど聞いたことがありません。

もちろん広告を見てすぐに問い合わせなくても、何となく記憶に残っていて、徐々にブランドが構築される効果は否定しません。

でも自分自身が研究していたときも、広告が印象に残ったということはほとんどありませんし、極稀に印象に残ったものであっても、そのときにやっていた実験とは関係がなかったので何も買わなかったという経験しかありません。

したがって、問い合わせ数 2 という数字はテキトウに記入しましたが、雑誌広告があまり効果を持たないという意味ではこれはこれで良いのかなと思います。

チラシ

ここで言っているチラシというのは2-3万部刷って、自社の営業にも代理店にも余るほど配っておいて、「ほらばらまいてくれ」と言って配るものを指します。印刷費用もかかりますし、各地の代理店に郵送する費用も結構かかります。それで大雑把にこんな費用になるかと思います。

効果の程度ですが、これは結構あります。ただしチラシを代理店にしっかり配ってもらうためには、何かわかりやすいキャッチと、代理店が配らないでいられない理由が必要です。そしてこれはほとんどの場合、新製品もしくはキャンペーンの案内になります。逆にそうでなければ、ほとんど効果が期待できないというのもチラシの特徴です。また自社の営業担当者が代理店と良好な関係を築けていないと、チラシを配ってくれない、もしくは投げやりに配られてしまうという話もあります。

効果はだいたい100のオーダーになると思います。製品の汎用性やキャンペーンの魅力度などによって数倍はぶれると思いますが、数1,000になることは無いと思います。チラシに対する問い合わせはメーカーよりもむしろ代理店に入りやすいと思いますので、数を把握するのは難しいです。それでもチラシの場合はメーカーに直接入る問い合わせも少なくありません。

バナー広告

これはインターネット上のウェブサイトに貼るバナー広告です。

これもあまり効果がないです。ただ雑誌と違って、同じ効果がないでも、バナー広告の場合はクリックスルーが測定できますので、効果の無さがはっきりします。

そう思っているのは僕だけではないようです。羊土社やネイチャーのウェブサイトはいずれもバナー広告を募集していますが、どちらも開店休業状態に近いかと思います。ウェブサイトを見れば、メーカーのバナーが少ないことがよくわかると思います。

問い合わせ数(クリックスルー数)については、実際にあるウェブサイトにバナー広告を出して、そのクリックスルーをみた結果をもとに書いています。

ちなみにバイオの買物.comでもGoogleが提供している広告をたくさん貼っていますが、これもクリックスルーは低いですね。

メルマガ

メーカーでもメルマガをやっているところは多いですが、これはそれとは別に、第三者のメルマガに広告を載せてもらう話です。大きいところだと、ネイチャーのメールアドレスデータベースのうち、広告を流していいと了解をもらっているアドレスに対して、ネイチャーがメールを出してあげるというサービスがあります。

メルマガはタイトルがどれぐらい魅力的かが非常に重要で、やはり顧客は「サンプル」とか「キャンペーン」によく反応するようです。「セミナー」も効果的だと聞いています。

これも内容によってレスポンス数が大きく変わると思いますが、クリックスルーはやはり100のオーダーではないかなと思います。

学会展示

分子生物学会などの展示場にブースを出して、来てくれたお客様に製品の話をすることをここでは言っています。問い合わせ数というのは、製品のことをちゃんと話せたお客様数と考えると良いと思います。ただの冷やかしとか、景品をもらいたくてくる人も多いので。

ここは「サンプル」とか「キャンペーン」じゃなくても、ある程度ちゃんと製品について話ができます。来るお客様も自分からわざわざ足を運んでくれている人たちなので、メーカー側としては話していても結構楽しいことが多いです。

冷やかしのお客様を除いた数字として200はまぁまぁな数字かと思います。30万円という金額はブースひとこまのサイズなので、中堅以上のメーカーだとその2-3倍になることが多いと思います。

感想・結論

ひとことで言って、高いです。どの媒体も費用対効果は悪いです。インターネットを活用したものであっても、費用対効果は高いと言えないと思います。

いまは媒体側もあまり真剣な活動をしていなくて、費用対効果が高い広告媒体を作ろうという努力が足りないと思います。でもこの状況なので、良い媒体ができればかなりのビジネスがとれると思います。

ちなみに僕はいまGoogleのAdwords (検索連動型広告)を使って、「まとめて抗体検索」に誘導する広告をうっていますが、これの費用対効果 (クリックスルーの単価)はかなりすごいです。あまりにも低くて(つまりクリックスルーが安く入手できる)、ちょっとここでは言えないぐらいです。

ですから、バイオ業界だから費用対効果が悪いというのではなく、どこかやり方が悪いということだと思います。

コスモバイオの製品(抗体)検索システム、移行の不具合(もっとがんばれコスモバイオ!)

コスモバイオ社のウェブサイトに、製品検索システム移行の不具合について解説がありました。

要点は

  1. 製品検索システムを新しくしました。
  2. そうしたらURLが変わりました。
  3. 古いURLをアクセスするとエラーが出ます。
    CosmoBioSearchError.png
  4. なので、古いURLをお気に入りに入れていた人は、新しいURLと入れ替えてね。

と、こんな感じです。

一般の人は「ふむふむ」と納得して、古いURLを新しいURLに変更するかもしれませんが、僕のようにウェブで仕事をしている人からすれば、「ちょっと待て!」という感じです。

だって、古いURLにアクセスした人を新しいURLに自動的に飛ばせば良いだけでしょう?

ウェブ技術に詳しい人であれば、チョチョイのチョイでできることです。
例えばウェブサーバとしてApache2を使っていれば、以下のコードをconf設定ファイルのどこかに入れておけば良いはずです。このような処理はリダイレクションと呼びます。(設定はLeopardでテスト)


  RewriteEngine On
  RewriteRule cosmo_search_p http://search.cosmobio.co.jp/qs/FormArticle.do?ServerKey=Primary&Usq= [R=301]

これをやってしまえば、古いURLでアクセスしてきたユーザであっても、何も気付かずに、変更があったことすら意識することすらなく、新しい検索システムが使えるのに。

コスモバイオの対応のもっと大きな問題

実は、以下に紹介するように、もっと大きな問題があります。
それはGoogle対策です。

Googleは、比較的アクセスが多いサイトについては、下図のように内部リンクも用意して、利用者の利便性を計っています。

CosmoBioGoogle.png

そして、僕が赤く囲んだ「抗体検索」のリンクは、新検索システムに移行してから2週間後の8月18日時点でも、まだ古いURLを指しているのです。

ちなみに「コスモバイオ 抗体検索」でGoogle検索すると、下図のようになります。
CosmoBioGoogle2.png
これもあまりいい状態ではありませんね。

いずれ時間が経てばGoogleも気がついて修正してくれますが、ちょっとしたことで回避できる問題なので、とてももったいないと思います。

さらに非常に技術的に細かい話になるのですが、コスモバイオ社のエラーメッセージページはHTTP status codeの200 「ちゃんとページが見つかりましたよ」というステータスを返しています。一般にエラーページはHTTP status codeの4xxとか5xxを返すのですが、コスモバイオ社のウェブサイトはそうなっていません。このままではGoogleとしてもエラーが起こっていることに気付くことができないので、Googleがちゃんとしたページを示すまでにはかなり時間がかかってしまう可能性があります。
CosmoBioHTTPStatus.png

ちなみに私自身が担当したバイオメーカーのウェブサイトでは、新規リニューアルする際、可能な限り、上記のようなリダイレクションを行いました。心配したのはまさにGoogleの検索結果であって、Googleから来た人が迷わないようにすることが最大の目的でした。

コスモバイオ社はまぁまぁウェブでがんばっていますが、このことを含め、ウェブ技術にあまり詳しくなさそうな点がいくつか見受けられます。もう少しがんばってくれるといいのですが。

もっともこれはコスモバイオ社に限らず、多くのバイオメーカーに共通の問題です。

ちなみに古いURLはhttp://search.cosmobio.co.jp/cosmo_search_p/search_gate2/search/s97is.dll?Action=FormGen&ServerKey=Primary&Template=p_all_search.hts&Usq=、新しいURLはhttp://search.cosmobio.co.jp/qs/FormArticle.do?ServerKey=Primary&Usq=。コスモバイオ社のウェブサイトは「検索命!!」という作りになっていますので(というか、検索以外の方法では決して見つけられない製品が非常に多いという別の問題があります)、もう少しURL自身をきれいにした方がいいようにも思います。これも先ほど紹介した「チョチョイのチョイ」でやれるのですから。

バイオメーカーのための一番効果的なSEO対策

SEOというのはSearch Engine Optimizationの略で、Googleなどで検索したときに、自社ウェブサイトが一番上に表示させるための方法論と対策です。

例えばSCGFに対する抗体を探したい研究者が、Googleで「SCGF抗体」と入力したとします。そうするとこんな検索結果になります。Abcam社の抗体が一番上に表示されます。

そうするとこの研究者はまず間違いなくAbcamの抗体を調べに行きます。GoogleのおかげでAbcam社のSCGF抗体が売れる訳です。

こうやって自社のウェブサイトがGoogleで上位に表示されると、売り上げが伸びそうだというのはよくわかると思います。

さて、どうやれば自社のウェブサイトを上位に表示させることができるのでしょうか?

SEOコンサルタントという業種がいて、彼らは何百万円をもらいながら、キーワードを解析したりしてGoogleでのランキングを向上させるように努力します。しかし、彼らが主に扱っている業界とバイオの業界とは大きく異なります。当然SEO対策も大きく異なります。

そこで、僕がウェブサイトを運用しながら感じている、バイオのためのSEO対策のポイントを紹介したいと思います。

少しだけでも日本語化する

まず、日本人がよく使うキーワードだけでも日本語化したウェブサイトを用意する必要があります。上述のAbcam社のウェブサイトは実際にはほとんど英語なんですが(つまり全く和訳していない)、抗体というキーワードだけは翻訳されています。だから上位に出るのです。

またGoogleは日本語のウェブサイトを優先的に上位に表示します。例えば”real time PCR”を普通に日本からGoogle検索すると、このような結果になります。一方で、US英語圏の人が”real time PCR”で検索すると結果は全然違います。同じ”real time PCR”という言葉ですが、USで上位に表示されていたものが日本語では全然上位に出ません。

バイオの業界だとほとんどが外資ですから、どこのメーカーも英語のウェブサイトならそれなりのものを持っています。それを完全に日本語に訳すことはできないとしても、少しでも日本語化しておくだけで、Googleでの表示位置は全然変わってきます。その日本語かの程度はAbcam社の例を見てもわかるように、ほんの少しだけでいいのです。

検索しなくてもアクセスできるようにする

さて、先のSCGF抗体の話ですが、これはコスモバイオ社でも取り扱っています。日本語のウェブページもしっかり用意されています。

でもGoogleの検索結果にはどこを探しても見当たりません。

その理由は、コスモバイオ社のウェブサイトでは、検索以外の方法でSCGF抗体にありつくことが出来ないからです。Googleは世界中のウェブサイトを巡回していますが、検索キーワードを自動的に入力するという芸当はさすがにできません。ですから、コスモバイオのSCGFについてはGoogleは全く知らないのです。当然、検索しても表示されません。

特に抗体などを扱っているバイオメーカーは、得てしてこのようなウェブサイトを作ってしまっています。ユーザの利便性を考えて検索機能を用意するのはもちろん必要ですが、「Googleの利便性」も考えてあげた仕組みも用意する必要があります。それが検索しなくてもアクセスできるようなサイトマップです。

ユーザ認証はなるべく減らす

例えばBio-Radはユーザ識別機能を盛んに(しかもおかしな方法で)利用していて、Googleに無視されてしまっています。例えばBio-RadのqPCR用の製品に”iQ Supermix”というのがあるのですが、これで検索するとこんな結果になります。つまりうちのバイオの買物.comが一番上で、Bio-RadはQ&Aサイトにしか行きません。Bio-RadのQ&Aサイトから該当製品のカタログサイトにいくことはできませんので、カタログ番号の確認すらできず、とても都合が悪い状況です。製品を買いたいお客様を逃してしまいます。

これがなぜ起こるかというと、ユーザ識別機能のせいです。http://discover.bio-rad.co.jp/をクリックするとBioRadのホームページにいきますが、そのときにURLはすごく変なものになってしまいます。僕はいまやったら、http://www.bio-rad.co.jp/B2B/BioRad/br_community_home.jsp?BV_SessionID=@@@@2044248699.1215668559@@@@&BV_EngineID=cccdadeeiilkdkhcfngcfkmdhkkdfll.0&loggedIn=false&country=JP&lang=Japanese&divName=Life+Science+Research になりました。ここのSessionIDというところにユーザ識別コードが入っているのです。でもGoogleが巡回したときはこのユーザ識別機能がうまく対応しないのです。そこでGoogleは遮られてしまい、結果としてBio-RadのページはほとんどGoogle検索で引っかかってきません。

Q&AサイトがGoogleで引っかかるのは、Q&Aサイトは日本独自のサイトで、個人識別機能がないためです。

海外メーカーのサイトは最近このような個人識別機能などを盛んに利用するようになっています。ネットショップ機能を実装し始めているからです。しかもたぶんとてもプログラミングが下手な業者に頼んだのでしょう。AmazonなんかはGoogleに完璧に引っかかるようにしつつネットショップを実現しているのに、バイオのメーカーはGoogleを遮断してしまっているところが多いです。ロシュもその一つです。Googleの検索からはRocheのウェブサイトのどこかにはいけますが、Fugeneの価格になかなかありつけません。

最後に

大手じゃないバイオメーカーですと、日本支店で独自にウェブサイトを立ち上げたりするのは困難で、英語のウェブサイトに頼ることになってしまいがちです。しかし、それでは非常に多くの顧客を逃してしまいます。

上記の手法は、ほとんど翻訳作業をしなくてもGoogleからの顧客をグンと増やす方法です。人間がやる作業ではなく、プログラムを使った工夫で実現できるものです。

Castle104社ではSEOに課題を抱えるバイオのメーカーのために、それぞれの状況に合わせてカスタマイズされたプログラムを作ることもできます。お悩みでしたら、ぜひ一度、気軽にお問い合わせください。

製品のカテゴリー分け

このブログは、自分で悩んでいることをつらつらと書いたものになるので、まとまりのないものになります。読んでしまってから後悔しないように、あらかじめ断っておきます。

悩んでいるのは製品のカテゴリー分けです。特に製品というよりも、各メーカーが提供している学術資料であるとかをまとめて整理するためのカテゴリー分けです。バイオの買物.comの比較表のところで使うものです。

何を悩んでいるかを解説できるほどに頭が整理できている訳ではないので、まずはバイオの製品カテゴリー分けがうまくいっていない例を紹介しています。

うまくいっていないカテゴリー分け:BioCompare

BioCompareは多数のメーカーの猛烈な数の製品を階層的にカテゴリー分けしています。しかもカテゴリーはかなり細かく分断しています。例えばPCR用の耐熱性DNA polymeraseのところは15のサブカテゴリーに分かれています。

BioCompareトップページ

しかもTaq DNA PolymeraseだけではNativeとRecombinant、さらにdNTPがキットに含まれているものという3つのサブカテゴリーにわかります。いまの例なんて特にそうなんですが、カテゴリーの重なりや独立性にはこだわっていないようで、目的の製品がどこにあるのか、大いに悩んでしまうような分類になっています。

BioCompare Thermostable Polymerases

ユーザの立場から見たらすごくわかりにくいカテゴリー分けですが、実際にデータを入力する立場から考えるとその気持ちは非常に良くわかります。単純な話、階層的にかつ独立性のあるカテゴリー分けというのはほとんど無理な話で、必ず訳が分からなくなるのです。そしていったん訳が分からなくなったら、もう後はずるずると易きに流れて、「えい、どこかにとりあえずしまっておけ」という感じのカテゴリー分けになるのです。

どうしてカテゴリー分けが狂うのか

階層的なカテゴリー分けをしているのは、Biocompareもそうですが、ほとんどのメーカーのウェブサイトがそうです。コスモバイオのようにカテゴリー分けをそもそもあきらめて、検索だけ提供すればいいやと開き直っているメーカーも一部にはありますが、たいていのメーカーはとりあえず製品を階層的にカテゴリー分けします。

インビトロジェンなんかは合併に次ぐ合併をしたせいもあり、全製品を統合してカテゴリー分けするのではなく、とりあえず合併した会社をそれぞれ別々のカテゴリーに分けています。

invitrogen product central

僕がいたロシュも、リアルタイムPCR試薬・機器とその他の試薬が別々のグループに分かれていたので、かなり重なりがあるにもかかわらず、最も上流で枝分かれをしています。

このようにユーザの立場ではなくメーカーの都合でカテゴリー分けをすることによって、カテゴリー分けが狂ってしまうというケースが一つにあります。

もう一つには階層的なカテゴリー分けの限界があります。階層的なカテゴリー分けは、基本的には一つの属性を基準にして、ユーザに複数のものから一つの道を選択させるものです。ですから複数の属性があり、複数の階層にまたがる製品はどっちのカテゴリーに入れることもできず、悩んでしまうのです。例えばBioCompareの耐熱性DNA polymeraseの例では、Pfu DNA PolymeraseとかTgo DNA Polymeraseの他にHigh Fidelity Polymerasesというカテゴリーがありますが、PfuもTgoもHigh Fidelity Polymeraseの一種なので、カテゴリーがおかしくなります。さらにHot StartのPfu Polymeraseも発売されていますが、これはいったいどっちに入ってくるのか、さっぱりわかりません。

それでもBioCompareが階層的なカテゴリー分けをするのは、メーカーの情報を割とそのまま載せているからだと思います。メーカーは印刷物のカタログを作る関係で、必ず階層的なカテゴリー分けをします。その階層化されたカタログをメーカーがBioCompareに渡して、「これを掲載して」と言っている訳ですから、BioCompareも階層的にカテゴリーに突っ込むのが作業的には楽なのでしょう。ユーザにとってはわかりにくくても。

バイオの買物.comの試み

バイオの買物.comでは、BioCompareのようにカテゴリー分けの問題をテキトウに済ますのではなく、WebとかDesktopサーチで使われているようなコンセプトを応用していこうと思っています。BioCompareの製品比較表のカテゴリー分けは意識的に細かくせず、大雑把なところでとどめています。そこからさらに絞り込むためには、カテゴリー分けに頼るのではなく、メタデータ(製品スペック)による絞り込み検索を実行するようにしています。

castle104 query form

 

そしてこれに加えて、そろそろダグというメタデータもつけようと思います。

製品スペック的なメタデータは、ある程度限定された範囲で説明できる機能について、特に数字を比較するときなどに役立ちます。例えばPCRで何キロベース伸びるとか、プラスミドDNAがどれだけ回収できるのかです。でも一方で、非常に広がりがあるものについては弱いです。例えばトランスフェクションが成功した細胞はどれか。この場合は何千という細胞株をスペックに用意するのは大変ですし、そもそも有無だけで抽出する訳ですから、数字の比較はしません。学術資料がどの分野の実験について書かれているか、というのも同様です。ノーザンとかサザン、in situハイブリダイゼーションというのをそれぞれ別々のスペックにしていたらとても大変です。

ということで、取り扱いメタデータによって、スペック的に取り扱うかタグ的に取り扱うかを選べるようにしていこうと思います。

その一方で、いろいろな手法が混在してしまってユーザが混乱してしまわないように、いろいろ工夫しないといけません。これもチャレンジですね。

Railsのacts-as-taggable-onがなかなか良さそうなので、これを使っています。

抗体検索サイト リストと評価

このポストは2008年7月に書いたもので古くなってしまっていますので、随時アップデートするページとしてバイオの買物.comからみた製品検索サイト リストと評価のページを作りました。

バイオの買物.comの「まとめて抗体検索」が大幅にリニューアルしました。最新のウェブ技術とトップブランドの抗体で、「瞬間的」に抗体を見つけてください。
リンクはこちら

この記事を含め、ライフサイエンス研究用製品メーカーのウェブサイトのあるべき姿について書いた記事を特集ページにまとめました。あわせてご覧ください。

以下は2008年7月に書いたもので、内容が古くなってしまっています。ご注意ください。

日本では抗体を検索するときにはコスモバイオ、フナコシなどのウェブサイトを利用することが多いかと思います。でもこの2社は、日本に支店を持っていないような小さい抗体メーカーばかりを扱っているので、BD Pharmingenのような大手は引っかかりません。

コスモバイオ、フナコシ、試薬.com、バイオ百科など、みんな同じです。どれも小さい抗体メーカーのみ扱っています。

大手メーカーも小さいメーカーも全部まとめて検索してくれるサイトが欲しくありませんか?

僕が運営しているバイオの買物.com まとめて抗体検索はこれを目指したものになっています。でもその話をする前に、アメリカの抗体検索サイトと日本の抗体検索サイトについて紹介したいと思います。

アメリカの抗体検索サイト

アメリカではメーカー直販が一般的ですので、コスモバイオ,フナコシ、試薬.com (和光純薬系列)のような輸入販売代理店は存在しません。その分、小さい抗体メーカーは自社製品をPRするのに苦労します。そういうこともあってか、良質の抗体検索サイトがあります。そしてBD Pharmingenのような大手もこれらの抗体検索サイトに登録しています。

抗体を製造しているメーカーは非常に多く、The Antibody Resource Pageというウェブサイトに300社以上がリストアップ(リスト1, リスト2)されています。

メーカー横断的な抗体検索サービスを提供しているウェブサイトとしては

  • Biocompare Antibody Search: ここは抗体だけでなく、バイオ研究関連の非常に多くの製品を掲載していますが、中でも抗体検索が役に立ちます。大手メーカーの製品もばっちり検索されます。使い方について、ライフサイエンス統合データベースセンターの統合TVに紹介されています。
  • ExactAntigen: ここは登録だけでなく、ロボットでメーカーウェブサイトを自動的に巡回しています。メーカーだけでなく非営利団体や大学研究室の抗体までも含めて22,000のモノクローナル抗体を掲載しています。大手メーカーもばっちりです。また抗体のレビューも用意されています。詳しくはAbout ExactAntigenから。
  • Antibodies Online: ここは小さな抗体メーカーをたくさん集めて、オンラインでの販売も行っているウェブサイトです。大手のメーカーは登録されていません。出荷と請求はやらないので、ヤフオクのようなサイトと言ったところでしょうか。

日本の抗体検索サイト

日本では基本的にメーカー横断的なウェブサイトはバイオ百科、そして僕が提供しているバイオの買物.comだけだと思います。バイオの買物.comはBiocompareのシステムを利用しているので、大手を含めてほとんどの製品が登録されていますが、バイオ百科はコスモバイオ、フナコシ、DSファーマ、アブカムの販売している抗体のみを掲載しています。

ただし日本では比較的大きな輸入販売元が、世界中の小さい抗体メーカーの製品をまとめてくれているので、以下の輸入販売元のホームページからたくさんのメーカーの抗体を検索することができます。ただし大手メーカーの製品は登録されていません。

最後に感想

日本の抗体検索サイトは、現時点ではコスモバイオ、フナコシや和光などの輸入販売元がほぼ独占しているような状態です。でも、これらの輸入販売元は、ほぼ間違いなく米国価格の2-3倍の価格設定をしています。そして国内に支店があれば責任を持ったサポートや値引きなどもしてくれますが、輸入販売元だとそれもなかなかしてもらいにくいです。

ですからこのような輸入販売元が、日本市場であまり強い力を持つのは好ましくないと思います。

それに対してBiocompareやExactAntigenの日本版のような横断的抗体検索サイトがあれば、日本の研究者は輸入販売店が取り扱っている製品だけではなく、日本支店がある大手メーカーの抗体も効率よく見つけることができます。おかげでよりよいサポートやサービスを受け、より安価に抗体が購入できるようになるでしょう。

バイオの買物.comが目指しているのはこの方向です。

学術資料が退化している?

世の中は進化するべきで、退化していってはならない。
自分の後の世代には、より良い世界を引き渡してやりたい。

当たり前のように思うことです。

しかし、バイオの業界では一部で退化が始まっている気がしてなりません。

例えばABI社を買収して、バイオ業界のリーダーとして役割がますます期待されるインビトロジェン社。インビトロジェン社の刊行物のページを見てみると、学術的な刊行物は日本語翻訳をやめていることがわかります。

以前はFOCUSという製品情報紙を少なくとも日本語に要約していましたが、最近のQuestやBioProbesは英語だけを載せるようになってしまっています。いま日本語で定期発刊している雑誌は、BioHighwayという単なる製品プロモーション集です。実験データや技術情報を載せたものを翻訳することは、2003年にやめてしまっていようです。

そういう問題を顕在化させて、各メーカーが日本におけるサポートを充実させるインセンティブを与えるために、各メーカーの学術資料の比較表をバイオの買物.com上に準備しています。まだしばらく準備に時間がかかりますが、ご期待ください。

携帯サイトの犯行予告は自動検索技術では見つけられず

Asahi.comの携帯サイトの犯行予告、自動検索に技術の壁 秋葉原殺傷の中に、今後の自動検索技術の進むべき方向がはっきり表現されていると思います。

現存の自動検索技術を地図と連動させたり、図書やニュースを検索したり、ブログを別に検索したりなど、いろいろなことが行われています。でもそのベースとなっている文章解析技術がまだまだ全然貧弱です。基本的にはキーワードだけを拾って何が書いてあるかを類推し、それにリンクなどによって重みづけをしているわけですから。

どこかの大学で研究されているかもしれませんが、真に役立つ文章解析技術が生まれてくれば、いままでとは全く別の、とてつもなく便利なインターネット社会になってくると思います。

ちなみにBioinformaticsでは膨大な文献情報を自動的に理解し、整理するための構文解析技術が研究されていますよね。有名な論文がどれかはわかりませんが、Googleをするとこんなものが見つかります。
Annotating protein function through lexical analysis

ページビューの誤差、バイオの買物.comでは20倍

以前のブログエントリーでページビューによるウェブサイト人気比較の問題点を指摘しました。

そのときはまだバイオの買物.comのアクセス数をあまり解析していませんでしたので、その誤差がどれぐらいあるかを書きませんでしたが、さっき計算してみましたので紹介します。

結果:
6月の第1週(平日分)の解析結果では、
ページビューで、Webalizer : Google Analytics = 20 : 1
ビジター数で、Webalizer : Google Analytics = 3 : 1

上の結果は平日だけですが、週末にはページビューでは70倍ぐらいの誤差になります。

最大の原因はロボットによるウェブアクセスです。Yahoo, Google, MSNをはじめ、多数の検索サイトはインターネット中にロボットを走らせ、自動的に各ウェブサイトをくまなく調べているのです。そのアクティビティーは凄まじいものがあります。

そういう問題があることを承知の上で、一応Webalizerの解析結果で計算すると、バイオの買物.comは毎月23万ページビューあることになります。意味の無い数字ですけど、数字だけ見るとなんだか立派に思えます。

広告を募集している世の中のウェブサイトは、どこもページビューの多さをPRしていますが、そのページビューをWebalizer的に計算したのか、それともGoogle Analytics的に計算したのかを示していません。ですから、そのウェブサイトが本当に人気があるのか、それとも単に数字のマジックなのかどうかはわかりません。

でも、そのウェブサイトがセッション数(ビジター数)を公開していれば、ある程度の見当をつける方法があります。

それを解説するために、バイオの買物.comのアクセス解析の中で、ページビューをセッション数で割り算した数字を比較してみます。

  • ビジターあたりの平均閲覧ページ数、Webalizer = 20, Google Analytics = 2.5

なぜこのような差が生まれるかというと、ロボットは短時間で多数のページを閲覧するため、ビジターあたりの平均閲覧ページ数を押し上げる傾向にあります。それに対して顧客が閲覧するときは、興味のある数ページしか見ないことがほとんどなので、だいたいどこのウェブサイトでも5未満の数字になります。

そこで一つの目安として、ビジターあたりの平均閲覧ページ数が5を大きく超えているサイトはWebalizerのような解析ツールを使っていると考えていいと思います。そしてそのような場合はページビュー数自体も一桁ぐらい、ロボットによって水増しされていると考えていいと思います。

そこでもう少し世の中の状況を見るために、日経BPのBiotechnology Japanの資料を見てみました。

アクセス解析結果のことがあまり詳しく書いていないのですが、ヒントになる数字が2つありました。

  • 2006年3月に150万ページビューを突破
  • 月間ユニークブラウザー数 74,244 (2006年3月)

さて、僕はBiotechnology Japanに直接問い合わせた訳ではないので、間違っているかもしれないとあらかじめ断っておきますが、僕がここから読み取るのは以下のことです。

  1. 2006年3月は150万ページビュー、74,244セッション
  2. 単純に割り算すると、平均閲覧ページ数は20.2ページ
  3. 平均閲覧ページ数はバイオの買物.comのWebalizer解析結果とほとんど同じです。したがってBiotechnology JapanはWebalizer的なアクセスログ解析をしたと思われます
  4. Biotechnology Japanの場合は日々のニュースが非常に多く、恐らく数十万ページからなる巨大なウェブサイトになっていると思われます。ロボットはすべてのページを閲覧しようとしますので、そのためロボットによる影響はバイオの買物.com以上と考えていいと思います
  5. したがって、Biotechnology Japanの全体のページビューのうち、9割以上はロボットによると推測できます
  6. 総合すると、人間によるページビューはおおよそ10万と推測されます。残りの140万ページビューはロボットによると思われます

もちろん、僕は本当の数字を知りませんので、全然間違った結論を導いているかもしれません。でも、自分自身が研究者として働いていたときの印象からして、これはそんなに外れた数字ではないんじゃないかなと思います(要するに、研究者はあのウェブサイトをあんまり見ないと思うよという意味)。