カタログの著作権について

Copyrightバイオの買物.comではメーカーのウェブサイトから情報を収集し、それを集約した上でカテゴリー分けなどを独自に行い、バイオの買物.comのウェブサイトに掲載しています。

このとき、当然気になるのは著作権の扱いです。

このブログでは、我々が著作権の問題をどのように考えているかを紹介したいと思います。

直リンクの問題

社団法人 著作権情報センターのウェブサイトの中にずばり回答があります。

結論を先にいえば、リンクを張ることは、単に別のホームページに行けること、そしてそのホームページの中にある情報にたどり着けることを指示するに止まり、その情報をみずから複製したり送信したりするわけではないので、著作権侵害とはならないというべきでしょう。

「リンクを張る際には当方に申し出てください」とか、「リンクを張るには当方の許諾が必要です」などの文言が付されている場合がありますが、このような文言は道義的にはともかく、法律的には意味のないものと考えて差し支えありません。ホームページに情報を載せるということは、その情報がネットワークによって世界中に伝達されることを意味しており、そのことはホームページの作成者自身覚悟しているとみるべきだからです。リンクを張られて困るような情報ははじめからホームページには載せるべきではなく、また載せる場合であっても、ある特定の人に対してのみ知らせようと考えているときは、ロック装置を施してパスワードを入力しなければ見られないようにしておけばよいだけのことではないでしょうか。

ただしリンクを張ってたのウェブページに移動するのと、iFrameタグなどを使ってたウェブページの情報が自分のホームページのフレームに取り込まれるのは別の話のようです。

したがってバイオの買物.comでは、利用者の利便性を考慮して可能な限り直リンクを使用しています。

メーカーの製品情報は著作物にあたるか

著作権法10条2項は「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第1号に掲げる著作物に該当しない」と規定しています。

また社団法人 著作権情報センターのウェブサイトでは「標語、キャッチフレーズのようなものが著作物として保護されるかどうかは、一概にいえませんが、通常は保護されないと考えられます。」(標語、キャッチフレーズ、題名などは著作物になりますか?)や「異論もあるでしょうが、一般には見出し自体は著作物に該当しないと考えられるケースが多いのではないでしょうか。」(新聞記事の見出しの著作権)の記載があります。

このことを根拠に、製品名、容量、価格、保存方法など、製品の基本的な属性を紹介した文章については著作権は無いとバイオの買物.comでは考えています。また製品を紹介した文章は場合によっては著作物になる可能性があると考えていますが、この場合は連絡をいただければ製品紹介の記述をバイオの買物.comに掲載しないようにいたします。

キャンペーン、セミナー、その他のニュースについても同様に考えています。

検索を目的とした情報収集や著作物の複製は著作権の侵害にあたるか

社団法人 著作権情報センターのウェブサイトのQ&Aの中に「このことが将来におけるインターネット情報社会の萎縮要因にもなりかねないとの懸念から、平成21年の法改正により、当該サービスを提供する目的のために必要と認められる限度において、権利者の許諾を得ることなく自由にできるようになりました。」とあります。法改正は著作権法第47条の6を指します。

(送信可能化された情報の送信元識別符号の検索等のための複製等)
第四十七条の六 公衆からの求めに応じ、送信可能化された情報に係る送信元識別符号(自動公衆送信の送信元を識別するための文字、番号、記号その他の符号をいう。以下この条において同じ。)を検索し、及びその結果を提供することを業として行う者(当該事業の一部を行う者を含み、送信可能化された情報の収集、整理及び提供を政令で定める基準に従つて行う者に限る。)は、当該検索及びその結果の提供を行うために必要と認められる限度において、送信可能化された著作物(当該著作物に係る自動公衆送信について受信者を識別するための情報の入力を求めることその他の受信を制限するための手段が講じられている場合にあつては、当該自動公衆送信の受信について当該手段を講じた者の承諾を得たものに限る。)について、記録媒体への記録又は翻案(これにより創作した二次的著作物の記録を含む。)を行い、及び公衆からの求めに応じ、当該求めに関する送信可能化された情報に係る送信元識別符号の提供と併せて、当該記録媒体に記録された当該著作物の複製物(当該著作物に係る当該二次的著作物の複製物を含む。以下この条において「検索結果提供用記録」という。)のうち当該送信元識別符号に係るものを用いて自動公衆送信(送信可能化を含む。)を行うことができる。ただし、当該検索結果提供用記録に係る著作物に係る送信可能化が著作権を侵害するものであること(国外で行われた送信可能化にあつては、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものであること)を知つたときは、その後は、当該検索結果提供用記録を用いた自動公衆送信(送信可能化を含む。)を行つてはならない。

この法改正により、メーカーの製品情報のうちで著作物に相当する部分についても、ある程度はバイオの買物.comで承諾無く使用可能だと判断しています。

ただしメーカーの製品情報の内容の詳細さはメーカーごとに大きく異なり、「当該サービスを提供する目的のために必要と認められる限度」をどう判断するかは難しいと考えています。したがって連絡をいただければ、著作権に関わる記述をバイオの買物.comに掲載しないようにする形で対応します。

情報収集そのものは著作権の侵害にあたるか

平成21年の法改正で以下のように記されています。

第四十七条の七

著作物は、電子計算機による情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類その他の統計的な解析を行うことをいう。以下この条において同じ。)を行うことを目的とする場合には、必要と認められる限度において、記録媒体への記録又は翻案(これにより創作した二次的著作物の記録を含む。)を行うことができる。ただし、情報解析を行う者の用に供するために作成されたデータベースの著作物については、この限りでない。

つまり情報収集や解析・加工し、製品をカテゴリー分類するなどの目的に使用することは問題無いとされています。

まとめ

上記の著作権に関する考察から、バイオの買物.comで行っている活動、つまりメーカーなどのウェブサイトから情報を収集・集約して整理する活動は、著作権法による制限を概ね受けないと考えています。

ただしバイオの買物.comが目指すのは、研究者とメーカーの双方に取ってメリットのある仕組みです。もし我々の活動が研究者もしくはメーカーの利益を損ねているのであれば、その活動を続ける意味はありません。

もしも我々の活動が研究者もしくはメーカーの利益を損ねているのであれば、著作権法に関わらずご連絡ください。協議の上、適切な対処方法を考えたいと思っています。

He cared!

Steve Jobs:「どうしてアップルに帰ってきたの?」という質問に対して

When I was trying to decide whether to come back to Apple or not I struggled. I talked to a lot of people and got a lot of opinions. And then there I was, late one night, struggling with this and I called up a friend of mine at 2am. I said, ‘should I come back, should I not?’ and the friend replied, ‘Steve, look. I don’t give a fuck about Apple. Just make up your mind’ and hung up. And it was in that moment that I realized I truly cared about Apple.

この話を理解するには、当時のアップルの状態を理解しないといけません。

アップルは本当にひん死の状態で、あまりのひどさにSteve Jobsが直後に所有していたApple株を売っぱらったという話もあるぐらいです。DELL CEOのMicheal Dellも会社を清算することを勧めていました。

二十歳の頃に創業した会社なのに追い出され、今にも破産しそうにされてしまって、そして戻るべきなのかどうか深夜まで悩まなければならないなんて….。心が痛みます。

あなたの会社の社長は、あなたの会社のことを心から思ってくれていますか?

普通、思ってないですよね

東芝のルンバもどき(スマーボ)はなんであんなに高いんだ?

アップデート
少しGoogleで調べたら、iRobotは特許を積極的につかって競合をかなり牽制しているようです。
東芝がこれだけセンサーを使ったりしているのは、恐らくは特許回避のためでしょう。
iRobot Settles Patent and Copyright Infringement Lawsuit to Protect Roomba Floor Vacuuming Robot

Ah robo東芝が2つのCPU、38個のセンサー、カメラなどを搭載したロボット掃除機(名前は「スマーボ」。要するに「ルンバ」もどき)を10月1日に発売するそうです。実売予想価格は9万円前後。月次販売目標は5,000台だそうです(正確な数字はわかりませんが、それに対してルンバはおそらく2010年で年間10万台を販売)。

この掃除機、何がすごいかというと価格がすごい。これでルンバの半分ぐらい売れるかもという販売予想の大胆さもすごい。

Amazonで”roomba”を検索してみるとわかりますが、ルンバは¥34,780のルンバ530から¥82,800のルンバ780まであります。新しい東芝のロボット掃除機スマーボは、後発でありながら最上位機種よりも高い9万円のモデルだけを用意します。

数年経った後の後発メーカーなのに、うんと高い。常識では考えられないマーケティング戦略です。常識的に考えれば売り上げ目標は大幅未達で終わるでしょう(だから半年ぐらい待てば、在庫処分の大安売りがあるかも)。

何でこうなってしまったのでしょうか。 Continue reading “東芝のルンバもどき(スマーボ)はなんであんなに高いんだ?”

HPがPCビジネスを分離(売却)を検討するという話で思うこと

HPがPCビジネス分離を検討しているということで、いろいろ思うことをリストアップします。調査はまだあまりしていないのですが、懸念はたくさんあります。

そもそも何のためにHPはCompaqを買収したのだろうか

  1. HPは2002年にCompaqを買収したおかげで世界一のパソコンメーカーになりました。でも利益率は低く、こうして10年もしないうちに売却を検討されてしまうようになりました。HPはいったい何が目的でCompaqを買収したのでしょうか。その目的は果たせたのでしょうか。
  2. 2002年のCompaq買収を強引に押し進めたのは当時のCEOのCarly Fiorina氏。HPを退職した後はいろいろなところで取締役をやって、いまは共和党政権で政治活動をしています。僕自身も何回か転職をして思いましたが、採用で重視されるのはもっぱら経験の有無であって、やったことが成功したか否かは不問に近いです。その傾向は幹部になればなるほど強いのでCarly Fiorina氏はまだ元気ばりばりです。

HPのPCビジネスを買うのは誰か

  1. PC市場は先進国では停滞しているので、買収する企業は発展途上国市場へのアクセスが強いところに限定されるでしょう。LenovoがIBMのPCビジネスを買収したのと同じ構図です。
  2. IBMがPCビジネスを2004年に売却したのも今回と理由は同じで、PCビジネスは利益率が低く、今後の大きな成長が見込めないと考えたからです。そのときの額は12億5千万ドルだったそうです。2004年の時にも既にPost-PCは言われていませんでしたが、脅威となる具体的な製品はまだ見えていませんでした。それから7年間。iPhoneが登場し、Netbookも一時的に流行し、そしてiPadが爆発的に売れました。12億5千万ドルだって決して高額ではありませんが(例えばGoogleはMotorolaを10倍の125億ドルで買収しました)、それよりもかなり安い価格でPCビジネスが売却されるでしょう。

HPの戦略は何だろう

  1. HPは表向きにはITサービスはソフト事業の強化を挙げて、今回のPCビジネス売却検討の理由としています。しかしプリンタ事業はしっかり残すようです。つまり今回の話は、本当の意味での戦略的な選択と集中ではなく、単に利益率が低いビジネスを切り捨てるというものです。もちろん株主としては合理的なやり方ですが、ビジョンを持ったやり方だとは思えません。
  2. そもそもなんでプリンタ事業は儲かるのでしょうか。2000年頃はいろいろなイノベーションがあってインクジェット式のプリンタが登場してきましたが、あれ以来、新しい話はほとんど聞きません。有名な話ですが、キャノン共々、特許で新規参入を徹底的に排除し、そして高額なインクを売って儲けているのがプリンタ市場です。消費者から利益を搾り取っているだけのビジネス、早くiPadなどでPaperless化が進んでくれたり、みんなが年賀状を出さなくなったりしてくれればイチコロのはずですが。。。

Appleはなぜ成功しているのだろうか

  1. HPがPCビジネスから撤退すれば、米国メーカーはDELLとAppleだけになります。特にAppleは絶好調で、Macは先進国でもぐんぐん売り上げを伸ばしています。いったいAppleの何が良かったのだろうか、考えさせられます。
  2. そのApple。大変な業績不振で1997年頃には破産の危機が迫っていました。アナリストはほぼ全員、Appleのビジネスモデルが間違っていると断じ、Wintel連合のようになるべきだと主張していました。つまりAppleはOSとハードウェアを切り離し、ハードウェア専業メーカーの活力を活かすべきだとしていました。Appleは結局その正反対のことをやり、クローンメーカーを排除し、ソフトとハードの垂直統合を強めていきました。全員が言っていたことの正反対をやったら大成功したというのは、非常に大きな意味があります。

他の業界への示唆

  1. 製造業がアジアにシフトしていくのはPC業界だけではなく、他のいろいろな市場でも起こっています。ですからここで起こっていることを他の業界に当てはめることはできそうです。
  2. PCを含めたIT業界について言えば、製造は既にアジアにシフトしていました。Appleの製品(少なくとも日本市場向け)はずいぶん前からシンガポールや中国などで製造されていましたし、DELLやHPにしても同様でしょう。HPがPCビジネスから撤退するのは、人件費が安いアジアに製造業が移るのとは全く話が違いします。
  3. むしろPCビジネスがアジアにシフトするのは、成長率の高い市場がアジアに集中しているからです。メディアで話題になりやすいのは人件費の問題です。しかし実際には、業界による程度の差こそあれ、製造業がアジアにシフトしているのはアジア諸国の購買力が牽引しているからです。
  4. AppleのMacが元気なのは、先進国市場で魅力のある製品が作れているからです。家には古いパソコンがあるけれども、新しいMacを買ってみたい。そういう気持ちにさせる製品を作っているからです。
  5. それに対してHPやIBMなどが作っていたWindows PCは先進国で買う人がなくなってしまいました。家に古いパソコンがあるし、新しいWindows PCと大差なくインターネットにつながるみたいだから買うのはやめておこう。Windows PCはそういう製品が多くなってしまいました。
  6. 一方で発展途上国の人はいままでパソコンを持っていない人が主な顧客です。インターネットにつながりたいからパソコンを買うのであって、それさえできれば安いものがいいのです。
  7. 総括すると、最低限のこと(インターネットにつなげること)以上の魅力を見せているのがMac。それができていないのがWindowsです。だからMacは先進国でも売れ、Windowsは発展途上国でしか成長できないのです。(もちろん先進国でもインターネットさえできればいいという人はたくさんいますのでWindowsは売れます。しかしもう成長しないのです。)
  8. 他の業界でも同じです。テレビでも車でも何でもそうだと思います。製造業が先進国に残るためには、先進国での市場が拡大し続けるか、あるいは古い製品を超えた魅力を常に提供し続けることが必要です。要するにイノベーション。

GoogleのMotorola Mobility買収と絡んで

  1. Motorola Mobilityの事業も将来はこうやって売却されるのねって思ってしまいました。

GoogleがMotorola Mobilityを買収したことで思うこと

GoogleがMotorola Mobilityを買収する計画を発表し、いろいろな考えがウェブで交錯しているようです。

僕自身はまだ十分に考えをまとめている訳ではありません。しかしこの買収、あまりGoogle社内で熟慮されていないように感じられるのが非常に気になります。

気になることをとりあえずリストアップしておきます。

Motorolaを買収してもAndroidの知的所有権の問題が解決されない可能性がある

  1. Google CEOのLarry Pageは声明の中で、Androidを知的所有権関連の訴訟から守ることが大きな役割であるとしています。
  2. しかし本当にMotorolaを買収することよってAndroidに対する訴訟で有利になるのでしょうか?どうも不透明な気がします。僕が最も参考にしているFoss Patents Blogでも、訴訟で有利にならないという立場をとっています($2.5 billion Google-Motorola break-up fee reflects sellers’ concern and buyer’s desperation, First reaction to Google/Motorola announcement, Oracle v. Google update: summary judgment pressure and Motorola Java license fallacy)。

Googleは退路を断った

  1. GoogleがAndroidを捨て、検索と広告に再度集中する戦略はいままでは合理的な選択肢の一つでした。しかしMotorolaの買収により、Googleはもはや後戻りができなくなりました。多数の特許紛争を抱えるAndroidが大コケする可能性は決して少なくありませんが、そのAndroidと運命をともにする決断をGoogleの経営陣は下しました。これはGoogleの根幹である検索と広告のビジネスを危険にさらす覚悟があるということです。
  2. PCの世界ではMicrosoftとAppleだけがOSを作っています(Linuxは除く)。それでもGoogleはPCからの広告収入に全く困っていません。同様に考えると、GoogleはAndroidがなくてもモバイルから多くの広告収入が得られそうです。ここまでして退路を断ち、根幹のビジネスを危険のさらす必要が本当にあるのか、かなり疑問に感じます。
  3. GoogleはMotorolaを買収したことによって、Android Phoneの売り上げに直接責任を持つようになりました。いままではAndroid Phoneが売れようが、iPhoneが売れようが、あるいはWindows Phoneが売れようが、ブラウザがある限りGoogleの売り上げにはプラスでした。しかし今度はAndroid Phoneが売れない限り、Motorolaの売り上げは落ち込みます。つまり今までのGoogleの売り上げはAndroidの成功失敗とは直接連動していなくて、Androidが大コケをしたところでGoogleの売り上げには響きませんでした。しかしMotorolaを持っていることで、GoogleはAndroidの浮沈に直接影響を受けます。
  4. Motorolaにしても、今までは仮にAndroidが失敗してもWindows Phoneに乗り換えれば良かっただけです。Androidがコケても、大きな問題ではなかったのです。実際にWindows Phoneの検討を始める動きも見せていました。しかしGoogleに買収されたことによってMotorolaはこのようなリスク分散ができなくなりました。MotorolaもまたAndroidに集中することを余儀なくされ、退路を断たれた格好になりました。
  5. 結果としてAndroidの浮沈に直接影響を受けていなかったGoogleとMotorolaの両社が、今後はAndroidと運命をともにすることになります。

Samsung, HTCなどのAndroid離れが加速され、Windows Phoneへの移行を真剣に検討することはほぼ確実となった

  1. 今の特許紛争を考えれば、SamsungとHTCがAndroid以外にWindows Phoneを取り入れることはどっちみち必然ではありました。それでもまだまだAndroidを主力と位置づけるだろうと思われました。しかし今回の買収によって、Android離れが加速することは確実です。
  2. Motorolaの持っている特許によってAndroid陣営の立場が強くなり、AppleやMicrosoft, Oracleなどからの訴えに対抗できるようになるという議論はあります。ただこれで各パートナーメーカーが安心するかは甚だ疑問です。
  3. 結果としてAndroidの成長は今年までではないかと思います(少なくとも先進国では)。各メーカーはWindows Phoneに本腰を入れていくでしょう。

どうしてGoogleはパートナーメーカーが嫌がるの承知の上でMotorola買収に踏み切ったのか

  1. 知的所有権に関する訴訟の問題で、Googleがワラをも掴む思いだった可能性。Androidが販売差し止めにされてしまっては、パートナーメーカーもへったくれもありません。それぐらいの思いでGoogleがMotorolaの買収に踏み切った可能性があります。
  2. Appleのような垂直統合が必要だと考えた可能性。しかしAndroidのマーケットシェアだけ考えると、水平分業でもうまくやっていけそうに思えます。これだけ大きな賭けをしてまで買収に踏み切るほどの理由にはなりません。

Motorolaはどうなるか

  1. 今までのMotorolaの経営陣が優秀だったとは思いませんが、このような形で買収が行われると、Motorolaは数年間リーダー不在の状態になると予想されます。
  2. まずMotorolaでリーダーシップを持っていた人間が社外に逃げる可能性が高いこと。それと残ったリーダーもGoogleの様子をうかがいながら判断をしていくことになるので、明確な決断を下しにくいこと。Motorola社内でこの2つのことが起こるでしょう。これが事実上のリーダー不在な状況を作り出します。一寸先が読めないモバイルのビジネスではリーダー不在は致命的です。
  3. リーダー不在な状況を作り出さないために、Motorolaの現在の経営陣に代わるリーダーシップチームをGoogleは遅くとも半年までの間に整えなければなりません。新しいリーダーシップチームはMotorolaの新しい戦略を明確に描いていないといけません。Googleがこのようなチームを短期間で作れるかどうか如何で、Motorolaビジネスの浮沈がかかっています。危惧するのは、Googleはそれどころではないことです。訴訟への対応に追われ、Motorolaの戦略はおざなりになる可能性が非常に高いと感じています。
  4. 結果として、Motorolaのビジネスは来年から大きく売り上げを落とすでしょう。SamsungやHTCにどんどんシェアを持っていかれそうです。

僕が予想するシナリオ

今後どのような展開になるのか、勝手に予想してみます。

  1. Googleは当初発表した声明どおり、Motorolaを特別扱いすること無く、パートナーメーカーを大切にした立場を取るでしょう。一方でMotorolaはリーダー不在の状況に陥り、SamsungやHTCに対抗し得るヒット商品が出せず、一気に売り上げが落ちるでしょう。
  2. GoogleはMotorolaの知的所有権を引き継いだものの、Apple, Oracleとの訴訟では劣勢が続くでしょう。いくつかの国や地域でMotorolaの製品そのものが販売できない状況が生まれるでしょう。
  3. Googleはこの状況を受けてAndroidを捨てるものの、携帯電話用OSの開発をあきらめることができないでしょう。そこでChromeOS的なモバイルOSの開発をはじめるでしょう。ちょうどMozilla Foundationが発表したBack to Geckoのようなプロジェクトのなりそうです。ただその頃にはWindows Phoneも普及し始めているでしょうから、この新しいOSは全くメーカーに採用してもらえないでしょう。
  4. SamsungやHTCなど、Smartphoneの大手メーカーは単純にWindows Phoneに移行するでしょう。iPadに対抗するタブレットの開発も行うでしょうが規模は縮小され、本腰を入れるのは自社のOS(例えばSamsungのBada)を待つか、あるいはWindows 8を待つことになるでしょう。現時点でiPadに対抗するのは無理だという判断を下すと思います。
  5. Googleにとって最も危険なのは、ビジネスの根幹である検索と広告を脅かされることです。Androidビジネスが経営資源を検索&広告から奪っているとしたら、これは大問題です。ただGoogle + Motorolaという会社では、社員の大半がAndroidに関わる可能性だってあります。未だに有力な対抗馬は見えませんが、Googleが検索と広告でのリーダーシップを失う危険性は現実味を増してきていると感じています。

AndroidがEUで意匠権侵害で販売仮差し止めになって思うこと

GoogleのモバイルOS Androidが特許を侵害しているとして非常に多くの訴訟に巻き込まれ、またSamsungがGalaxy TabおよびGalaxy S IIで意匠権を侵害しているとして販売差し止めの訴えをAppleより起こされていることは、このブログで何回も取り上げています。

8月9日にはEUでSamsung Galaxy Tab 10.1がEUで販売仮差し止めになったということが報じられ、8月1日には同様の判断がオーストラリアでもくだされましたヨーロッパではMotorola Xoomも同じく意匠権で販売差し止めの訴えを起こされているようです。

一方でGoogleはこのような特許訴訟がイノベーションを阻害しているとブログで訴えています。ただGoogle自身が強力な特許に守られながら大きくなった会社であることや、特許以外の知的所有権に対するGoogleの姿勢にも甚だ疑問があることなどをあげて、Googleは単に自分に都合の良いことを言っているだけではないかという意見もあります。

携帯電話やソフトウェアに関する特許は確かに複雑なようで、各製品には多数の特許が含まれ、メーカーは互いに複雑なクロスライセンスをしているという現状はあるようです。そもそもソフトウェアには特許を与えるべきではないという議論もあるようです(私自身はその根拠が理解できませんが)。

さて私自身は製薬企業にいるときに、間接的に出はありますが、1990年代の半ばの遺伝子特許の問題を見てきました。この時代はシーケンス技術の発達のおかげでヒトゲノムプロジェクトなどが本格的に開始された時期です。それまでの時代と大きく変わったのは、A) 生命現象があって、それからその原因となっている遺伝子を特定するという研究のやり方に変わって、B) まずはシーケンスを闇雲にやり、遺伝子を片っ端から解読し、配列から有望そうだと推定されたものについて生命現象との関係を探っているというやり方が台頭してきたことです。いわゆる逆遺伝学(reverse genetics)と呼ばれる手法です。

しかしB)のreverse geneticsを行う際に、最後まで遺伝子と生命現象との関係を見つけるのは意外に困難です。1990年代半ばはRNAiもまだ知られていませんでしたので、ほ乳動物の細胞で遺伝子を欠損させるにはノックアウトマウスを作るしかなかった時代です。したがって現実的にせいぜいできることは、細胞に遺伝子を強制発現させることぐらいでした。遺伝子はいくらでも見つかるのに、その機能がわからないというものが山ほど出てきました。

それでも製薬企業にいる以上、見つかった遺伝子の特許が早く取りたいのです。でも特許は「有用性」が言えないといけません。そこで遺伝子配列からバイオインフォマティックスで導かれた推定機能だけで特許を申請してしまう企業も多く現れました。

果たしてそんないい加減な特許(つまり「有用性」がしっかり書かれていない特許)が成立してしまうのか。法律の世界は簡単に白黒がつくものばかりではないので、企業としては非常に不安でした。多分成立しないと思うけど、成立したら大変なことになってしまう。関係者はそんなことを案じていました。

なぜそんなに不安になるかというと、遺伝子配列そのもので特許を取られてしまうと、特許を所有している企業が非常に有利になると考えられていたからです。特許を申請するときは可能な限り多くの権利(クレーム)を書くことが当たり前のことですが、当時の遺伝子特許には i) その遺伝子配列から生産されたタンパク質はもちろんのこと、ii) そのタンパク質に結合する他のタンパク質を免疫沈降などで発見する実験、iii) そのタンパク質と結合する化合物(医薬品候補)をスクリーニングする実験さえもクリームされていました。したがって遺伝子配列の特許を持っていれば、他の製薬企業がそのタンパク質に作用する医薬品を発見したとしても(それがどんな方法で見つけたにせよ)、ほぼ特許侵害で訴えることができる訳です。

実際に遺伝子特許問題がどのように収束したかは、私もほどなくしてその分野から去ってしまいましたので詳しくは知りません。まだいろいろな問題が残っているという印象は受けています。

ただそういう問題を見てきた人間として感じるのは、ソフトウェア特許以外にも特許制度は非常に難しい問題を抱えているということです。もちろん独創的な発見やイノベーションを行った個人や企業は多いに奨励されるべきですし、特許のような強力な独占権を与えることも場合によって必要だとは思います。しかし科学技術の発展が速いだけに、また様々な利害関係が対立するだけに、法律が時代に追いつくのは難しいのです。そういう状況を考えれば、特許制度は決してベストが実現可能ではなく、「無いよりかなりマシ」ぐらいの存在であるような気もします。

遺伝子特許を議論していた印象からすると、Googleがやった行為が問題になるのはきわめて当たり前ですし、もしあれが許されるのであれば製薬企業やベンチャーが基礎研究をする価値はほとんど失われてしまうとさえ思えます。ベンチャーにとっての最大の資産が特許ということも珍しくないでしょうから、特許侵害まがいの行動が許されてしまったら、製薬産業のイノベーションの構造が覆されるでしょう。

私はそういう目でAndroidの訴訟を見ていますので、どうしてもAppleだとかMicrosoft, Oracleの側に立ちます。

「なぜ職場で仕事ができないのか」について

TED TALKSで37signalsのJason Friedが「なぜ職場で仕事ができないのか」という題で話しているビデオを見ました。

日本語字幕もあるので、ぜひ見てください。

自分の経験を合わせた感想を以下に紹介します。

  1. M&M (Managers & Meetings)が仕事の邪魔をしているのは全くその通りだと思います。M&Mの代わりにJason Friedが言うように、例えばチャットだとか、37signalsが提供しているBasecampなどのツールを使ってコラボレーションをやれれば良かったと思いますが、残念ながら普通の会社はそういうのをなかなか使わせてくれません。あるいはそこまで考えてITはツールを用意してくれません。僕の意識も十分ではなかったのですが、そういうツールをもっと積極的に使えば良かったと思っています。(ITはMicrosoftのSharepointは用意してくれていましたが、使い方がわかりませんでした。すぐに使い方がわかるBasecampの良さはここにあります)
  2. 前にいた会社は電話サポートの人にマーケティングをさせていました。これについては僕は強行に反対しました。理由はJason Friedが言うように、時間が分断されてしまうと人間は仕事ができないからです。電話サポートの人は必然的に時間が分断されてしまうので、マーケティング戦略をじっくり考えるなんて不可能なのです。残念ながら上司には聞き入れられませんでしたが、どうして断られたかははっきりしています。その上司が人の仕事を平気で中断させる人だったからです。
  3. 確かに会社にいると数時間でも中断されない時間を作るのは大変です。でも前の会社の上司は10時間ミーティングならやっていました。うーん。

抗体検索サイトのリストと評価

バイオの買物.com まとめて抗体検索

僕が作っているサイトです。相当にいろいろなことを考えて作っていて、はっきり言って世界最高を狙っています。他のサイトにもいろいろな機能はありますが、そのどの機能も取り入れつつ、より優れたものに改変しているつもりです。

目標が達成されているかどうか、それはこのページを見ているご自身で判断ください。Twitterの @naofumi もしくは @BioKaimono に感想をいただければうれしいです。

Exact Antigen 改め Labome.jp

ここは遺伝子名を入力すると、抗体だとかsiRNAだとかタンパク質だとかが検索できるシステムになっています。日本語のは動作が安定していませんが(2011/8/3現在)、英語版のlabome.comは一応動作しています。ロボットでメーカーサイトから自動的に情報をとったり、あるいはスポンサーから情報をもらったりしていると聞いています。
labome.jpは一応日本語を使っていますが、製品の価格は全部USドルですので、日本のサイトとしては役に立ちません。

Biocompare

ページのトップからAntibody Searchを探して抗体検索のページに移動します。

Biocompareは知名度があるだけにメジャーブランドも小さいブランドも含め、非常に多くのメーカーの製品をのせています。残念なのは価格がほとんど敬さされていないこと。US価格すら載っていません。

また検索システムは昔ながらもので、最初にドロップダウンメニューから検索条件を入れていきます。ただ検索に少し時間がかかりますので、たくさんの絞り込みをするのは疲れます。

検索システムで特徴的なのは蛍光色素の選択の仕方です。同じ蛍光波長のものでも、メーカーによって使用する蛍光色素は大きく異なります。特に緑や赤の領域は同じような蛍光色素がたくさんあります。そこでBiocompareでは蛍光波長によってグループ分けし、Blue, Green, Yellow, Orange…などと選択できるようにしています。これは非常に便利です。

海外サイトですので、製品が見つかったとしても価格や果たして日本で売っているのかどうか輸入販売店を探すまではわかりません。

Antibodies-online.com

ここは小さな抗体メーカー(140社)をたくさん集めて、オンラインでの販売も行っているウェブサイトです。大手のメーカーは登録されていません。代金の請求や物流も小さいメーカーに変わってやってくれるそうです。インターネット上の輸入代理店(フナコシ、コスモ)みたいなものでしょうか。

検索システムはファセットナビゲーションは取り入れていますので、絞り込みはしやすいです。

あとメーカーによっては実験データ(ウェスタンとは組織染色の画像)が表示されます。

海外サイトですので、製品が見つかったとしても価格や果たして日本で売っているのかどうか輸入販売店を探すまではわかりません。

コスモバイオ

輸入商社大手のコスモバイオの抗体検索システムです。

製品は非常に多いので、その点は良いです。しかし検索システムはすべてのキーワードをユーザが自分で考えないといけないため、ちょっとドキドキしながら博打を打つような検索体験になります。その他、この検索システムはいろいろと問題があります。一例を「抗体検索の絞り込み条件は『選択式』が正しい」のブログに詳しく書いてあります。

製品が多いし、日本価格も表示されていますので製品が見つかれば良いのですが、見つけるまではかなりがんばることになりそうです。

フナコシ

輸入商社大手のフナコシの抗体検索システムです。

Biocompareの検索システムとよく似ていて、可もなく不可もなくと言ったところです。コスモバイオのものと異なり、例えば標識物はキーワードを入力するのではなく、リストの中から選択する形になります。

しかし残念ながらBiocompareのように蛍光波長でグループ分けせず、蛍光色素のブランドでグループ分けしています。例えば “Alexa Fluor”とか”Cy”とかいうグループ分けです。正直、これじゃ何の色が選ばれるのか全くわかりません。

取扱商品はコスモバイオとそれほど重ならないので、製品を探すときは両方使うことになると思いますが、ウェブサイトとしてどっちが好きかと言えば圧倒的にフナコシの方が好きです。

試薬.com

このウェブサイトは名前がメーカー横断検索サイトのようですが、和光純薬が輸入販売している製品が検索できるだけです。その製品数も限られていますので、横断検索サイトとしてはあまりお勧めできません。

検索システム自体は可もなく不可もなく。Biocompareやフナコシと良く似たシステムです。

バイオ百科

ここは横断検索サイトでコスモバイオの製品もフナコシの製品も、そしてシグマアルドリッチやアブカムの製品までも取り入れていますので、母数としては巨大です。在庫がわかるのも良いです。

ただし検索システムはかなり不思議なものです。

使い勝手が悪いというか、どうもスポンサーに遠慮しているのではないかという気がします。またシステム自体がこれほど多くの抗体を想定した作りになっていませんので、かなり検索が遅くなってしまっています。検索条件を入力するインタフェースはそのものはBiocompare的なもので、可もなく不可もないものです。

このサイトの不思議さについてはブログで紹介してます。

  1. 収益モデルがウェブサイトの使い勝手を決める例:バイオ百科
  2. バイオ百科で抗体検索:僕が使いにくいと感じるところ

最後に

僕が作っている新「まとめて抗体検索」はシステムとしてはダントツに良いとは思います。取り扱いメーカーの拡充もしていく予定です。

それ以外で良さそうなものと言えば、Biocompareではないでしょうか。ただ日本の輸入代理店を探すのが大変なので、Biocompareで見つけた後はフナコシ、コスモバイオ、あるいはバイオ百科で検索しないといけません。バイオ百科はキーワード検索は不思議なことが起こりますが、カタログ番号検索なら問題なくやってくれるので、ここでカタログ番号検索をするのが一番楽かもしれません。

なお、まだこの表には大手抗体メーカーの抗体検索システムを掲載していませんが、徐々に掲載していく予定です。はっきり言って、大手抗体メーカーの方がずっと先を行っているケースが多いです(輸入商社や比較サイトはうちを除いて停滞気味?)。

Androidタブレットの終わりの始まり

Androidタブレットの中でも最も評論家の評判が良かったGalaxy Tab 10.1。Appleとの特許訴訟を背景にGalaxy Tab 10.1のオーストラリアでの販売が中断されました

同様の訴訟は9つの国で11の裁判所で起こされていて(東京の裁判所も含まれています)、一番注目される北カリフォルニアのものは10月中旬に結論が出る予定だそうです。Samsungが立場を逆転させる可能性はゼロではないのでしょうが、かなりSamsungは弱気そうだというのが専門家のFlorian Muellerの見解のようです。

何しろ市場規模が大きいので多くの人が注目していますが、ライフサイエンスの研究用製品の世界でもこのようなことは米国で割とあります。販売中止とか輸入禁止とか、一見すると極端な結末ですが、そういうことは十分にあり得ますし、今回はそのレベルにまでエスカレートしている印象です。

つまりAndroidタブレットの一番の人気モデルが、iPadにそっくりすぎるという理由で日本でも販売が中止になるかもしれません。それもかなり高い確率で。

そうなると表題の「Androidタブレットの終わりの始まり」です。

Androidが失速した後に何が起こるか

昨年末、2010/12/14に私はブログでAndroidが特許によって沈められるだろうとブログに書きました。そのことがいよいよ現実になろうとしています。

この件については“FOSS Patents”というブログを運営しているFlorian Muellerが一番の権威で、米国の一般紙でも彼のコメントが誰よりも多く引用されています。

FOSS Patentsが現時点で解説していることの要点は以下の通りです;

  1. Android関連の訴訟は49個にのぼり、異常に多くなっています
  2. Androidの開発に当たり、GoogleはOracleの特許を故意に侵害した可能性が高く、その結果として数千億円程度の賠償金を支払うことになる可能性が高いです
  3. AndroidがMicrosoftの特許を侵害しているとして、HTCはすでにMicrosoftに対して電話機一台あたり5 USDを支払っていると報じられています。MicrosoftはSamsungにも同様な使用料を求めています。結果として既にAndroidはフリーとは言えなくないどころか、高くつく可能性もあります
  4. Androidが特許を侵害しているとしてAppleはHTCを訴えています。その結果として、HTC製のAndroidスマートフォンが米国で売れなくなる可能性が高いです。同様の特許侵害はHTCに限らず、Androidスマートフォン一般に当てはまるため、他のメーカーも訴えられる可能性が高くなっています
  5. Lodsysがモバイルソフトを開発しているいくつかの会社を特許侵害で訴えています。Appleはこれらのソフト会社を守ると一応の見解を出していますが、Googleはまったく何の見解も発表していません。Lodsysの訴訟により、中小のソフト会社は大きな危機に立たされています

さて、これらの訴訟がどのように展開するかは正確には予想できません。しかしはっきりしているのは、Androidが知的所有権がらみで非常に大きな弱みがあること、そしてAndroidを採用したメーカーは最低でも特許所有者に相当のライセンス料を支払わなければならないことです(最悪の場合は売れなくなる)。しかも今後ますますリスクが増大することが予想されますので、メーカーとしては一体どれだけライセンス料を払えば良いのか、どれだけ損害賠償を支払わないといけないのかが分かりません。

携帯電話メーカーにとっては非常に厄介な状態です。

この状況の中で、2011/2012年のスマートフォン/タブレット市場がどうなるか、簡単に予想してみます。

  1. Androidの採用をやめるメーカーが続出するでしょう。Windows Phone 7に関してはMicrosoftが知的所有権の問題をカバーしてくれますので、大部分はこっちに流れるでしょう。
  2. Googleが知的所有権の面倒を全く見てくれないということで、アプリを開発しているソフト会社がAndroidから離れて行くでしょう。その代わり、iOSやWindows Phone 7に流れて行くでしょう。
  3. お金を損するばかりなので、Google社内でもAndroidの開発の勢いが低下するでしょう。ただし中断することまでは出来ないでしょう。
  4. 結果としてAndroidは徐々に失速し、代わりにWindows Phone 7が出てくるでしょう。この間Appleがより多くのキャリアと契約することによって、iPhoneがシェアをますます拡大させるでしょう。
  5. タブレットについてはAppleの独走が続くでしょう。Androidタブレットは現時点で売上げが伸びず、対応アプリも増えていません。特許侵害問題があるうちは各メーカーもなかなか積極的になれないでしょう。またMicrosoftはタブレット用OSとしてWindows 8を用意していますが、これが果たしてどのようなものか全く未知数です。しばらくはAppleの独走を止められそうにありません。
  6. 最終的にはPCの時と同じように、MicrosoftとAppleがスマートフォン/タブレット市場を2分するでしょう。ただしPCの時とは逆にAppleの優位は揺るがないでしょう。Microsoftのタブレット用OSが遅れれば遅れるほど、MicrosoftとAppleの差は開きます。Microsoftにとってのタイムリミットは、企業にiPadが多く採用される前にタブレット用OSを完成させることです。
  7. Appleの最大のリスクは独占企業になってしまうことです。独占企業になると行動が厳しく監視され、イノベーションが制限される可能性があります。Microsoftが早く立ち直ってくれないとこうなってしまう危険性があります。
  8. Googleのブランドは大きく傷つきます。特にハードウェアメーカーを巻き込んだプロジェクト、例えばGoogle TVやChrome OSなどはもはやどこもついて来なくなるでしょう。大切なのは、Googleがコアビジネスに集中できるかどうかです。Android問題でAppleと険悪になったことで、コアビジネスのサーチとインターネット広告に悪影響はでます。引き続き技術革新を続けないと、Bingなどに追いつかれる可能性だってあります。