アメリカでもQR Codeが流行りだしているという話

最近アメリカに行っていないのでよくわかりませんが、どうやら日本に数年遅れて(だと思うのですが)QRコードが流行りだしたそうです。

ということでiPhoneでQRコードを読むためのアプリの紹介が TheAppleBlog にありました。

5 QR Code Readers for iPhone

とりあえず紹介だけ。

New York Times : Samsung Galaxy Tabは素晴らしいけど高すぎる

ユーモアたっぷりに最新のガジェットを素人にも分かりやすく紹介してくれるNew York TimesのDavid Pogueの記事。

“It’s a Tablet. It’s Gorgeous. It’s Costly.”

このトピックについてはiPadについて論じた一連のブログ記事で紹介していますので、それとの関連でいくつか引用します。

But the Galaxy doesn’t feel like a cramped iPad. It feels like an extra-spacious Android phone.

ということはAndroidの7インチタブレットはiPadと競合するのではなく、Galaxy SなどのAndroidスマートフォントと競合するってことなのかな?

そもそもどうして各メーカーが7インチタブレットを作っているかを考えると、10インチを作って真っ正面からiPadとガチンコ勝負をすると、ソフト的にも価格的にももっとぼろぼろに負けてしまうからではないでしょうか。

Because the Galaxy runs Android 2.2, it can also play Flash videos online (touché, iPad!). Or at least it’s supposed to. After some delay, I got Flash movie trailers and CNet videos to play, but at ESPN.com, the Play Video button just stared at me sullenly. (My Samsung rep says they play fine for him.)

まぁAdobeがどんなにがんばったって、Flashは終わっていますよね。

Another problem: most of the 100,000 apps on the Android store are designed for a phone-size screen, not a tablet. The Galaxy either blows them up, at the expense of clarity, or lets them float in the center of the larger screen with a Texas-size black border.

This problem, of course, was familiar to early iPad adopters: iPhone apps ran on the iPad, but couldn’t exploit the larger screen. But Apple encouraged programmers to come up with iPad-specific versions, and released a software-writing kit to help them along. Google hasn’t done that yet, so it may be awhile before 7-inch Android apps become the norm.

Googleとしてはまず7-inchタブレット用のAndroidを作らなければならないのですが、10-inchを無視するのも大きなギャンブルになります。ということはスマートフォン用、7-inch用、10-inch用のAndroid OSをGoogleが開発し、そしてアプリ開発者も同じように3つのバージョンのアプリを開発するのかって?それはちょっと考え難いですよね。

Googleとしては、現時点で7-inchタブレットにコミットできないのだと思います。10-inchも考えておかないといけませんので。

The biggest drawback of the Galaxy, though, may be its price: $600. You could buy two netbooks for that money, or four Kindles —or one 16-gigabyte iPad, with its much larger screen, aluminum body and much better battery life. (The iPad gets 10 hours on a charge; the Galaxy, about 6 hours.)

品質の有意性が明白ではないもの関わらず、トップブランドよりも明らかに高い価格で新規市場に参入するなんて、よほどのことがない限りうまくいくはずがないですよね。常識的にはあり得ない。

なんでそうなってしまうのか、それはiPadについて論じた一連のブログ記事でも紹介しています。iPadが発売された2010年1月末時点で、競合が同様の製品を作るのに何年もかかるだろうというのは明白でした。

しかもiPadの発表からすでに10ヶ月近く経ちますので、もう数ヶ月もすればiPadの新しいバージョンが発表されるのは間違いありません。1年前に僕が危惧した通りですが、ハッキリ言って今の時点では勝負になっていません。

理科離れって学生向けにいろいろやって解決するものなの?

自分のTwitterのTLがそういう方向に傾いているせいなのか分からないのですが、子供たちに理科に興味を持ってもらったり、あるいは社会人が理科を語り合ったりする場を作ったりする活動の話が割と多い気がしています。それも自然発生的にそうなっているのは構わないのですが、国策として国の税金で運営されているのが多いような印象で、心配です。

僕が大学に所属していた20年弱前はそんなことが全然なかったので、違和感があるのです。しかも僕が大学院を卒業することは大学院大学構想等でとにかく次々と博士を量産するんだという流れがあって、そして10年ぐらい経つとその博士たちがつくべきアカデミアのポストもなく、また企業も採用には積極的ではないなどいろいろありました。今の博士の就職難問題の始まりです。僕らの世代、そしてその次の世代の理系は、かなりひどい国策の犠牲になっていると思います。

だから理科離れの問題を解決するために、何も知らない学生や若者に対して何やら人工的に理系に誘導するのは、ハッキリ言って大きな勘違いだし、無責任だと思うのです。

僕の勉強不足であればいいのですが。

国家レベルで理科離れの対策をいろいろやりつつ、同時に博士のキャリア支援をやっているのって変じゃないですか?タバコを売りながら抗ガン剤を売っているJTとやっていること、似ていませんか?自分がやってしまった悪行に対する反省がないどころか、循環を作ってしまっているという意味で。

そもそも昔の日本ってそんなに理系の国だったんですか?技術の国なんですか?日本の年寄りはそんなに理科が好きなんですか?僕の周りを見る限りではとてもそう感じないんですけどね。よっぽどアメリカの方が普通のニューズ番組で科学の話をしたりするし、大人も機械好きだし、文系就職をしている人を含めて理科好きな気がします。

少なくとも今の日本は構造的に、システマティックに文系が好まれるようになっていると思います。それは大部分の企業の経営陣に理科を理解している人が少ないこともそうですし、なぜかネット系ベンチャーがやたらと営業ばっかりだったりするという話を聞いてもそう思います。朝のニュース番組で占いなんかやっているのを見てもそう思います。

「日本は資源がないから理系で物作りをするしかない」という昔のプロパガンダはゼロから考え直して、もうちょっと日本の社会の本当の姿を冷静に見て、そして子供たちに変な誘導を仕掛けるのは止めてもらいたいです。本来、子供たちは身の回りのリアルな社会を理解しながら自分の将来を考えれば良いのです。宇宙飛行士の話とか、税金をたくさんかけて社会の現実とは違うものを一生懸命見せても、子供たちは判断を誤りやすくなるだけだと思うのです。それともどこかで金融を子供たちに教えて、バランスを取ろうと考えている人たちはいますか?

Appleの価格競争力の優位性

Appleの価格競争力がすごいことに関する解説がJohn Gruberのブログ、Daring Fireballにありました。

“Apple’s Pricing Advantage”

このブログの中で僕がずっと言ってきたことではありますし、Steve Jobs氏本人も解説しているぐらいではあるのですが、Samsungですら高品質で安価なAndroidタブレットが作れないのがはっきりしてきたということのようです。(123456789

この記事の中でJohn Gruberはパソコン市場とiPod/iPad市場の違いについて述べています。

  1. パソコン市場ではAppleの製品は割高感があるのに、iPod/iPad市場だと価格が安くなるのはなぜか。
  2. 世界で一番Flashメモリを買っていて、メーカーから安く買えることが大きな原因でしょう。
  3. パソコン市場ではひどいデザインとか低品質のパーツを使ってもパソコンが売れてしまうが、iPod/iPad市場ではAppleがスタンダードになってしまっていて、まともな競合はこのスタンダードを目指さなければなりません。そのため安いパーツでごまかすことが出来ません。

僕は3番目の視点には気付いていなかったのですが、確かにそうかもしれません。

こう考えてみると、“Back To The Mac”の戦略的意義がすごく大きいことがわかります。

つまりAppleとしては、パソコン市場をiPod/iPad市場に近いものに誘導し、変質させることができれば、パソコンの価格競争力においてもAppleが圧倒的に優位に立てる可能性があります。

一番分かりやすいのはMacBook Airでハードディスクを排して、Flashメモリ(SSD)オンリーにする戦略です。パソコン用の保存領域としてFlashメモリがスタンダードになれば、Appleのパソコンは競合他社と比較して相対的に安くパソコンが作れるようになります。

いずれFlashメモリが標準になるのは必然で、時間の問題でしかないのですが、そのスピードを加速させることによってAppleは他社に先んじて価格競争力を身につけようとしているのではないでしょうか。

アナリストからはMacBook AirとiPadがカニバライズするのではないかという心配があったのに対して、Apple自身は全く気にしてないようです。よくよく考えてみるとAppleにとって大切なのはそういうことではなく、如何にマーケットをFlashメモリに切り替えさせ、自分たちの強みを最大化するかかも知れません。そういう意味ではiPadでもMacBook Airでも何でもいいから、一刻も早くFlashメモリをスタンダードにしたいのかもしれません。

そんな気がします。

Verizon WirelessのiPad CM

Verizon WirelessのiPad CMです。John Gruberより。

  1. ルータを別途起動しないといけないけど簡単だよ
  2. ネットワークスピード速いよ
  3. 都会から離れたところでもちゃんと電波が届くよ
  4. しょぼいネットワークから解放された気分だよ

というのがよく表現された良いCMだと思いました。NT&Tのネットワークとの差別化ポイントがよく伝わる。

ダースベーダーを使ってGalaxy Sのスーパー有機ELディスプレイのことをPRしているドコモよりよっぽど分かりやすい。

Safari 5のClickToFlash拡張を使ってAdobe Flashを無くす

Daring FireballでJohn Gruber氏が“Going Flash-Free on Mac OS X, and How to Cheat When You Need It”という記事を書いて、Adobe Flashを使わないで済む方法を解説していたので、僕もやってみました。

WebKit Nightlyを主に使っていることもあると思うのですが、Safariが落ちることが割と多いし、また初代MacBook Proのファンが動くことがちょっと多い気がしていたので、Flashを使わないで済む方法はないかなと以前から思っていました。

しかし頻繁に使うGoogle Analyticsのグラフは主にFlashなので、これをどうするかがいつも悩みのタネ。それで今までFlashを使い続けていました。

使ってみたのはMarc Hoyois氏のClickToFlash Safari extensionClickToFlashのプラグインもあります(というかこっちの方がオリジナル)。

ClickToFlashのプラグインのサイトで紹介されている機能は;

  • 悪しきAdobe Flashをブロックする
  • 必要ならクリック一つでFlashをロードできる
  • YouTubeの画質がQuickTimeになるので、画質が高くなる
  • ホワイトリストにより、特定のウェブサイトではFlashを許可できる

となっています。

使い始めたばかりなので詳細は分かりませんが、Extension版もこの機能は含まれています。

この機能拡張を入れたときのAsahi.com。左右のFlash広告がしっかりブロックできています。
asahi com.png

YouTubeはこんな感じ。動画の画質比べに慣れていないので、何とも言えませんが、まぁいいんじゃないかなという思いです。

H.264バージョン(Flashを使わないとき)
youtube.png

Flashバージョン
youtube flash.png

Google Analyticsもホワイトリストを使うことによって、ちゃんとFlashのグラフが描かれています。
blog analytics.png

あとはしばらく使って、WebKitのクラッシュが減ったりファンの回転が減ったりするかどうかです。でもAsahi.comの広告がブロックされただけで得した気分がしています。

Puff the Magic Dragonでぼろぼろ泣いてしまった…

アップデート
このブログの中でも紹介していますが、YouTubeのこのビデオのコメントを見ていると、僕と同じようにぼろぼろ泣いてしまう同世代の人が多いみたいです。なんだかとてもうれしいです。
あと、少しだけだけど日本語でも歌ってくれていますね

Puff the Magic Dragonというすごく有名なフォークソング。僕が子供の頃にロンドンに住んでいたとき、よく聞きました。とても優しくてきれいで、大きくなってからも何かつらいことがあったときに、よく口ずさんでいました。

そして今、3歳の娘に英語のDVDなどを見せているのですが、ちょうどPuff the Magic Dragonの歌がありました。「お父さんはこの歌がとても好きなんだよ」って言ったら娘もとても気に入ってくれました。そしてときどき「あの恐竜の歌を歌って」って言いよってくるので、1歳の娘も一緒に膝にのせて歌っています。

これだけでも涙が出るほどうれしいんだけど…

そして今日は電車に乗っている時間を使って、歌詞を暗記してみました。リフレインのところしか覚えていなかったので。そうしたらなんだか訳が分からないのですが、涙が込み上げてきちゃって….

昔ロンドンで苦労した頃の記憶なのか、それとも単純に曲も歌詞も美しすぎるのか….

歌詞は英語が例えばここにあります。日本でどのように紹介されているのか、僕はよく知りませんが、例えば和訳したものがここにありました。

家に帰ってYou Tubeで聞いたら、男性(Peter Yarrow)の歌声が僕が記憶していたよりもさらに美しくて、とにかく純粋で、またまた感動。

そしてYou Tubeの別のバージョンに書き込まれていたgordonAfranksのコメント、

Am I the only stupid father that has tears in his eyes when he hears this song .

“FATHERS live for ever but no so little boys”

All too soon they grow up, leave home and the fun and games you played with had are gone for ever. They move on but you are left behind thinking of the wonderful few years you had together. And with daughters.

For those fathers out there with small children – treasure your times with them. Puff was a parent!

Puffは小さい子を持った親だったんだって….

もうぼろぼろ泣いてしまいました。

Netscape創設者Marc Andreessen イノベーションについて

Netscape創設者の一人でインターネットブラウザの普及に決定的に大きく貢献したMarc Andreessen氏は、現在ベンチャーキャピタルの運営をしていますが、全く新しいスタイルのブラウザ、RockMelt Browserの開発会社に何億円相当ものを投資をしているそうです。

僕はTwitterは使うけどFacebookはほとんど使っていませんので、これが成功するかどうかについて語る立場には全くありませんが、Seattle Timesの記事に書かれていたAndreessen氏の言葉が非常に気に入りました。

Andreessen is convinced Internet Explorer’s lead remains vulnerable, even after more than a decade of domination and repeated upgrades.

“I don’t believe in mature markets,” he said. “I think markets are only mature when there is a lack of innovative products.”

「成熟したマーケットというのが存在しないと思っています。イノベーティブな製品がなくなるとマーケットが成熟するだけだと思います。」

product life cycle.pngマーケットが成熟したかどうかは単純にはその成長率で計ります。そして一般的な考え方ではどんな市場も次第に成熟していき、イノベーションが起こらなくなり、成長がとまり、そして価格競争等で利益が出なくなり、最後には衰退していくとしています。そしてこれを必然的なことと考えています。

ライフサイクルは必然的に進行し、その結果としていつかイノベーションが起こらなくなり、そして市場が成熟化するというのは、マーケティング等のテキストブックによく出てくるプロダクトライフサイクルの考えです。しかしAndreessen氏は因果関係が逆だと言っています。単に何らかの理由(独占・寡占による怠慢?)でイノベーションが停滞し、その結果としてマーケットが成熟するだけだとしています。マーケットの成熟ステージに関わらず、探しさえすれば常にイノベーションのチャンスは常にどこかにあり、その努力をしなくなってしまった結果がマーケットの成熟化だという考え方です。

DigitalHub.jpg2000年頃のパソコン市場は成熟化し、衰退に向かっていくマーケットだと考えられていました。インターネットの普及によって一気に盛り上がったパソコン市場ですが、2000年頃にはもうパソコンはおしまいだという論調が大勢を占めました。その代わりユビキタスコンピューティング等がもてはやされ、いずれパソコンがなくてもPalmなどのデバイスで十分だと考える評論家がほとんどでした。その結果としてパソコンメーカーは価格以外に攻め手がなくなり、価格競争が激化しているとされました。そのときにAppleのSteve Jobs氏はキーノートスピーチの中でDigital Hub戦略を発表し、パソコン市場は成熟してしまったのではなく、むしろこれからが第三の黄金時代(Digital Lifestyleの時代)を迎えると主張しました。そしてiTunes、iMovie、iPhotoなどを発表し、そしてiPodも発売しました。この戦略が見事にはまったのは、もう皆さんもご存知の通りです。

NewImage.jpgバイオの世界について言えば、2005年頃のDNAシークエンサーが成熟市場と言われていました。ゲノム解読の熱がいったん冷め、そしてキャピラリー電気泳動によるSanger法も完全に成熟した技術になりつつありました。僕も当時、アプライドバイオシステムズ社に転職するかどうかを考えてたりしていましたので面接を何回か受けましたが、話題は「あなたならうちのシークエンスビジネスをどうやって停滞から抜け出させるか」と言ったたぐいのことばかりでした。

しかし2005年秋に454 Life Sciences社が売り出したGenome Sequencer 20によって展開はがらりと変わりました。次世代シークエンサーの開発競争が白熱化し、半導体におけるMoores Lawを遥かにしのぐ勢いで一気にイノベーションが活発化しています。成熟してしまったと思われていた市場が、一気にバイオサイエンス全体のイノベーションドライバーになりつつあるのです。

僕がメーカーで主にマーケティングを担当していたのは、主に成熟期から衰退期と言われた製品でした(454 Life SciencesのGenome Sequencer 20も短期間担当しましたが)。でも上記の事例を見ていたので、絶対に成熟し切った訳ではないはずだと信じていました。今でも強くそう思っていますし、Marc Andreessen氏の言う通り「成熟したマーケットは存在しない」と思っています。ただ何かのイノベーションが必要です。イノベーション無しではマーケットは成熟してしまいます。

バイオの買物.comはライフサイエンス製品のイノベーションの活発化を強く望んでいます。それも次世代シークエンサーのような話題を集めるけれどもユーザが少ない大型機器だけではなく、PCR酵素、クローニング酵素、細胞培養用試薬など、どっちかというと成熟したと考えられるけれども、一方で非常に多くの利用者がいる製品分野でのイノベーションです。まず製品購入の意思決定にイノベーションをもたらし、研究者とメーカーの距離を縮め、製品のイノベーションが起こりやすい環境を作れないか。そんな形で貢献できたらいいなと思っています。

バイオのウェブサイトのビジターあたり売上げはどんなもんだろうか

以前に「ウェブサイトへのアクセスと売上げの関係」のブログ記事を書きましたが、そこで僕が出した結論は、試薬メーカーのウェブ訪問者数と売上げが驚くほどに相関しているということでした。

もちろん相関があるという言っているだけで、因果関係があるかどうかは全く別です。ウェブ訪問者数と売上げがよく相関していると言っても、ウェブサイトに訪問したから売上げが増えている側面はあるでしょうが、同時に製品が良く売れているからウェブサイトの人気があるという側面もあります。恐らくはこの2つの側面が両方ともに絡み合っていて、その結果としてこのような良い相関が見られるのだと思います。

webvisitors vs revenue.png

さてこのグラフを見ると、ビジターあたりの売上げを計算することができます。このグラフを見ると、大雑把に年間100億円のあるメーカーは60,000ユニークビジター/月があると言えそうです(これはビジターの効果を一番低く見積もった線ですが)。この数値を使うと {100億円 / 12 (月間売上げ)} / 60,000 (ユニークビジター) = 1.38 万円/ユニークビジター になります。つまり、月間ユニークビジターあたり1.38万円の売上があることになります。

ビジターあたり1.38万円の売上ってすごいですよね?

なんだかとても高い数字です。ライフサイエンス研究支援の試薬の単価が高く、低く見積もっても一品が平均2万円ぐらいだというのは確かにあります。またウェブを見ないで製品を購入しているケースもそれなりにあるはずです(繰り返し同じものを買うとき等)。

ビジター数についてもちょっと考えてみたいと思います。例えば年間で20億円の売上を出している中堅メーカーであり、平均単価が2万円だとすると、年間で10万製品を出荷していることになります。毎月8,300製品を出荷していることになります。先ほどの相関ですと年間20億の売上げのメーカーのウェブサイトは毎月12,000のユニークビジターがいることになりますので、ウェブサイトのユニークビジター数と出荷製品数はだいたい同じ程度と言うことになります。この数字だけでは因果関係が出てきませんのではっきりしたことは言い難いのですが、製品の購入とウェブサイトへのアクセスはやはりかなり関係がありそうな雰囲気です。

なお毎月8,300製品の出荷というのはかなり少なく、平均的なコンビニに大きく負けています。コンビニの顧客単価は¥600弱らしいので、平均日販を60万円とすると毎日1,000人、月間で30,000人に物を売っていることになります。同じ土俵で語ることではないのですが、いまだにメーカーと代理店が注文伝票をFAXでやり取りしていられるのも(そう、電子化されていないのがまだほとんどです)、そもそも取り扱っている数が少ないからです。

いまのところバイオの買物.comを経由して、毎月数千のビジターがメーカーのウェブサイトを訪問しています。仮に5,000のビジターを誘導していると計算し、先ほどの1.38万円をかけ算すると、バイオの買物.comで月間6,900万円の売上貢献をしていることになります。ものすごい我田引水的な計算で恐縮ですが。

まぁ実際のところ、まだその1/100も稼いでいないのですが、将来的にちゃんとしたビジネスが構築できるのではないかという勇気がわいてくる計算です。

ちなみに最近のインターネットで話題になっているSNSのMixiやGREEやモバゲー。これらは様々な形で収入を得ていますが、会員あたりの月間売上げは¥63-¥256のようです。なんだか1会員あたり1,000PVしているという計算になっているのですが、これもすごいですね。同じインターネットでの商売だし、何かのインスピレーションにならないかなと思ったりもするのですが、やっぱりバイオの買物.comがやろうとしていることとはとても比較できないと痛感します。アクセス数はもちろん何桁も違いますが、アクセスあたりの価値もライフサイエンスの場合は桁違いに大きい気がします。

Grouponの割引を見て、バイオ業界のキャンペーンを考える

Grouponという会社やそのビジネスモデルが最近非常に話題になっているらしく(ただそういう僕もつい最近知ったのですが)、確かに面白いと思うのですが、その割引率が結構すごいんです。

Grouponについてはこのブログがたくさん書いていて、リンクした記事以外にも多くの記事があります。

それで実際にGrouponのウェブサイト(シカゴ)に行ってみると、何に驚くかというと割引率のすごさに驚きます。50%引きはまさに当たり前で、それより少ない割引率はほとんどありません。Grouponの日本法人のサイトを見てもやはり割引率はすごくて割引率は50-90%の間。多いのは50%強の割引のようです。

groupon.pngバイオの業界でも結構大きな割引が横行しているのですが、さすがにここまではなかなか割り引きません。少なくとも公に行う割引キャンペーンは50%までです。

Grouponのような大幅な割引を行うことの危険性についてはOPEN Forumの“To Groupon or Not to Groupon: The Cost of Offering Deep Discounts”という記事がありました。この記事ではRice Universityが行った調査を引用していて、Grouponを利用した1/3の企業にとっては利益面ではプラスにならなかったと紹介しています。

それでGrouponをうまく活用するためのアドバイスが紹介されていて、例えば

  1. リピート顧客が取れるようにキャンペーンをデザインしなさい
  2. 新規の顧客層が狙えるようにしなさい
  3. 新規顧客に限定しなさい
  4. 空いている時間やリソースを埋めるように使いなさい

個人的にはあまり賛同しないアドバイスもありますが、50%以上の割引をするときは確かにいろいろな注意が必要でしょうね。

バイオの業界で割引キャンペーンを担当していた僕としては常に意識していたものばかりではあるのですが、よくまとまった記事だと思います。バイオの業界で割引キャンペーンをやってうまくいくと通常より2-3倍ぐらいは売れるのですが、この程度では利益面ではプラスになりません。というか、確かにバイオの試薬は粗利が多いのが一般的ですが、それでも30%引きして利益が増えるほどではありません。

僕なんかが割引キャンペーンを割と盛んにやっていたのは、どちらかというと広告宣伝費という気持ちからです。バイオの業界は広告宣伝が未発達で、効果がしっかり出そうな広告媒体はありません。しかもほとんどが代理店を介して研究者と接しますので、分かりやすい割引キャンペーンでもやってチラシを用意しておかないと、代理店の担当者はメーカーのことを紹介してくれないのではないかと心配してしまいます。新製品はまだいいのですが、古いけど良く売れている製品は影が薄くなりそうなのです。

また財布の問題もあります。広告を打つときは、年初に割り当てられた広告宣伝費を使うことになります。これはしばしば削減の対象になってしまいますので、あまり余裕のないところです。それに対して割引キャンペーンを実施するときの損失分(利益を失った分)は、最終的な利益にならないというだけの話ですので、年初に予算化されて固定された上限がある訳ではありません。それぞれの会社の考え方や予算管理の仕方、目標設定の仕方にもよると思いますが、少なくとも僕がいたところだと同じ金額を消費するにしても、広告宣伝を行うよりも割引キャンペーンを実施する方がよほど簡単でした。そういうこともあって、本来ならば値引きせずにバラエティーのある活動を行って製品をPRしたかったのですが、経費として使えるお金がないので仕方なく割引キャンペーンを良くやりました。

まとめ

確かに割引キャンペーンは一時的に有効なことが多いのですが、割引率を大きくしないと注目してもらえなかったり、利益が下がったり、リピート顧客が獲得できなかったり等といった問題をたくさんはらんでいます。紹介した記事にはいくつかアドバイスはありますが、それに沿うぐらいでは解決できない問題もたくさん残っています。

それでもバイオの業界でキャンペーンが多いのは、ひとことで言えばメーカーの無策なのですが、実際にはそうせざるを得ない業界構造や社内の構造(これは日本だけでなく世界的に)があって、メーカーがそれに流されているだけという側面があります。

バイオの買物.comのようなサイトがそういう業界構造を変革し、より幅広いPR活動が行われるようになればいいなと考えています。まだまだ先の話ですが。